【インタビュー】Nothing's Carved In Stone、メジャー移籍EP『BRIGHTNESS』完成「常に更新し続けていくバンドでありたい」

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■今回のギタリストとしての目標はカッコいいリフ
■そういう曲で埋め尽くしたかったんです


──そんな「Dear Future」も含む、今回の『BRIGHTNESS』。最初はどんな作品にしようと考えたのでしょうか?

生形:最初はアルバムを作るつもりだったんですけど、アレンジに時間を掛けすぎちゃって。でも、ツアーは決まっていたから、だったら、今ある7曲をとにかくいいものにしようってことになったんです。

──最初、アルバムとして作り始めたとき、作風や方向性はどんなふうに考えていましたか?

生形:何かあったっけ?

村松:デモを作ってきて、それに対して全員で、「これいいね」「あれいいね」って言いながら選りすぐったものを1曲1曲、時間と熱を注いでみたいな感じでしたね。

生形:結果、どこにも隙がないものになったという感覚はあります。

──歌詞は1曲1曲、違うテーマを歌いながら、『BRIGHTNESS』というタイトルに集約される全7曲共通の世界観があると思うのですが、それはその時のバンドの気持ちや思いが表れているんですよね?

村松:本当にそうですね。『BRIGHTNESS』というタイトルは全7曲が出揃ってから、わかりやすく名前を付けるならって考えたものです。やっぱり15年一緒にやってきたバンドの中身の濃さみたいなことなのかな。歌詞は俺達二人が書いているんですけど、メンバー全員が同じ気持ちだろうなっていう認識で書いてはいて。たとえば、ひなっちが自分で書いた曲に対して、曲を書きながら思い浮かんだ言葉を「歌詞を書く参考に」ってくれることもあって。それを基に歌詞を書いたり、歌いやすいように直したりもするんですけど、ひなっちが書いた言葉に何の違和感もないと言うか。むしろ、“こんなふうに歌いたかった”と思えるんで、これが今のバンドの意思なんでしょうね。


▲生形真一(G)

──全体の方向性があったわけではなくて、1曲1曲を仕上げていったそうですが、サウンド面では複雑なアンサンブルではなく、と言ってシンプルというわけでもなく、有機的な絡み合いというところと、あともう1つ、 デジタルな音色とバンドサウンドの融合を推し進めるというテーマがあったように感じましたが。

村松:デジタルな音色という意味では、アレンジャーさんに入ってもらった曲があるじゃないですか。それでちょっとシンセの音色が更新されたところはあるんですよね。

生形:そうですね。アレンジャーさんに一番やってもらったのはシンセだったんですよ。

村松:シンセの音色の移り変わりって、今、めちゃくちゃ早いじゃないですか。どんどん新しくなっていて、自分達ではなかなか更新できていないところを少しお願いしたかったっていうのもあって。その効果はあったと思います。

──つまりナッシングスのサウンドにシンセはもう欠かせないものだと?

生形:前からそうなんですけど、今までは自分達のアイデアをマニピュレーターに伝えて、作ってもらってたんです。ただ、今まではあくまでもバンドサウンドの中の補助としてのシンセだったけど、今回はもうちょっと前に出てますね。

──「Bright Night」ではリフっぽいフレーズを奏でていたり、「Dear Future」ではオーケストラヒットっぽい音が入っていたり。

生形:「Dear Future」の、あれはまさにアレンジャーさんのアイデアですよ。

──なぜ、シンセを前に出そうと?

生形:今の音楽って割とそういうものが主流じゃないですか。しかも、俺らも実は昔からそういうことをやっていて。その割合をちょっと増やしてみようか、ぐらいのことですね。でも、4人で話し合って、そうしたわけではなくて、自然にそうなってましたね。



──シンセを前に出したせいなのか、生形さんのギターも歪みも使いつつ、デジタルっぽい音色を奏でることが増えた印象がありましたが。

生形:デジタル? どの曲だろ?

村松:「Freedom」ですかね。

──そうですね。あと、「Will」と「Dear Future」のイントロのリフですね。

生形:「Freedom」のリフはファズを掛けたギターにちょっとシンセを重ねているんですけど、ほとんどギターの音なんですよ。でも、それもけっこう昔からやっていて。

──はい。それが今回、より前に出てきた印象がありました。

生形:毎回、ギタリストとしていろいろな目標を考えるんですけど、今回は、カッコいいリフを作りたいというのがあって、そういう曲で埋め尽くしたかったんです。

──シンセっぽいと言うか、デジタルっぽい音色を奏でていることも、カッコいいリフを作る方法の1つだったと?

生形:そうですね。ただ、俺の感覚としては、全然デジタルじゃないんですけどね。だって、めちゃくちゃアナログなファズで音を出しているから(笑)。きっと狙ってる場所は一緒なんだと思います。ただ、音の出し方が違うだけで。「Will」のイントロもファズだから、ファズの音をシンセとして捉えられているってことですよね。

──なるほど、そういうことですね。2022年3月に配信リリースしたシングル「Fuel」ではワーミーとオクターバーを使って、デジタルっぽい音色を出していたそうですが、今回はそういう音作りはしていない?

生形:今回、ワーミーはあんまり使ってないかな。なんか最近使いすぎてるかなと思って。ライブをやる時にわかるんですよ、なんか使いすぎてるなって。それで、今回は減らしたのかもしれない。あんまり憶えてないですけど、今回のようにファズでそういう音色を出すってことはけっこう前からしていて、今回はそれがリフとして前に出てくるから、際立って聴こえるんでしょうね。


▲村松拓(Vo)

──それこそカッコいいリフを作ったからこそじゃないですか。ところで、今回も生形さんと日向さんがデモを作って、バンドでアレンジするというやり方で?

生形:そうです。アレンジは4人でやりました。

──デモからガラッと変わることも多いですよね?

生形:全然変わります。俺、基本ワンコーラスしか作らないから。

──劇的に変わった曲はありましたか?

生形:それを言ったら、「Will」かな。

村松:うん、だいぶ変わった。

生形:壮大になりました。もともとはアコースティックギターで、サビまで弾き語りだったんですよ。そこからコードもけっこう変えたし、アレンジャーさんが入って、さらにシンセも加わって、一番変わったかな。

村松:ナッシングスのロックバラードになる予定だったんですよ。

──あぁ、なるほど。バラードとアンセムが1つになったような曲ですよね。武道館で生形さんは「最近、人と人との繋がりが希薄になったと感じてる」っておっしゃっていたんですけど、デモを元にバンドで作り上げるという方法はその発言と繋がるのかなと思って。最近は、メンバーの一人がアレンジまで考えて、他のメンバーはその通りに演奏するというバンドも多いじゃないですか。自分たちはそうじゃないぞっていう思いもあるんでしょうか?

生形:武道館で言ったのは、世の中的な話だったんですけど、そういうところに繋がるところもありますね。俺が一人で作ったものを、「歌を入れておいて」って拓(村松)に送って、拓が部屋で歌を録って、俺のところに返してくれてっていうのが一番楽かもしれない。でも、俺らはデモを4人集まって、まず聴きながら、「どれがいいか」って決めて、それから4人でスタジオに入って、「こうしたら」「ああしたら」ってアレンジするんですけど、何気ないメンバーの言葉が妙に引っかかったりして。それが忘れられなくて、「やっぱりこうしよう」って最後に変えたりっていう。それが俺はすごく大事だなって思うんですよ。それってやっぱり面倒くさいじゃないですか。みんなで日にちを決めて集まんなきゃいけないし。

──面倒くさいけど、その面倒くささを超えて得るものがあると?

生形:そうですね。俺らの時代はそれが普通だった。ただね、もちろん今の時代にもいい部分もあるから、俺らはそういうやり取りもしてるんです。だから、両方のいいとこ取りって感じかな。ただ、アレンジとか、「ここは絶対4人でやるべきだ」って核となる大事なところは、4人でやってますね、完全に。

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