【ライブレポート】Wisteria、初ツアーファイナルで新曲披露も「生きてる中で一番の記憶になる」
男女混合バンドのWisteriaが8月1日、東京・下北沢SHELTERでワンマンライブを開催した。このライブは、6月28日にリリースした1stミニアルバム『Come Here!』のリリースを記念して行なったツアー<太陽の道>のファイナルとなる公演だ。
◆Wisteria(ウィステリア) 画像
Wisteriaはミイ(Vo)、龍星(G)、コウメ(B)、リョウ(Dr)の4人編成。2019年に龍星がコウメとリョウと結成し、メンバーチェンジを経て、2021年にミイが加入、現在のラインナップとなった。自主制作盤の4曲入りEP「NEW FRONTIER」を2021年にリリースし、2023年9月に「インベーダー」「ラブトレイター」の2曲を同時配信リリースしてメジャーデビューを果たした。今回のツアーは、吉祥寺Shuffleから始まり、大阪、名古屋を回って、東京に戻ってきたかたちだ。そのファイナルはバンド初のワンマンということで、大きなターニングポイントとなる。
開演時間の少し前、下北沢SHELTERに到着すると、すでに会場内は満員と言えるほどの状態で熱気に溢れていた。オープニングSEが流れ、メンバーがステージに現れると大きな歓声が飛び交い、オーディエンスもスタンバイOK。その歓声にミイは「お待たせしました! <太陽の道>ファイナル、行きまっせ!」と応え、1stミニアルバム『Come Here!』収録の「No way」からライブがスタートした。前へ進んでいく強い気持ちを歌うこの曲は、初ワンマンに挑む彼らの心境にもピッタリだ。「Sign」を挟んで、『Come Here!』収録の「HELLO ANTIWORLD」へ突入。熱量と勢いは加速していくばかり。
3曲を歌い終わって、ミイは思わず「湯気が! すごいですね、本当に」と会場の熱さに驚きつつも、嬉しそうな表情をのぞかせた。「ここからの景色が本当に素敵で。足を運んでくれて嬉しいです。この景色は今生きてる中で一番の記憶になると思います」と感謝の気持ちを伝えた。序盤からミニアルバム収録の新しい曲を披露したが、「ここからは“覚えてるかな?”って曲をやります。知ってても知らなくても全員拳あげてかかってきてください。よろしく!」と、「Another Vlight」「EXAST」などを演奏。
そして改めて、最新ミニアルバム『Come Here!』を紹介。「今回、夏っぽい曲が多いかなって勝手なイメージなんですけど、いろんな受け止め方があると思います。楽しくなったり、ちょっと落ち込んだ時に聴きたかったり、人それぞれだと思うんです。書いた私の気持ちもあるので、それも汲み取ってもらえたら」と、作品に対する思いを伝えた上で、「これからやる曲は『Come Here!』の曲たち。今までのWisteriaも、これからのWisteriaも愛してくれたらいいなと思います」とオーディエンスに語りかけ、「スイム」「シグナス」を続けて演奏した。葛藤や悩み、苦しみなども含め、思いが歌詞になっており、共感度が高く、メッセージがスーッと胸に染み込んでくる。
中盤、「せっかくのワンマンなのでいつもと違うことがしたいなと思って」とアコースティックタイムに突入。ミイが「高校の頃に書いた曲」と説明し、Wisteriaの楽曲「White」を書くきっかけになったという未発表曲「ジェレミー」を披露した。ライブ前半の力強く勢いのあるバンドサウンドで聴かせる感じとは違って、言葉を噛み締めるようにエモーショナルに歌い、オーディエンスもその歌声をじっくりと聴いていた。続いて、アコギでの弾き語り始まりの「Elysium」を披露。この曲は途中でバンドサウンドに変わり、後半は勢いの展開になっている。この曲はWisteriaの始まりの曲だという。「ここからもっともっともっと楽しくて、WisteriaらしいPeaceな時間をお届けします」と言って、「ピース」「New Start」、新作に収録されている「ハレノヒ」を畳み掛けた。
「4ヵ所しか回れなかったんですけど、私たちにとって初めてのツアー、いろんな経験をさせてもらいました」と振り返り、「ツアーで培ってきたもの、『Come Here!』を作る上で感じたものを全部ぶつけて終わろうと思っています。<太陽の道>、これからも続けていきたいと思っているので、Wisteria、これからもよろしくお願いします!」と呼びかけた。ラストスパートは「White」、そしてメジャーデビュー曲「インベーダー」を演奏し、「最後に、一番の笑顔で、全員でピース見せて!」と呼びかけ、オーディエンスも笑顔でピース!で締め括った。
アンコールでは、「せっかくなんで新曲やります」と8月9日にリリースされる新曲「kotoba」をいち早く披露するという嬉しいサプライズが。この曲に関しては「私の17歳に出会ったいろんな出来事、そして今私が感じていることを全部詰め込んでいる曲になっているので、ミイという人間が“こんな生活を過ごしてきたんだな”っていうのがわかるので、たくさん聴いて考察してください。これからいろんな人に聴いていただいて、たくさん届くといいなと思っています」と、新曲に込めた想いなども明かした。最後は「The Flame」「ピース」をたくさんのカラフルな風船が飛び交う中で演奏。オーディエンスと一緒に記念撮影をして初のワンマンを締めくくった。
ミニアルバム『Come Here!』の曲を序盤から聴かせ、最近演奏してなかった曲たちも披露。アコースティックコーナーがありつつ、アンコールでは“これから”につながる新曲をいち早く披露。Wisteriaの現在と過去を行き来し、そして未来も垣間見える、これまでの活動を凝縮した内容、集大成とも言えるものだったのではないだろうか。ワンマンだからこそできる構成のライブとなったが、オーディエンスの盛り上がりを見ても今回のライブは大成功だった。
文◎田中隆信
撮影◎若菜
■デジタルシングル「kotoba」