【インタビュー】Sou、創作は無限大「宇宙を想像したときの高揚感が得られるアルバムにしたかった」

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昨年活動10周年を迎えたボーカリスト・Souによる4thフルアルバム『センス・オブ・ワンダー』を掘り下げるインタビュー企画。第1弾のSouとナユタン星人との対談に続き、今回の第2弾ではSouのソロインタビューで今作に迫る。

『センス・オブ・ワンダー』は様々なVOCALOIDクリエイターとバンドマンというシーンを超えたソングライターが集う作品であるが、なかでも注目したいのはSouが手掛けたタイトルトラックだ。彼が作家を招かずに作詞作曲を行った楽曲は約4年ぶり。彼の作曲欲が再燃した理由は、「VOCADUO 2023」でタッグを組んだhigmaとの出会いだった。彼のソングライティングへの思いや充実感、アルバム制作に関する制作背景等、彼のクリエイティビティを掘り下げていこう。

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◼︎「この人に作ってもらいたい!」とアタックしていく

──『センス・オブ・ワンダー』はSouさんの音楽センスが発揮された、情感を揺さぶるアルバムでした。作品のイメージはどのように固めたのでしょう?

Sou:まずアルバムを作るときはいつも、「誰に曲を書いていただきたいか」を考えまくって、その瞬間に思いついた人たちに一か八かでとにかく突撃しに行くというやり方を取っていて(笑)。

──「その瞬間に思いついた人」ということは、人選は直感的ということですか?

Sou:直感ですね。「こういう曲が欲しいからこの人に頼もう」とかではなく、「この人に作ってもらいたい!」と思いついた好きな人たちに上から順番にアタックをしていくイメージです。そのなかで、バンドさんとVOCALOIDクリエイターさんが半々ぐらいだといいかなとはざっくりと思っていました。自分のルーツにはVOCALOIDはもちろん、日本のバンドもあるので。

──確かに前作『Solution』では、錚々たるVOCALOIDクリエイターの提供曲のなかに、川谷絵音さんが作詞作曲をした「常夜灯」がありました。

Sou:『Solution』の時も「バンドマンの方に楽曲提供を依頼している歌い手ってあんまりいないな」と思って、川谷さんにお声掛けさせていただいたんです。それがきっかけで「もしかしたら他のバンドマンさんも受けてくれるかな?」と今回チャレンジしてみましたね。だからコンセプチュアルなアルバムではないんですけど、モチーフやビジュアルは自分の好きなものにしたいという気持ちがあって。それで“宇宙”のイメージと“センス・オブ・ワンダー”という言葉にたどり着いたんです。




──“センス・オブ・ワンダー”はSF作品等に触れたときに湧き上がる不思議な感覚を指す言葉ですよね。

Sou:宇宙を想像したときの高揚感が得られるアルバムにしたかったんです。子どもの頃から『スター・ウォーズ』も好きだったし、学校の授業で天体が扱われるたびに「すげえ!」って感動するくらいには宇宙が好きで。1stアルバム『水奏レグルス』のジャケットも星をモチーフにしていたり、自分の根本にあるものなんですよね。宇宙って、想像してもわかんないくらいのとんでもないスケールじゃないですか。

──そうですね。わたしたちがいま生活している地球も、ものすごいスピードで自転しながら公転もしてるんですものね。それも本当に不思議で。

Sou:そうそう、そうなんですよね。正直意味がわからない(笑)。宇宙のことを想像し始めると、宇宙のことを考えたときにしか生まれない感情というか、他のことに触れたときとは本当にまったく違う、それでしか得られない感覚があって……。そうすると「そもそもこの世界ってなんなんだ?」みたいなところまで行きつくじゃないですか。言葉では言い表せないその感覚はロマンに溢れていて、すごく好きなんです。創作も無限大なので、そういうところが宇宙と通ずるなと思っています。

──確かにSouさんが発信する音楽は、言葉で言い表す際に繊細さが必要なので、通ずるものがあると思います。ポップだけどどことなく切なさがある曲も多いので。

Sou:音楽もどストレートよりも、ちょっとどこか違う要素同士が入っているものを好きになることが多いですね。アルバムも毎回バラエティに富んだ内容になるので、特定のジャンルを好きになるタイプというよりは、それぞれのジャンルでこういう感じの好きな曲があるっていうタイプかもしれません。この前友達には「浮遊感がある曲が好きだよね」と言われて、確かになと思って。王道のコード進行ではなく、ちょっと外してふわっとさせたものが好きな傾向にはあります。

──アルバムにしか入っていない、知る人ぞ知る名曲みたいな。

Sou:そう、そうなんですよね(笑)。インパクトのあるシングル然とした曲よりは、音楽好きな人に刺さりそうな絶妙なニュアンスが散りばめられた曲を好きになるタイプではあります。ただ「歌ってみた」でもそうなんですけど、選曲は好みだけを貫いていくよりは、しっかりバランスを取りたいなとは思ってます。もちろん自分の好きなものを貫く人はかっこいいんですけど、僕としては自分のやりたいこととみんなが聴いてくれるものをいい塩梅でやっていくことが大事だと思っていて。そうすることで、自分がやりたいものや聴いてほしいもの、好きになってほしい音楽性も聴いてくれる人に届けられるんじゃないかなと思うんです。

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