【インタビュー】BREAKERZ、3年ぶり8thアルバムが物語る熟成と限界突破「時代に左右されない新たな自由の幕開け」

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■キャリアを積み重ねてきたから
■自信を持ってヴィンテージって名乗れる


──そういうレコーディング秘話も含めて、AKIHIDEさんの記憶に強く残っている曲は?

AKIHIDE:記憶に残っているというか、「LADY CAT」とか「Free! Free!」とか、自分が書いた曲に関してはライブを意識していますね。「Free! Free!」に関しては当初、サビももっと細かく展開していたんですが、DAIGOくんから「サビはもっとシンプルにしてライブでみんながジャンプする感じにしたい」っていうアイディアが出て、「だったら歌詞にも“ジャンプしよう”って入れよう」って変えたりとか。「LADY CAT」もみんなの声を聴かせてほしかったから、“もっとほら聴かせてよ 愛しい声を”って書いたんです。だから、本当にライブで完成するアルバムでもあるのかなって。他の曲ももちろんそうだし、だからこそ全曲聴いてツアーに来てほしいですね。身体に染み込ませて。

──「Free! Free!」はアラビアンスケールを使っていますか?

AKIHIDE:そうですね。アラビアンな感じがちょうどうまい具合にハマったんですよね。サンプルのベースを聴いてギターで遊んでいる時に出来た曲で、面白いなと思って。

──DAIGOさんが作った「Killer」から、「Free! Free!」に移行する流れに共通点を感じます。

AKIHIDE:そうですね。偶然なんですが、やっぱり同じ時代に生きているし、一緒にずっとバンドをやっているので、感じることや求めてるものって似るんだなと思いました。もちろん、各自の活動はありますけど、同じ方向を向いているんだなって。こういう時に不思議な縁を感じます。


▲AKIHIDE (G)

──「Free! Free!」には冒頭の歌詞に“ネットの海”という言葉が出てきますし、「Killer」もSNSの問題点を歌っているのかなと。

DAIGO:書いたのはAKIHIDEさんのほうが早かったのかな。僕が書きたかったのはSNSに限らず、真実が明らかになっていないのに、あたかも結論が出たかのような伝わり方をすることが多いなということで。いろんなニュースにしてもそう、全てにおいてですね。途中経過でどっちが良いとか悪いとか決まってしまうところがあるから、それは良くない風潮だなと思っているんです。

──確かにそうですね。

DAIGO:例えば世界のどこかで戦争が起こっていて、本当のことはわからないのにどちらかの国を悪者にしたりとか。早々と決めつけてしまうところがありますよね。全く事実無根なことがあたかも真実であるかのように広がることもあるし。SNSに限らずね。結局、「間違いでした」ってなっても、心を殺されてしまう人もいるだろうし、そういうことを感じながら書いた曲ですね。

──「Killer」「Free! Free!」のような強いメッセージがある曲ばかりではないですが、今回のアルバムはロックバンドらしいエッジがあります。

DAIGO:そうですね。

──キャリアを重ねて丸くなるのではなく、BREAKERZの初心が芯として入っているのがいいです。では、タイトル曲「Bintage」について、曲が生まれた経緯を教えてください。

SHINPEI:いつもギターリフとかドラムをイメージして作るんですけど、これは打ち込み主体の音に、メンバー3人がどれだけバンドサウンドを吹き込めるか、そういうチャレンジをしたくて書いた曲なんです。管楽器を使ったノスタルジックな音楽がバックに流れている映画『ゴッドファーザー』を見ている時に、“こんな感じの曲が作りたいな”って。チャレンジではあったんですが、長いこと一緒にやってきたメンバーだから、やってくれるだろうって。そういう期待と信頼感があったからこそ提示できた曲ですね。ギターに関しては控えめなところからサビで強めに入ってくる構成で、ボーカルもそっと歌うのとウィスパーがメイン。隙間があるサウンドなんですが、3人で演奏したら、すごく説得力のあるものになるだろうという自負がありました。


▲『Bintage』初回限定盤B

──SHINPEIさんの中に、『ゴッドファーザー』の背景になっている時代の、ジャズの要素を入れたいというイメージがあったんでしょうか?

SHINPEI:イントロはそうですね。サウンドが固まって、最後に歌詞ができてきたんですが、“ヴィンテージ”という言葉を見た時に点と点が線になって、アルバムの全体像が見えたような。そんなドラマを感じました。

DAIGO:自分の中ですごく引っかかる曲だったんですよね。アルバムのタイトルにもハマりそうだし、いい意味でSHINPEIらしくない曲を持ってきたなって。

──ゴリゴリのロックではないですし。

DAIGO:ただ、限界をぶっ壊して新しいものを作れるような曲だと思ったんですよね。

──今のこの3人だからこそ生まれた曲なんですね。

SHINPEI:“ヴィンテージ”には“古き良きもの”というイメージがあると思うんですが、僕らのデビューから今までの歩みを踏まえての意味合いだと思っているんです。歌にしてもギターのフレーズにしても、ここまでキャリアを積み重ねてきたから自信を持って“ヴィンテージ”って名乗れるっていう。色気もエッジもある曲になりましたね。AKIHIDEさんのギターは音色にしても選ぶフレーズにしても僕にはできないというか。ロックを追求している同士ではあるんですが、この曲を通して、本当にいろんな表情を持つギタリストだなと、改めて思いました。

AKIHIDE:僕がこの曲を聴いた時は「SHINPEI、こういう曲書くんだ!?」ってビックリしましたね。BREAKERZとしても斬新だと思います。最初は、今回のアルバムコンセプトと違うかな?と思ったんです。でも結果、逆に際立つ曲になった。こういう曲を巧くアレンジできるようになったのも、バンドを17年やってきた熟成感があってこそなんだろうなって。レコーディングも楽しかったんですよ。個人的には、この曲のように16ビートのカッティングを刻むのも好きなんですけど、今まであまりなかったんです。しかも、それをふんだんに盛り込めて。さらには、SHINPEIが褒めてくれるから余計調子に乗っちゃって(一同笑)。

──楽しんで作ったんだろうな、ということが感じられるアルバムでもあります。

AKIHIDE:そうですね。音を楽しんでる感じがバンドっぽいと思います。

──「Bintage」はDAIGOさんのボーカルもアルバムでいちばんセクシーです。年代物のワインをBREAKERZにたとえていて、“SINCE 2007”とデビューの年が入っているのもうまいなと。

DAIGO:試行錯誤しながら。いい意味で大人っぽい曲なので、今作のヴィジュアルはこの曲から広がりましたね。

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