【ライブレポート】0.1gの誤算、緑川裕宇バースデーツアー開始「信じられないほど、まだまだデカくなってやりますよ」

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0.1gの誤算が8月14日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて<緑川裕宇Birthday LIVE ついにこの地に…!「絶対王者降臨GIG>を開催した。

◆ライブ写真

「楽しかった?当たり前だろ、0.1gの誤算だぞ。ここに居るみんなが自慢できるぐらい、信じられないほど、まだまだデカくなってやりますよ」。ライブのフィナーレ、自信に満ちた声でそう告げたのは、絶対王者、緑川裕宇(Vo)だ。

予定より1時間ほど延長された3時間半にわたるステージは、周年ライブやツアーファイナルを思わせるほど濃密なものだった。


SEが鳴り、紅紫色のスポットライトが照らす中、メンバー板付きで幕が下ろされた。トランプカードの絵柄があしらわれた新衣装に身を包み、1曲目「睡蓮の華言葉」。メンバー全員が身体を大きく使い表現するダイナミックな演奏が、幕開け前の緊張した空気を切り裂いていく。

ステージ上には階段と横広の小ステージが設置されており、緑川裕宇はそこに立っていた。歌い、踊りながら先導していく中、ファンが一斉に頭を振り乱し拳を突き上げる様は、この会場の造りを忘れさせるほどの破壊力を持っている。

全席指定で1階から3階まで埋め尽くされた客席。1階はもちろん、2、3階にいるファンも座席から立ち上がり身体を揺らす。2・3階の最前列は着席が必須であったが、代わりにライブの最初から最後まで写真や映像の撮影ができるというスペシャルなエリアになっていた。さらにライブの数日前には、関係者席も開放。チケットは既に完売されていたが、自分のペースで楽しみたい人向けの初心者ゾーンを追加するなど、ファン各々が楽しめる空間が整えられた状態で、当日を迎えた。


「救済バタフライ」「利己的メルヘン症候群」と、振り付けも綺麗に揃い、この日も好調に滑り出したが、5曲目「オオカミ男と月兎」で事件は起こった。演奏中に緑川裕宇の衣装の留め具が壊れてしまい、演奏が中断されたのだ。「ごめん、ちょっと遊んでて」と告げ、走って袖に捌ける緑川裕宇。しかし、ステージに残された楽器隊は慌てることなく、「誤算節」「ゴサンバ」ですかさず演奏を再開。これまでの勢いを止めることなく、上手く場を繋いだ。予期せぬアクシデントが発生しても安心してその場を任せられ、期待以上のパフォーマンスでそれに応えるメンバーとファン。

緑川裕宇がステージに戻ると、変わらぬ熱量で迎え入れた。さらに、スタッフ陣の温かい計らいもあり、半分ほど演奏していた「オオカミ男と月兎」をもう一度始めから披露。「え? 最初からやり直してくれるの? めっちゃありがたい(緑川裕宇)」と、思わず言葉を漏らし、再び生き生きとステージを駆け巡った。


MCでは今回のテーマと新衣装について、我々が迷い込んでいるのは不思議の国ではなく、「緑川帝国」であることを念押ししたり、2・3階席に初参戦組が多いことや男性ファンも増加傾向であることを無邪気に喜んだり。アクシデントはあったものの、0.1gの誤算らしい、いつものライブだ。

「混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-」では、緑川裕宇が先陣を切って客席へ散歩に出掛けると、他のメンバーも次々と客席へ。真剣な眼差しと笑顔でファンを惹きつける水田魔梨(G)、指揮者のように指を振りながら行進する眞崎大輔(B)、ステージ中央で寝そべりギターを掻き鳴らす河村友雪(G)、2・3階まで進撃し、そこから満足そうにステージを見つめる緑川裕宇の姿が、前方のスクリーンにランダムに映し出された。

同曲はアンコールでも一瞬だけ演奏され、イントロでファンが一斉にヘッドバンキングする様子をステージ上からスマホで撮影。「これぞヴィジュアル系」という言葉とともに、後日SNSでショート動画が配信された。会場がどこであろうとファンとの距離を限りなく近づけるファン参加型のライブ、好奇心の赴くままに全力で遊ぶスタイルは決して変えない。それが、0.1gの誤算というバンドだ。


その後も色とりどりの楽曲を織り交ぜながら会場の熱を上げ続け、気付けば2度目のアンコール。「ここをライブハウスにしようぜ」という言葉から「2008年高田馬場AREA」。既に十分すぎるほど“ライヴハウス化”している会場だが、まだ足りないとばかりに、アクセル全開で走り抜ける。

「ここで本気になれない奴は、外に出ても何もできねぇ。隣の奴はお前のことなんて興味ねぇから全力でこい(緑川裕宇)」──曲前の煽りで荒々しく投げかけられたこの言葉は、「年齢を理由に色んなことを諦め始めようとする時もあるかもしれないけど、自分の努力次第でどうにでもなるから頑張れ」という、フィナーレでのファンに向けたエールに繋がっていた。学校や職場、日々いろんな環境で過ごしている者が集うこの場所。そこでは誰もが平等で、年齢も立場も関係ない。周りに何を言われようが、どう思われようが気にせず、バンドに、夢に全力で向き合ってきた0.1gの誤算だからこそ、大切なファンにもそうあってほしいと願うのだろう。


重厚感際立つ「鬼悦天」で3度目のアンコールにも応え、再び客席で大暴れ。目の前には、まさし(サポートD)の代わりにドラムを叩くローディーだけが残るステージ。客席のあちらこちらで演奏するメンバーを目で追うのが大変だったが、同時に楽しかった。「あと5回、4回、3回…」と、ラストに向け曲のループをカウントし、最後はメンバー全員がステージに整列。演奏を終えると、客席に向かって何度も手を振った。

しかし、この日はこれで終わらなかった。「お前ら呼びすぎ(笑)! でも、豊洲PITのライブではやらなかったからな。今日はもう一曲やるか」と、4度目のアンコールにも応えたのだ。ラストは「男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍」で、初のLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演は活気に満ち溢れたまま幕を閉じた。


「楽しかった?」という問い掛けに割れんばかりの歓声が上がると、「当たり前だろ、0.1gの誤算だぞ。数年後、もっと大きな会場でライブをしたとき、ここに居るみんなが今日のライブを思い出して自慢できるぐらい、信じられないほど、まだまだデカくなってやりますよ」と、緑川裕宇が返す。その言葉に会場からは盛大な拍手が贈られた。

MC中メンバーも言っていたが、周年ライブやツアーファイナルを観ているような感覚だ。ツアー初日ということで、このレポートも本当はもっとライトに書く予定だったが、メンバーとファンの皆様の燃え滾る熱量に同調し、いつも通り暑苦しい記事になってしまった。


緑川裕宇バースデーツアーは仙台、名古屋、大阪と続き、9月3日には渋谷WOMBにて生誕ツアー後夜祭が行われる。その後も「すっぴん限定」「カップリング、B面曲限定」ライブ、メンバープロデュースライブ、ハロウィンやクリスマスのライブとお腹いっぱいの内容だが、加えて今年の締めと2025年の始まりも0.1gの誤算と共に。12月31日、品川ステラボールにて水田バースデーとカウントダウンの2部制ワンマンを行うことが発表され、告知映像の最後は、「今年も最後まで楽しもうぜ」という文字で締め括られた。至ってシンプルなその言葉でさえ、この日の濃密すぎるライヴを体感した者たちの高鳴る胸には、深く鋭く突き刺さったことだろう。

文◎藤代冬馬
写真◎堅田ひとみ(株式会社LINKSOLU-リンクソルウ-)

セットリスト

01. 睡蓮の華言葉
02. Le Diable〜太陽を裁く者〜
03. 救済バタフライ
04. 利己的メルヘン症候群
05. オオカミ男と月兎
06. 【M】1230【狂劇】
07. アイドル(YOASOBI cover)
08. 被告人Aの告白
09. 噓とシアン
10. 超旋律的疾走暴曲-ネオヴィジュアロックパロディウス-
11. JUDGEMENT [THE] DAY
12. 混沌的極悪暴曲-ヴィジュアロックパロディウス-
13. アルテミスの憂鬱〜銃口とマリア〜
(encore1)
14. 有害メンヘラドール
15. VITAL
16. 希少種達の運命
17. Desire
18. 廃課金式ラブストーリー
19. 絶望メンブレガール
(encore2)
20. 2008年高田馬場AREA
21. フルニトラゼパム
22. 21gの感傷
23. アストライアの転生
(encore3)
24. 鬼悦天
(encore4)
25. 男闘魂戦争卍燃えよ誤算光殺砲卍

ライブアーカイブ配信情報

視聴チケット購入はこちら
https://sheeta-d05.com/live/sm5rdKfV3TxSuMA2dH76EABJ

ライブ情報

8/24 名古屋クワトロ
8/25 大阪梅田クワトロ
9/3 渋谷WOMB
9/26 STARRZ東京  品川きゅりあんホール
10/12 SHIBUYA WWWX 緑川プロデュースワンマン「痛服限定ワンマン2024」
10/13 SHIBUYA WWWX 河村プロデュースワンマン「河村友雪に煽られてみない?-2024-」
10/18 Spotify O-WEST 水田プロデュースワンマン「クエストワンマン」
10/19 Spotify O-WEST 眞崎プロデュースワンマン「眞崎大輔の向上委員会2024」
10/25 Spotify O-WEST 0.1gの誤算ハロウィンワンマン「ハロウィンGIG~Pumpkin night forevr~」
11/20 ZeppShinjuku

<0.1gの誤算クリスマスワンマンツアー【クリスマス当日は休む有害ゴサンタ】>
11/26 札幌CUBE GARDEN
11/27 札幌CUBE GARDEN
12/6 福岡DRUM LOGOS
12/7 福岡DRUM LOGOS
12/12 名古屋ボトムライン
12/13 大阪バナナホール
12/21 SHIBUYA WWWX
12/22 SHIBUYA WWWX

12/31 品川ステラボール
1部 水田魔梨バースデーワンマン 生きてりゃ次がある
2部 0.1gの誤算カウントダウンワンマン【ゆく年くる年無法地帯2024→2025】

◆0.1gの誤算 オフィシャルサイト
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