【速レポ】<中津川ソーラー>DAY1、ROTH BART BARON、雨に広がる独創的音世界
激しく降る雨が光を受けて、何本もの縦線が走る光景ばかりが広がる中津川。しかしRESPECT STAGEは違った。柔らかな青い光がステージに降り注ぎ、無数のエフェクターが色とりどりのランプやLEDを光らせている。神秘的な世界がゆっくりと幕を開けていくようにROTH BART BARONのライブは始まった。
◆ROTH BART BARON 画像
コードをストロークしつつ、優しくささやくように歌うのは三船雅也。もともとROTH BART BARONはデュオだったが、今ではメンバーは三船のみ。今夜、三船をサポートするのは西池達也(Key)、竹内悠馬(Tp)、Zak Croxall(B)、工藤明(Dr)、大田垣正信(Tb)。アルファ波をたっぷり含んだヒーリング・ミュージックにも近い曲が広がっていく。それは自然に囲まれた中津川によく似合うもの。
ところが「King」に突入すると、バンドの鳴らす音世界は表情を変える。大田垣はハンドクラップを煽るようにステージの真ん中でハンドクラップ。曲も躍動感があり、荒々しく展開する場面も。また「春の嵐」ではポップな質感を、「U b u g o e」ではジャジーな面も見せるなど、ひとつの型にとらわれていないのがROTH BART BARON。むしろ様々な音楽ジャンルやスタイルの面白味を、ROTH BART BARONが全て引き受けながら表現しているかのようだ。
だが、ひとつだけ共通していることがある。それは三船の歌。地声ではなく、女性的な柔らかさも持ったファルセット・ボイスを混ぜながら、ストーリーを綴るように三船は歌う。そして歌うテーマは愛。男女の恋愛事ではなく、もっと大きな愛や愛情。三船の歌声と歌詞にいやされ、ROTH BART BARONの音楽に魅了されるオーディエンスだった。
「みんな、本当にありがとうね。雨の中、観てくれて。この世界になってもフェスティバルをやると決めた佐藤タイジさん。この場に呼んでくれた佐藤タイジ大先輩。そしてここで出会えたみんなに、この曲を」
そんな言葉と共にプレゼントされたのは、“物語を絶やすな”や“祝祭が見たい”といったポジティブなメッセージを放つナンバー「極彩|IGL(S)」。3年ぶりの中津川公園での有観客開催となった<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2022>の初日にふさわしい曲でもある。
「まだ世界は歌えないのか…。歌ったつもりになって聴いてくれ」
最後を締めくくるのは「鳳と凰」。イントロから“ラララ…”とコーラスの広がり、本来なら一緒に歌ってひとつになることのできる曲だ。しかし今はまだ歌えなくても気持ちはひとつ。三船の歌に合わせてオーディエンスは両腕を上げ、リズムと共に揺れ続ける。アート感覚に優れながらも、メッセージも力強さも、音楽的深さも見せるステージとなった。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎三浦麻旅子
【RESPECT STAGE】セットリスト
02. King
03. 春の嵐
04. U b u g o e
05. みず / うみ
06. BLUE SOULS
07. けもののなまえ
08. 極彩|IGL(S)
09. 鳳と凰
■<中津川THE SOLAR BUDOKAN 2022>
会場:岐阜県中津川公園内特設ステージ
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