【インタビュー】HADES、冥界を突き抜ける初音源『BRINGS』完成「一緒に遊ぼう、遠慮はいらない」

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“Amazing” “Excellent” “Great”といった褒め言葉がズラズラと並ぶオフィシャルYouTubeチャンネルのコメント欄。自身初音源を発表するにあたり、リリース前に収録曲「BRING IT ON!!!」のミュージックビデオを公開したところ、わずか3週間ほどで8万再生を超え、国内外から多くの絶賛コメントがメンバーのもとに寄せられ続けている。バンド名はHADESだ。

◆HADES (ヘイディーズ) 動画 / 画像

2014年からガールズバンドAZAZELで活動してきた空也(G)とyuri(B)とMayo(Dr)が、ボーカリストの脱退に伴い、ソロシンガー紗良(Vo)を正式に迎えたのが2022年1月のこと。同時にバンド名をHADESに改名し、本格活動をスタートさせたガールズバンドだ。見た目こそ“嬢メタル”を連想するかもしれない。しかしHADESは、エネルギー全開のバンドサウンドと貪欲な音楽性で、全方位のロック好きを激しく揺らす。初音源となるミニアルバム『BRINGS』のリリースを2023年4月28日に控えた4人にバンドの成り立ちや作品などについて語ってもらった。


   ◆   ◆   ◆

■流れの中で生まれた新バンド
■運命かもしれないですね


──HADESは、それまで約8年ほど活動していたAZAZELに、ソロシンガーとして活動していた紗良さんが加わって誕生したバンドです。

空也:AZAZELのボーカリストがライブ活動をお休みしていた時期があって。その時に、紗良ちゃんをゲストボーカルに迎えてライブしたのがきっかけなんです。ライブの感触はまず楽しかったし、紗良ちゃんはボーカリストとしてすごく華があるという印象で。

Mayo:ゲストに来てもらった紗良と初ライブをやったとき、“初めて感”がなくて。すごいシックリ来たし、バンドとしてのバランスもいい感じだったんですよ。とにかく楽しかったんです(笑)。

紗良:私自身も、ライブは楽しむというのがまず前提にあったので。それができたから、楽しいねっていうノリで(笑)。ゲストに迎えてくれたのがその一回では終わらず、その後も何回か誘ってくれて、ライブを重ねるたびに楽しくなっていった感じです。

Mayo:このまま紗良に歌ってほしいという気持ちが、こっちにはあったからね。


▲紗良(Vo)

──紗良さんはソロで活動しながらも、自分が加入するバンドを探し求めていたところもあるんですか?

紗良:ソロ活動も、基本的に固定メンバーで活動しているので、バンドっていう形ではあるんです。だから、どこかのバンドに入りたいって求めていたという感じでもなかったんです。でも、ゲストに誘ってもらったことがきっかけで新たなバンドが誕生したというのは、運命かもしれないですね。

Mayo:そう、運命!

空也:AZAZELでは、正式ボーカリストがいない期間にいろんなゲストボーカルさんに歌ってもらっていたんです。でも紗良ちゃんに歌ってもらったとき、同じ曲でも歌にさらに表情もついて、それがすごく印象的で。曲を作っている側としても、これは新しいインスピレーションが湧きそうだなって思いましたね。よく言われるバンドのケミストリーを感じたんです。何度かライブを重ねる中で、紗良ちゃんとバンドをやりたいよねって、満場一致でしたね。

Mayo:「歌っちゃえばいいじゃん!」っていう、わりと軽いノリで最終的に誘いましたけどね(笑)。

紗良:ゲストボーカルさんの名前も入れて、“なにゼル”というバンド名でライブをしていて、私が加わったときは“SALAZEL”だったんですよ。そのバンド名でライブ回数もけっこう重ねて、お客さんも定着してきていたし、メンバーからも「歌っちゃえばいい」と口説かれたし(笑)。私も、ゲストとして歌うのを任されたというよりも、自分の形で歌うというスタンスでライブをやってきていたんです。その流れの中で、新しくバンドが生まれた感じですね。

──まるで、しばらく付き合ってた男女が、自然に結婚するような感じで?

紗良:それです(笑)。

yuri:うっふふ(苦笑)。


▲空也(G)

──たとえベタですいません(笑)。新たなバンド名を“HADES”にした理由は?

紗良:言い出しっぺは私なんです。もともとAZAZELも神話をもとにしたバンド名で、そういう感じの名前がいいねって話をメンバーみんなでしていたんですよ。それとは別の話なんですが、私たちは見た目が派手じゃないですか。そこから“派手ズ”ってのが、ふと思い浮かんで(笑)。だったら冥界の神様の名前でもあるHADESになり(笑)。HADESという冥界の神様は、人望に熱いとか、最強の猛獣を従えているという強さがあるとか、奥さんを大切に愛している人柄でもあるんです。私たちも、強く、たくましく、美しくじゃないですけど、そういうバンドでありたいねって。“ハデス”はどうかな?って提案したら、Mayoがいろいろ調べてくれたんですよ。イギリス読みでヘイディーズという発音があるよって。神様の名前だし、うちらは見た目も派手だし、HADESで決まりだねっていう。でもメンバーには、派手な見た目からひらめいたって話はせずに、まず冥界の神様の話をいろいろして、提案しました(笑)。

Mayo:派手な見た目から思いついた真相を聞かされたときは、衝撃だったよね(笑)。空也は、バンド名の姓名判断までしましたからね。

空也:そうそう、HADESを“ハデス”と呼んだ場合と“ヘイディーズ”と呼んだ場合の違いを(笑)。ヘイディーズという読み方だと、人間運も金運も、なにもかも良かったんですよ。これはイケる、とみんなと共有した覚えがあります(笑)。

──新しいバンド名になると、気分もリフレッシュされて、バンドの指向性のスイッチが切り替わるなんてことは?

空也:普段、私はジャンルを決めずに曲を作るタイプなんですよ。でも実際は、前は洋楽のノリも強くて、勢い重視でリフで押し切るって曲になりがちだったんです。紗良ちゃんが入ってから、メロディアスな要素をもっと入れたらおもしろい曲ができるんじゃないかって。あと同時に、紗良ちゃんが入ってからベースとギターはチューニングも変えて、サウンド面の攻撃力も上がりました。自分の中で今までなかった曲を作れるんじゃないかって思ったんですよ。気分がリフレッシュというか、ある種、解放されたような感じになって、なんでもイケるんじゃないかって気持ちになりました。

yuri:AZAZELのときは、サウンド的にヘヴィでダークな印象が強かったと思うんです。でも紗良さんは、シンガーとしてポップなものもイケるなって思って、メロディラインのバリエーションも広がるなと思いましたね。

Mayo:紗良の後ろでドラムを叩くのは、すごく楽しいんですよ。歌の表情も豊かだし、華もあるし。紗良の歌を後押しできるように私はドラムを叩いています。



──ロックなファッションに身を包んだガールズバンドというと、いわゆる“嬢メタル”と呼ばれることも多いと思うんです。ところがHADESはそういうバンドではないですよね。メタルの要素はあっても、決してトラディショナルやオールドスクール一辺倒ではない。ロックンロールもグルーヴした部分もキャッチーさもあるし、リアルタイムで時代の音楽と呼吸しているところもある。それでもって生音勝負の男勝りなところも。

紗良:ミニアルバム『BRINGS』のリリースに向けて、インタビューやアンケートに答える機会もあって、“どういう音楽やミュージシャンに影響されてきたか?”という質問がよくあるんですよ。それでメンバーのルーツなどが改めて明らかになったんですけど、メンバーそれぞれ、ルーツや影響を受けたものがかぶっていないんです。だからこそ、いわゆるケミストリーがあるのかなって。だからHADESはノージャンルというか。

──いわゆるハードロックやメタルはもちろん、演歌もポップスも、メロディックパンクも、あとクラシックもガッツリと通ってきているメンバーですからね。メンバーのルーツを合わせると、音楽の全ジャンルを網羅している。でも、よくうまくいってますね。

空也:いろんな音楽に影響を受けていることからも分かると思うんですけど、メンバーみんな、純粋にまず音楽が好きだってことなんです。だから私が曲を作っても、絶対にこうじゃなきゃいけないってことでもないんです。yuriちゃんが作った「Dare」は、私の中にはなかったリフだったりして、それはそれでおもしろいし。自分にない引き出しが、メンバーそれぞれから出てきたら、ああ、そういうのもあるんだねって、刺激も受けます。ひとつの音楽ジャンルに特化するというのも大事なことかもしれないんですけど、HADESのメンバーはいろんなフェスに行って、いろんなバンドを観るのも好きで。自分たちのライブのときも、いろんな対バンさんのステージを観て、4人ともはしゃいでいるし(笑)。とにかく、まず音楽が好き。そういうメンバーが集まっているから曲作りやアレンジにおいて、変に衝突するとかもないんじゃないかなって。

Mayo:新しい音楽要素が目の前に出てきたとき、これは理解できないって拒否するんじゃなく、これもおもしろそうって。時には、やったことのないドラムパターンとかあって大変なこともありますけど(笑)。

yuri:「Dare」でやらせちゃいました(笑)。でも「これはイヤだ」って拒否されないので、それがまたいいんです。思いついたものを、まずやってくれようとする精神。みんなのそういうところも好きです。曲をより良くしようっていう意識が、メンバーの根底にあるのはでかいと思います。

空也:今回の『BRINGS』は、メロディをもっと活かしていいのかなって考えつつ、うまいバランスで作れたんじゃないかなと思います。

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