【ライブレポート】新生SODA KITの晴れ舞台。次回作はFAKE TYPE.が楽曲提供

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2年目からは仮面をつけて活動することを宣言した新生SODA KITによるイベント<PERSONA>が、¥1月8日に池袋harevutaiで開催された。昼の部ではワンマンライブが、夜の部ではファンミーティングが行われた本イベントから、ここではワンマンライブの様子をお届けする。

◆ライブ写真

晴天に恵まれた三連休最終日。たくさんの新成人を街中で見かけたこの日、池袋のライブ劇場・harevutaiには、SODA KITの晴れ舞台を目の当たりにするべく、大勢のファン(KIT CREW)が集まっていた。この日が初めての音楽ライブだった人もいたらしく、サイリウムを片手に開演を今か今かと待つ姿からは、胸の高鳴りが聞こえてくるかのようだった。

場内にはライブ前の独特の緊張感が漂っていた一方で、開演前のアナウンスのために登場したSODA KITの面々は、いつも通りのゆるい雰囲気。「友達が欲しい人〜?」と呼びかけて、挙手した人がお互いに声をかけられるきっかけ作りをするなど、今日という日を全力で楽しんでもらおうと振る舞っていた。

やがて会場内が暗転すると、前方のスクリーンでオープニング映像がスタート。仮面をつけたメンバーのキービジュアルが次々に登場し、それに呼応するように、客席からは4人の名前を呼ぶ声が響き出す。観客の期待が最高潮を迎えたところで、4人がステージ上に登場。そのまま1曲目のパフォーマンスが始まった。


1stリアルワンマンライブの幕開けは、「フォニイ」。4人がSODA KITとしてデビューする前、2023年10月に「60日後に始動する歌い手グループ」として始動したYouTubeチャンネルで、初めて投稿した歌ってみた動画が「フォニイ」だ。当時と同じように仮面をつけて登場した4人だったが、そこはYouTubeの画面上ではなく、現実のライブステージ。この日を待っていたと言わんばかりに歓声をあげ、大声で4人の名前を呼ぶKIT CREWに対して、歌と全身を動かしてのパフォーマンスで応えていた。

続けて歌われたのは「エゴロック」。勘の良いKITCREWは、もしかしたらこの時点で気づいたかもしれない。SODA KITの始動前まで時を遡り、「60日後に始動する歌い手グループ」として歌い始めた仮面姿の4人の、その歴史を辿っていることに。──そう、これまでにYouTubeチャンネル上で歌ってきた動画を、その「公開順」に披露しているのだ。

テンポの速い楽曲をすんなり歌いこなす歌唱は言わずもがな、ステージ上で繰り広げられる4人の掛け合いも見どころ。時にかっこよく、時にかわいく、時にお茶目に歌って踊る様子からは、普段の4人の関係性と仲の良さも垣間見える。仮面をつけているにもかかわらず表情が見える、感情が伝わってくるような、楽しげなステージだった。

大きく動くパフォーマンスから一転して、3曲目は静のターン。椅子に座った4人がステージ上に現れるやいなや、客席からは黄色い声があがっていた。歌うのは「フィクサー」。やはり始動前に投稿された1曲であり、しかもその動画のビジュアルそのままの座り方で4人が登場したとなれば、当然の反応だろう。

しかし曲調としては決して穏やかな楽曲ではないため、座りながらどのようにパフォーマンスをするのかと思ったら、静と動の緩急で魅せてくれた。それぞれの歌唱パート以外では椅子と同化するように静止しつつ、サビでは自然な動きで体を揺らしながら歌う。動画でも取り入れられていたラップアレンジも、その絶妙な緩急を生み出す一要素となっていた。

ノンストップで3曲も歌えば、そろそろMCが入るかと思いきや、まだまだ止まらない。おなじみのギターサウンドが鳴り響くイントロで、「みんなの大声、聞かせてくれよ! 最初の言葉はわかってるよな? 『さぁ』から始まるぜ? 行くぜ!」と呼びかけるRasetsu。歌い手にもVTuberにも定番の人気曲「ロキ」が掻き鳴らされる。

大勢のシンガーが歌ってきた定番曲ではあるものの、この日この場所で披露された「ロキ」は一味違った。歌唱力に秀でたグループが歌って踊るとこんなにも見ごたえのある曲になるのかと、思わず目を見張るほどの完成度の高さ。4人の一挙手一投足に釘付けになってしまうほどに一味も二味も違う「ロキ」を目の当たりにして、会場も大盛りあがりだった。

SODA KIT始動前に投稿された歌ってみた動画は、全部で5つ。そのラストが「ドラマツルギー」だ。同じく歌い手のあいだでは定番であるものの、難易度は決して低くない1曲。もともと歌唱力の高い4人は当時もその「歌」で視聴者を惹きつけていたが、今やそれをパフォーマンス込みで歌いこなしているのだから恐れ入る。


仮面で素顔を隠し、「ずっと僕は何者にもなれないで」と歌っていた4人は、やがて何者かになっていく。SODA KITとして歌い始め、メジャーデビューを果たし、活躍の場を広げてきた4人。しかし1周年のタイミングで“解散”を運営から通告されたことで、一度その関係値はリセットされてしまった。

「なにか たいせつなものを わすれている きがする」

そんな言葉と演出の後にスクリーンに映し出されたのは、仮面を外す4人の姿。
もともとはVTuber/VSingerとしてソロで活動していたユプシロン、遊喰らせつ、Figaro、紫ヶ内ムゲイが「SODA KIT」になった理由が、このワンマンライブの舞台で、改めて4人の口から語られる。

Figaroは、ソロアーティストとしても歌を届けられるようになるために。
Mugeiは、歌でもゲームでも最強になって、てっぺんを取るために。
Rasetsuは、みんなを笑顔にする、エンターテイナーになるために。
Yupsilonは、誰もが知るような1曲を、この世界に残すアーティストになるために。

2022年10月。夢を叶えるために、仮面をつけて歌い始めた4人。2年目を迎えた今、再出発のために最初の気持ちに立ち返り、もっともっと自分たちの歌声を届けるために、仮面をつけることを選んだ。でも、この会場でだけは、集まってくれたみんなの目を見て、音楽を届けたい──。

そう語りながら仮面を外した4人が歌うのは、「DRAMA」。4人がSODA KITとして初めて世に送り出した、1stオリジナルソングだ。

しばらく4人からのメッセージに聴き入っていたKIT CREWたちだったが、いざ曲がスタートすると、すぐに音楽を楽しむモードに。声を出すように促すYupsilonに応えるべく、思い思いにサイリウムを振り、間奏では声をあげ、この晴れ舞台で歌われるSODA KITの代表曲を全身で楽しんでいた。

また、ここからは4人の背後に映像が加わり、「DRAMA」ではMVのリリックを投影。特に初期から応援しているファンにとっては思い入れの深い楽曲であり、しかもSODA KITの再出発を示す演出の後だったからだろうか。歌詞を見ながら、その一言一句を噛み締めるように聴き入っている人も散見されていた。


「DRAMA」を歌い終えたところで、この日初めてのMCに突入。さすがにここまでの流れで疲労や緊張もあったのか、何かを口にする前にステージ上から聞こえてきたのは、メンバーの誰かのため息。それを聞いて、客席にもホッとしたような笑い声が広がっていたのが印象的だった。

「SODA KIT 1stリアルワンマンライブ 『PERSONA』へようこそ!」というRasetsuの挨拶を皮切りに始まったMCは、リアル会場での音楽ライブならではのコール&レスポンスも挟みつつも、なんともSODA KITらしい展開に。

自己紹介を終えたFigaroが「やることはやった」と言わんばかりに客席に行こうとしたり、Yupsilonが「今日もちゃんと迷子になった」ことを自白したり。「今日、俺に会いに来たよ! っていう人~?」と承認欲求を満たし始めたMugeiを見て他のメンバーがその場にしゃがんでしまったり、Rasetsuがスタッフと関係者にまでコール&レスポンスを迫ったり。エモい雰囲気から一転、普段の配信のようなわちゃわちゃとしたやり取りが繰り広げられることとなった。

仮面を取った、本当の僕たちを見てほしい──そんなYupsilonの言葉に続いてタイトルコールされたのは、「アンノウン・マザーグース」。1stミニアルバムの収録曲としては唯一のカバー曲であり、Yupsilon自身がネットカルチャーに触れるきっかけとなった曲の1つでもある。

感情をぶちまけるように言葉を、愛を、物語を歌う唄。ミニアルバムで聞いたときも収録されていることがしっくりくるカバーだったが、「そうだ、きっと僕たちは物語になる」を音楽で表現するSODA KITの第二章として、喜怒と哀楽を今まさに歌い始めた4人が口ずさむ物語として、このライブ会場で歌うのがこれ以上ないほど相応しい楽曲であるように聞こえた。

続けて歌ったのが、その第二章を象徴する1曲でもある「徒然論怒」。喜怒哀楽の感情を4人のメンバーが歌う「群像劇」シリーズにおいて、“怒”をテーマにした楽曲だ。
この楽曲の主人公であるMugeiが、初めて作詞に挑戦した楽曲でもある。メンバーの中でも頭ひとつ抜けた激しさを持ちながら、不思議と耳に心地の良いMugeiのがなり声を存分に堪能できる1曲。会場を揺るがすような重低音に乗せて小気味よくリリックを紡ぐラップパートは、圧巻の一言だった。また、この曲のパフォーマンスでは、それまでは手持ちだったマイクを、マイクスタンドに変更。歌いながら両腕を動かせるようになったことで、その感情表現がより激しく明瞭になっていたように感じた。

休むまもなく、重低音強めの「ききょう」を続けて食らわされる。ミニアルバムの収録曲としては唯一YouTubeチャンネルにMVが投稿されていないが、昨年は「Virtual Music Award 2023 SUMMER」でも歌われている楽曲だ。はっきりと“怒”がぶちまけられていた「徒然論怒」とはベクトルが違うが、激しめの感情が込められているようにも聞こえる1曲。打撃音強めのサウンドに誘われて、サイリウムよりも体のほうを揺らしながら聞いていた観客も多かった。

2度目のMCパートでは、以前のオンラインライブではなかった演出として、「マイクスタンド」と「椅子」を取り入れたことについて言及。これまでのライブの内容を軽く振り返りつつ、「椅子、かっちょよかったね」「フィクサーっぽい椅子、探してきました!」といった会話が行われ、観客の共感と笑いを誘っていた。

「それぞれの夏を思い浮かべて聞いてください!」というFigaroの声に導かれ、静かに流れ出す澄んだメロディー。「群像劇」シリーズより、Figaroを主人公とした楽曲「カゲボウシ」だ。テーマは、喜怒哀楽の“哀”。切なく美しいバラードでありながら、たくさんの音と言葉、悲哀と後悔が詰まった夏の歌。「徒然論怒」もそうだったが、現在公開されている「群像劇」シリーズの2曲からは、SODA KITのグループとしての新境地を感じさせられる。ノスタルジーとはまた違った“夏の匂い”が、4人の織り成す歌声とステージから伝わってくるようだった。


切ない夏の思い出から、過去を礎に前を向く“今”の物語へ。7月にオンラインで行われた1stワンマンライブでも歌われた「シネマ」が、このリアルワンマンライブでも披露された。当時もダンスとあわせて歌唱していた1曲だが、今回は初のスタンドマイクバージョン。既存の振り付けをアレンジするだけにとどまらず、ステージパフォーマンスにもますます磨きがかかっているように見えた。「シネマ」自体、複数人で並んで歌われることの多い楽曲だが、それを「異なる特徴の歌声を持つSODA KITの4人が歌う」ことで、ある種の親和性や安定感が生まれているようにすら感じられた。

そろそろライブも終盤に差し掛かりつつある雰囲気の中、3回目のMCパートでも、SODA KITの面々はまだまだ元気な様子。

「みんなー! 楽しんでるかー! いぇ~~~~い!」とロングトーンを響かせながら登場したFigaroに、直前の2曲について「自分も歌いながら泣きそうになるくらいエモかった」と語るYupsilon。比較的おとなしい曲が続いたことで「むずむずしてきた」と口にするMugeiの言葉を引き継いで、「みんな!  体、動かしたいか!?」と客席に呼びかけるRasetsu。それに応える観客たちの声を受けて、自然な流れで次の曲紹介が始まった。

不思議な力で右手にマイクを召喚させると同時に、気合でスタンドマイクを消失させ、広くなったステージ上を無邪気に駆け回る4人。そんなやり取りを「かわいい~!」と笑顔で見守っていた観客たちだったが、次の曲名が明かされた途端、笑い声が大きな歓声へと変わった。2023年を代表すると言っても過言ではないだろう楽曲「アイドル」だ。

あの難しい原曲を忠実に歌い上げつつも、四者四様の個性も同時に感じさせられる歌声。特にFigaroによる低音のラップパートにはゾクゾクさせられた。カジュアルな「歌ってみた」の枠にとどまらない歌唱力を持つ4人が、4人で歌うことで唯一無二の魅力を生み出していることを強く実感させられる、ライブならではのアツいパフォーマンスだった。

ラストスパートと言わんばかりに続けて繰り出されたのが、やはり2023年によく聞いた人「唱」だ。これまた「ただでさえ難しい曲を振り付けありで歌う」という課題を4人でこなし、完成されたパフォーマンスとして昇華しているのだからすさまじい。

歌唱後のMCでは「一番の難関だった」「ギリギリまで間に合わなかった」という話も出ていた一方で、「Adoさんのプレイリストに入れていただいて嬉しかった」というエピソードも。客席から見ていたかぎりでは、複雑な振り付けを取り入れつつも自然でやわらかい動きに映る、裏での苦労を感じさせない見事なステージだった。

しかしここで、Figaroから「大切なお知らせがあります」と神妙な一言が。続けて放たれた「次の曲が……最後でーす!」の言葉に対して、「え〜〜〜!?」「今来たばっかりー!」とお約束の声が客席から投げかけられるが、それだけではないらしい。最後の1曲に関してはなんと、「写真や動画の撮影OK」「SNS投稿も可」とのこと。それを聞いた客席からは驚きと喜びの声があがると同時に、スマートフォンを取り出す姿があちらこちらで見られていた。

撮影&録画OKのラストソングは、「リングアウトホワイトボード」。1stミニアルバム収録のリード曲だ。声を出して盛り上がれるポップでキャッチーなロックナンバーだが、迷いも憂いも肯定して背中を押す、「これから」を踏み出す人にぴったりの1曲でもある。

一度まっさらになったとしても、空っぽになってしまったとしても、何もないからこそ、その中を何かで埋められる。4色のサイリウムとスマートフォンの画面が共にきらめく客席に向けて、「口から溢れるこの音が 今ある僕のすべてだ」と歌う4人。SODA KITが紡ぐ物語はきっとこれからも続いていくのだと確信させられる、力強いパフォーマンスだった。

その余韻に浸るような間隙から、ややあって会場を満たし始めるアンコールの声。ただアンコールを繰り返すのではなく、メンバーに向けて応援の気持ちを叫ぶような声もちらほらと聞かれていたのが印象的だった。

そのアツい声に応えるようにして場内が暗転し、やがて映し出された「重大発表」の文字。スタイリッシュなムービーに見えて、「重大発表が3つあります…」というどこかゆるいフレーズが盛り込まれているのもまた、SODA KITらしさを感じられる。

まず、2ndミニアルバムの発売決定が最初に告知されると、何が発表されるのかと固唾を呑んで見守っていたKIT CREWのあいだで大きな声があがった。「群像劇」シリーズの4曲に加えて、リード曲「ロングラン」収録したミニアルバムが3月20日に発売される。

続いて、そのミニアルバムのリード曲「ロングラン」について。それまではSODA KITの楽曲はYupsilonが中心となって制作していたが、今回は外部からの提供曲。その提供者がFAKE TYPE.であることがスクリーンに映し出されると、客席からは驚きの入り混じった歓声が巻き起こっていた。発表後もしばらく興奮気味のざわつきが場内を渦巻いており、ファンの期待を大きく高める発表となっていたようだ。

そして最後に、SODA KITの3回目のファンミーティングの開催決定が告知された2023年11月の1stファンミーティング、そしてこの日の夜に行われる2ndファンミーティングに続いて、早くも3回目の開催となる。それだけ熱量が高いファンが集まっていることの証左でもあり、今後のイベント展開もますます楽しみになる発表となった。

以上の告知映像が終わると、ステージ上に4人が再登場。ゆるいやり取りとちょっとしたおふざけも挟みつつ、今日のライブの感想と、ずっと自分たちを応援し続けてくれているKIT CREWたちへの感謝の言葉を、1人ずつ会場に向かって話していた。

ワンマンライブを締めくくるのは、SODA KITの2ndデジタルシングル「コンテンダー」。SODA KITという船に乗ってメジャーデビューを果たした4人が、“挑戦者”として大海原へと漕ぎ出す際にリリースされた1曲だ。

活動も2年目に突入し、第二章を紡ぐべく走り出した4人。心の底から楽しそうに、嬉しそうに、疾走感あふれるメロディーに言葉を乗せて、全身全霊で歌って踊るその姿。
「ほんの少し違ったら ここにいるのは僕じゃなかったのかも」と歌う4人を見ながら、逆説的に、「この4人が、この4人で“SODA KIT”として走り始めたからこそ、ここにいる」ことを実感させられる。再出発のために、自分たちの夢を改めて表明したワンマンライブ。そのステージを締めくくるラストソングとして、文句なしの歌とパフォーマンスで魅せてくれた。

新成人の門出を祝う年始の祝日に、「harevutai」の名を冠するステージで行われた、新生SODA KITのライブ。SODA KITの面々にとっての“晴れ舞台”だったことは言わずもがな、ステージに立つ4人の姿を間近で見られたKIT CREWにとってもまた、最高の1年の始まりとなったのではないだろうか。

文◎けいろー(@K16writer)
写真◎杉崎恭一

リリース情報

2024年3月20日発売 
SODA KIT「ロングラン」

・初回限定盤
品番:PCCG-02345
価格: 2,750円(税込)
仕様:CD1枚/ブックレット(20P)/ランダムトレーディングカード1枚(全4種)
初回プレス封入特典:イベント参加券(イベント内容は後日発表)

・通常盤
品番:PCCG-02346
価格: 1,980円(税込)
仕様:CD1枚/ランダムトレーディングカード1枚(全4種)
初回プレス封入特典:イベント参加券(イベント内容は後日発表)

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