【速レポ】<JOIN ALIVE 2022>ドラマストア、「せめて1曲、マスク越しにみんなが笑ってくれていると信じて」
思い切り熱い、だけど爽やかなポップネスが秋を告げる青空に溶け込んでいく。そんなステージを展開してくれたのが、大阪からやってきたドラマストアの4人だ。
◆ドラマストア ライブ写真
SEが鳴りだした途端、客席から自然と手拍子が沸き上がり、舞台袖から勢いよく飛び出してきた鳥山昂(G,Key)と髙橋悠真(B)はステージ・フロントに設置されたお立ち台に上がり、ドラムの松本和也(Dr)も立ったままで観客と共に手拍子を行う。その様子を長谷川海(Vo,G)が笑顔で見守ると、4人揃って深々と一礼をし、SEが終わると同時に、ハイハットのカウントから長谷川のボーカルで「至上の空論」が始まった。そのアウトロのピアノを弾き終えた鳥山がすぐさまギターを構えると、間髪入れずに疾走感あふれる「希望前線」へ。2コーラス目のサビ前、メカニカルなキメの狭間をドラムのリム・ショットやベース・ラインがパズルのように埋めていくと、間奏ではギター・ソロが爆音でかき鳴らされるストレートなギター・ロックを展開。そのサウンドを観客が明るい笑顔で受け止めるあたりが、ドラマストアがバンド結成から8年かけて作り上げてきた独自の世界観と言えるだろう。そしてもうひとつ、ピアノ・サウンドのポップ感とギター・サウンドのロック感が、曲によって、あるいは1曲の中で交互に展開していく様も、このバンドが生み出す音楽の醍醐味だ。
「Thank you! 暑いぃぃぃ!」と長谷川が叫ぶと、その暑さとは裏腹に軽快なロックンロール・ピアノでキャッチーな「ガールズルール」が演奏されると、会場にいた肩車の子供と手を振りあうなどの和やかなMCを挟んで、チャイナ・シンバルの連打から「世界はまだ僕を知らない」、そして「可愛い子にはトゲがある?」へと続く。ここでギターをおろした長谷川はハンドマイクに。最新アルバム『LAST DAY(S) LAST』に収録されている「月と旅人」を歌う際、ステージを移動しながら観客と目線を合わせ、まるで歌詞に乗せた感情の抑揚をこの場にいる全員で共有するかのように歌い上げた。
続いて印象的なギター・リフにメロディアスなベースが重なって「ラブソングはいらない」がドラマチックに歌われると、最後のMCで長谷川は、<JOIN ALIVE>ならではのテーマパークの中でフェスが行われるという「初めて見る北海道の景色」(長谷川)を実現してくれたフェス・スタッフに感謝の言葉を送ると共に、こう語った。
「この気持ちをどうやってみんなに伝えるのが一番いいかと考えれば考えるほど、目を見て話すように歌いたいと思う。でも、マスクが邪魔だなと思ってしまう自分が悔しくて仕方ない。だけど、遠いところ(大阪)から北海道にやってきて、せめて1曲、マスク越しにみんなが笑ってくれていると信じて、ラストの曲を歌いたいと思います」
その言葉から4人の美しいハーモニーが会場に響き渡ると、ラストの「knock you , knock me」がNEO WALTZをハッピーな空気で包み込んでこのステージの幕を閉じた。
MCではひと言も触れなかったが、彼らは来年2023年1月末に活動を終了し、解散すること決まっている。残念ながら、このステージがドラマストアとしての、最後の<JOIN ALIVE>となる。しかしきっと、この日の光景はNEO WALTZを埋め尽くした観客の記憶の中から消えることはないだろう。それはまた、4人にとっても同じであるに違いない。オープニングと同様に、深々と頭を下げ終えた4人は、<JOIN ALIVE>のステージからの景色を目に焼き付けるかのように、笑顔で手を振り続けていた。
取材・文◎布施雄一郎
撮影◎石井亜希
<JOIN ALIVE 2022>
時間:開場 9:00 / 開演 11:00 / 終演 20:30予定 ※雨天決行
会場:北海道・いわみざわ公園〈野外音楽堂キタオン&北海道グリーンランド遊園地〉(北海道岩見沢市志文町794番地)
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