【インタビュー】Blue Vintage、最新EP『GREEN』は自然体を前面に出した1枚「いろんな面を見せられるのが強み」

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それは暑さにうだる都会の喧騒を離れ、潮風の吹き抜ける夏の海へと誘うBREEZEのようなミュージック。Blue Vintageの最新EP『GREEN』は“自然体”をテーマに、よりナチュラルでオーガニックな方向性に進化した音楽と、ディテールにこだわったメッセージやラブソングなど、深みを増した歌詞をリンクさせた全6曲だ。

◆Blue Vintage 動画 / 画像

ソウルフルな温もりと強さを持つJ.Speaksの歌声、ルーツ音楽に根差した高度なスキルと豊かな情感を兼ね備えたTaigaのギターが作り出す、この音楽が2023年夏のサウンドトラックになればいい。なってほしい。

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■家じゃなきゃ、二人じゃなきゃ録れない音がある
■作品に向かうスタンスとしてすごくプラスになった


──アルバムタイトルの色シリーズ、今回も続きましたね。最初は何でしたっけ。

J.Speaks:最初は『PURPLE』です。そこから『IVORY』『BLUE』『GOLD』と来て『GREEN』ですね。

──それって最初から決めていたんですか。ずっと色で行こうと。

Taiga:いや、途中からです。3枚目の時にけっこう考えて、「これで色に行ったらずーっと行かなきゃいけないな」って(笑)。

J.Speaks:あと全然関係ないところで、友達との会話で「あのアーティストのアルバムのアレ、なんだっけ」という話をしていて。調べてみて、「このタイトルじゃ(覚えづらくて)出て来ないよね」みたいな話をしたのをきっかけに、覚えてもらうためにシンプルな色がいいのかなというマインドにはなってましたね。

──色って、心象風景とも重なりますよね。ブルーというと、ブルーな気分とか、グリーンというと、みずみずしいイメージが浮かんだりとか。

J.Speaks:そうですね。

──いいシリーズ、みつけました。今後も続くかどうかはわからないですが。

Taiga:出したいやつはまだあるんですよ。「この色のアルバム出したいね」って。

J.Speaks:本当は『GREEN』を作る前に、『BLACK』の構想を練っていたんですよ。でも(コロナ禍が落ち着いて)ライブが再開されて、呼ばれるイベントのカラーがやっぱり「海」だったりして、もう一回原点を見つめ直して、求めている人たちに届けようということで。『BLACK』はけっこう渋い構想だったんですよ、楽曲的に。そこでもう一度Taigaと話して、Blue Vintageの音楽性とメッセージをどこへ向けたいのか?ということが、この時期に本当に明確になったと思います。

Taiga:そうですね。

J.Speaks:(コロナ禍で)ライブができない時期だったからこそ、支えてもらってる人が求めている「Blue Vintageのサウンド」というものを、より深みを増して届けようというのが、『GREEN』のコンセプトです。自分たちのナチュラルな姿、自然体を前面に出した1枚なので、レコーディングも…もともと1枚目の『PURPLE』は、ボーカルが全部宅録なんですよ。その声のタッチが「すごい良いよね」ということをTaigaと話していて、あらためて自宅のレコーディング環境を防音から作り直して、『GREEN』では自分の声の質感をより生かすことにこだわりました。感覚的な部分なんですけど、ちゃんとしたスタジオに入ると、良くも悪くもプロフェッショナルになるけど、自宅で録るとなぜかストリート感が出てくる。どっちの良し悪しもあるんですけど、今回はよりナチュラルな声を出したくて、自宅のレコーディング環境を整えてやりました。

▲J.Speaks

──原点に戻りつつ、グレードアップもしているという。

J.Speaks:そうですね。

Taiga:部屋作りからお手伝いして、エンジニアも全部自分がやらせてもらってます。やっぱり家じゃなきゃ、二人じゃなきゃ録れない音があるんだなって今回思いましたね。チームのみんなも、「すごいナチュラルな声だね」「いいテイク録れてるね」って言ってくれたので、やっぱりボーカルってすごい繊細なんだなと思います。あと、すごく今どきだなと思うんですよね。自分の家で全部録って、それをプロの納品データとして使えるところまで持っていくことが。いちおうプロのエンジニアさんに聴いてもらって、何回もやり直して、「これなら使える」というものがJUNくんの部屋で録れる環境になったので、いつでも録れるという気持ちが、作品に向かうスタンスとしてはすごくプラスになったと思います。

──初リリースから5年目にして、すごく大きな転機じゃないですか。Blue Vintageにとって。

Taiga:必要とされている音楽のジャンルだったり、歌詞の内容だったり、一個ずつ突き詰めていったらこういうスタイルになったので。やみくもに「家で録ってみようぜ」ではなくて、明確にやりたいことが先にあって、それを表現するには「家で録る必要がある」ということですね。どういう音楽が必要とされているのか、自分たちなりに見えていたつもりです。

J.Speaks:声の質感も、洋楽を聴いてるかのような質感をすごく大事にしてます。吐息から何から。

Taiga:声の質感を最後に整える部分は、どうしても自分たちでできなかったので、そこはチームの人にお願いしたんですけど。結果的にかなり洋楽っぽい感じになりましたね。JUNくんの声って、日本人にはない倍音成分みたいなものがめちゃくちゃあるんで、そこをわかってくれる人(エンジニア)とわかってくれない人がいるなと思ってて、今回はそこがしっかり出せてると思います。

──ちなみに、ギターも自宅録音ですか。

Taiga:ギターは、だいぶ前から全部家で録れる環境を整えていたので、家で全部録りました。だから、僕らにとって革命っちゃあ革命ですね。特に「Naturally」という曲は、二人だけでできるところまで作ってみようということで、誰の手も借りず、最後のミックスとマスタリングだけはお願いしましたけど、基本的には全部二人で作ってます。

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