【ライブレポート】0.1gの誤算、小学生以下限定ワンマン開催。未来のバンギャルとギャ男にV系レクチャー
夏休みも終盤に差し掛かった8月28日の真昼間。東京・池袋BlackHoleの前には、小さな子どもとその保護者が行列を作っていた。今日ここで行われるのは、0.1gの誤算の小学生以下限定ワンマン<はじめてのゆうがい>。小学生以下は無料(保護者は2000円)でライブを見ることができる。
◆ライブ写真
この企画ライブが発表されたとき、「本当にライブハウスに子どもが来るのだろうか」と正直疑っていたが、蓋を開けてみれば、100人近くの子どもたちと保護者が来場していた。会場前の待機列は大通りまで伸びており、保護者と手を繋いで待つメンバーカラーのエクステをつけた女の子や、ゲームをしながら待つメンバーデザインのTシャツを着た少年、道路にオモチャの車を走らせて遊ぶ小さな男の子などの姿が見られた。
ヴィジュアル系バンドの開演待ちとは思えないほど平和な空気が流れており、列を誘導するBlackHoleスタッフの声も、心なしかいつもより優しい。途中、疲れたのかぐずってしまう子や、地下へ続く階段の壁に貼られた他バンドのポスターを弄って保護者に怒られている子などもいたが、無事全員がフロアへ入場することができた。フロア後方には、丸椅子を並べた“保護者席”が用意されており、疲れた保護者や座りたくなった子どもが休むことができるようになっている。
この日、水田魔梨(G)は新型コロナウイルス陽性のため欠席となってしまったが、緑川裕宇(Vo)、河村友雪(G)、眞崎大輔(B)にサポートメンバーのまさし(Dr)と、客席からエアギターで飛び入り参加したメンバーも加わった5人でライブを開催。メンバーが手を振りながら登場すると、子どもたちは大騒ぎし、小さな手を叩いて拍手をおくった。
黄色い帽子とスモック姿の園児コスプレで現れた緑川が「見なさい、来なさい、暴れなさい!」とYouTubeでお決まりの挨拶をすると、子どもたちも一緒に叫びだす。普段のライブとは全く違う朗らかな空気の中、一曲目に披露したのは「オオカミ男と月兎」。手で狼ポーズを作る可愛い振り付けは、この日のコンセプトにぴったりだ。ステージ上のメンバーを見ながら一生懸命に踊る子どもたちは、ライブに参加しているというよりもお遊戯会のよう。この微笑ましすぎる光景にメンバーも自然と優しい笑顔を見せる。なお、同期や楽器の音は、子どもの耳への影響を考慮し、全て小さめに設定されていた。
続いても、可愛さ全開の曲「絶対プリティ生命体ー緑川のテーマー」。まずは緑川が振付をレクチャーし、いざ本番へ。子どもたちは見様見真似ではしゃぎながら踊り、それを見守る保護者たちも楽しそうな笑顔を見せる。普段はオラオラな緑川の煽りも、「おててを上にあげて~」「後ろのお友達も一緒に~」と、この日ばかりは子ども向けの優しい口調になっていた。途中、ぐずって泣き出す子どもの声が聞こえると、「機嫌が悪くなっちゃったかな? 大丈夫かな?」とあやす場面も。
MCタイムでは、メンバーが一人一人自己紹介すると、「ゆうちゃ~ん!」「ともちゃ~ん!」「だいちゃ~ん!」と子どもたちが声を合わせて呼ぶ。あまりの可愛さに、眞崎も思わず「最高だな!」とデレデレに。ここで緑川は小さな子どもを前方へ集め、子どもたちに“ヴィジュアル系ライブのノリ方”をレクチャー。バンギャルのノリにも詳しい緑川は、ノーマルな咲きから、手をヒラヒラさせる古の咲き、ワイパー咲き、背面咲きなど、咲き一つでも様々なパターンを教えこむ。さらに、「お父さんお母さんにオモチャ買ってもらえなかったときのことを思い出して!」とヘドバンを教え、最後は「鬼を倒すと思って!」と拳ヘドバンまで伝授していた。様々なノリを教わった子どもたちは、ドラムのリズムに合わせて上手に咲きやヘドバンを実践。未来のバンギャルとギャ男が生まれた瞬間だった。
ここからは子どもたちのリクエストを募って演奏することに。緑川が「聴きたい曲ある人~!」と尋ねると、フロアからはたくさんの小さな手が上がる。小学1年生の女の子がリクエストしたのは、なんと「利己的メルヘン症候群」。0.1gの誤算の中でもハードな曲調とダークな歌詞の楽曲がリクエストされたことに驚きながらも演奏がスタート。音量が小さいとはいえシャウトやヘヴィな音がふんだんに使われている楽曲のため、怖がって泣いてしまう子がいるのではと心配になったが、子どもたちは学んだばかりのヘドバンや折りたたみを使いこなしながら楽しそうにノっていた。続いてリクエストされたのは、彼らの代表曲「有害メンヘラドール」。タオルを振りながら走り回る楽しそうな子どもたちの後ろでは、本気のヘドバンを繰り出す保護者の姿も。「絶望メンブレガール」でもうひと盛り上がりしたあとは、最後に再び「オオカミ男と月兎」をフルで演奏。集まった子どもと保護者全員で踊りながら、約50分のライブを終えた。
最後に緑川が「楽しかったかな~?」と尋ねると、「たのしかったー!」と元気な声がBlackHoleに響く。真崎は「帰ったら手洗いうがいをしっかりしてね!」と伝え、緑川は「これから受験とか就活とかすげーめんどくさいこと色々あると思うけど、がんばって乗り越えろよ!」とエールをおくった。
前日に開催していた「生存者VS新世代」のワンマン(コロナ禍以前とコロナ禍以降のファンを分けてライブを開催し、動員数を競う企画)を筆頭に、これまで数々のユニークなコンセプトライブを開催してきた0.1gの誤算。その中でも、今回の小学生以下限定ワンマンは、YouTubeやTikTokなどのSNSを駆使して知名度を広げてきた彼らだからこそ成功したライブと言えるだろう。
文◎南明歩
写真◎堅田ひとみ(株式会社LINKSOLU)
ライブ情報
<緑川裕宇Birthday 「俺が時代を切り開く-先導者に祈りを捧げよ-」>
2022年9月2日(金)渋谷WWWX
<【渋谷WWW X完売記念 緑川バースデー後夜祭 】 「絶対プリティ生命体・改-15kgの誤算-」>
2022年9月3日(土)池袋BlackHole
■主催ライブ
<0.1gの誤算presents 連続異種格闘技戦企画-第2試合->
2022年9月9日(金)新宿WALLY
<0.1gの誤算presents 連続異種格闘技戦企画-第3試合->
2022年9月16日(金)新宿WALLY
■イベントライブ
<MIRAI☆FLEET Presents 滅私咆哮-初陣->
2022年9月12日(月)新宿WALLY
2022年9月24日(土)Spotify O-EAST / Spotify O-WEST / Spotify O-Crest / Spotify O-nest / etc…
NAKAYOSHI FES.
<〓天聞の最期〓>
2022年11月12日(土)恵比寿LIQUIDROOM
◆0.1gの誤算 オフィシャルサイト
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