【インタビュー】<SHIRUBE 2022>の裏側を全て見せる、その真意とは?
2022年6月4日(土)&5日(日)に北海道中標津町で音楽フェス<SHIRUBE 2022>が開催となる。初開催を目指していた<SHIRUBE 2021>は新型コロナウイルスの猛威からリアル開催が中止となり、急遽配信イベントに形を変える形となったが、<SHIRUBE 2022>は中標津町総合文化会館しるべっとと隣接するしるべっと広場にてリアル開催を目指し、現在最終準備段階に入っている状況にある。
そんな中で、<SHIRUBE 2022>の2daysを密着する「うらしるべ~SHIRUBE 2022の裏側全部見せます~」という映像配信の開催が発表となった。THE BOYS&GIRLSのボーカルでありSHIRUBE制作委員会の代表を務めるワタナベシンゴがフェス当日に動き回っている様子をカメラが完全密着、配信にてその様子を余さず公開するというものだ。
本フェスでは、1台のカメラがワタナベシンゴを追い、その姿をリアルタイムに捉えていく。華々しくステージを飾るアーティスト達の表舞台を、スタッフは裏からどのように支えているのか、楽屋エリア、ステージ上、そしてスタッフが慌ただしく動き回るステージサイドなど、普段は見ることのできない様子が映し出されることになる。そして7日には、別のカメラで捉えたそれらの様子が1本に編集されアーカイブ、いつでも観られる形で公開となる予定だ。そこにはリアルタイム配信では見せられなかった無料エリアでのイベントやフードコートの模様、地元物産品販売ブースの様子などフェス会場の様子も収録される。
<SHIRUBE 2022>を支える裏方の人間たちは、どう動き、どのような会話を交わし、どのような思いでフェスを動かしているのか。そしてステージの前後でアーティストはどのような表情を見せるのか。裏側で生まれるトラブルやハプニング、思わぬドキュメントも、カメラはそのままを捉えてしまうことになる。来場オーディエンスにもステージに立っているアーティストも知り得なかった筋書きのないドラマが、そこに生々しく息づくことになることだろう。
そんな「うらしるべ~SHIRUBE 2022の裏側全部見せます~」配信の開催を発表した<SHIRUBE 2022>の発起人であり、SHIRUBE制作委員会の代表のワタナベシンゴに話を聞いた。
ワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS(Vo)、SHIRUBE制作委員会代表)
──昨年の<SHIRUBE 2021>は緊急事態宣言発令の影響を受け中止、急遽オンラインでの開催となりましたが、どのような思いだったのでしょうか。
ワタナベシンゴ:去年の配信が終わったときは「これで良かったな」というのが素直な気持ちでした。中標津という小さな町で野外フェスを開催するために、約1年のあいだ全力を注いできたんですけど、1ヶ月前にコロナの影響で開催は無理となった。そこで配信というかたちでいいものを作ろうと切り替えたんですけど、結果的にこれで良かったというか「外でやらなくてよかったな」とすら思えちゃうくらい、全く後悔のないものができたんです。
──そうなんですね。
ワタナベシンゴ:開催中止を決めてからの1ヶ月の動きが、月並みな言葉ですけど、スタッフ全員が同じ気持ちで同じ方向を見ていたグルーヴのようなものがあって、配信が終わった後に「本当にいいものができて良かった」と思ったんです。もちろん<SHIRUBE 2021>としては完全体ではなかったですし、最初に思い描いていたものではなかったんですけど、そこまでの全ての紆余曲折も含めそれが<SHIRUBE 2021>だったのだという気持ちになれたので、無事に終われたことが何より嬉しかった。
──いろんなことを得た1年だったでしょうね。
ワタナベシンゴ:自分のバンド(THE BOYS&GIRLS)の認知度やパワー、自分の行動力というものが、まだまだ足りていないんだなという現実を知りました。それを痛感できたことが一番大きかったかもしれない。もちろんいろいろ覚悟はしていたけれど、かなり厳しかったですよね。きつかったけど、そういう現実に直面したことによって「まだまだ頑張んなきゃ」「こんなところで諦めてはいけない」という気持ちを得ました。1から何かを始めていくということは希望だしモチベーションになるんだというシンプルなことを得たと思っています。
──それらの経験は、すべて<SHIRUBE 2022>に通じているんですね。
ワタナベシンゴ:はい。もともと「<SHIRUBE>はこういうもの」みたいな思いもあったんですけど、<SHIRUBE 2021>を経験したことで、「形を変えてでもみんなで力を合わせてやってくのが<SHIRUBE>なんだな」と強く感じたんですね。<SHIRUBE 2022>もいろんな壁が現れてくるかもしれないですけど、とにかくやってみようというスタートでした。本番まであまり日も残されていない今もなお、色々探しているような状況ですし、当日最後の1音が鳴り終わり、最後のお客さんが会場を出るまで、最後の最後までもがいているのが<SHIRUBE>なのかなとも思っています。
──今回発表された「うらしるべ~SHIRUBE 2022の裏側全部見せます~」も楽しみですね。
ワタナベシンゴ:どんな大きいフェスでも小さなイベントでもそこには血が通っていて、どんな場所にもドラマがあると思うんですけど、僕も<SHIRUBE>の中にいる当の本人として、この1年半で凄いものをいろいろ見てきたので、それを<SHIRUBE>らしく、フェス現地に来てくれた人にも来られなかった人にも、<SHIRUBE>を知らなかった人にも、それを届ける方法を模索して、この「うらしるべ」があるんです。
──シナリオも台本もあるわけではないので、何が起こるかわからないスリリングさがありますね。
ワタナベシンゴ:そう、誰が何を言い出すかもわからないですし、本当にどうなるか何もわからないんです(笑)。
──NGもヤラセも一切ない、本当のリアルですから。
ワタナベシンゴ:2020年5月に「<SHIRUBE>をやりたい」と言ってから2年が経ったわけですけど、我々SHIRUBE制作委員会はいろんなものに負けてきたと思うんです。いろんなものにひれ伏してきたなあとも思うんですけど、嘘をつくことなくしっかりと血を通わせてきた。ぶつかりまくってきたしスタッフ間でも言葉にできないこととかもあると思うんですけど、でもそれは隠しているとか嘘をついているとかではなく、それがリアルでここまで来たんです。これは隠すべきものでもないし、それが人間らしさで、<SHIRUBE>らしさだとも感じているので。
──なるほど。
ワタナベシンゴ:この活動の中で、スタッフのみんなとか一般公募で集まってくれた“シルベクルー”という有志とのやりとりを見ていると、いろんなものにボコボコにされてボロボロになりながらも、それでも「ひとりでも多くの人に届けたい」「小さな町の初めてのフェスをなんとかいいものにしよう」と向かっている。その姿を見ていると、みんなに感動を与えたいとかじゃなくて、このリアルをとにかく表に放出していきたいという気持ちが強くなるんですよね。何が映るか分からないし、どんな言葉が飛び交うか分からないけど、超リアルなものが出せると思うので、どうなるか分からないけどめちゃくちゃワクワクしています。俺たちも「生きてる」って思うだろうし、見てくれる人も「音楽っていいなあ」というものを超えて「命がうごめいているなあ」という気持ちになってくれるんじゃないかなと思っています。
──そこには出演してくれるバンド/アーティスト連中が放つ力も見え隠れしてくるでしょうね。
ワタナベシンゴ:もちろんそうですね。「北海道の右端の小さな町でやりたい」という僕らの思いに同調してくれて「やるよ」と二つ返事で応えてくれたアーティストの皆さんばかりで、音楽やライブというだけじゃなく、一緒に楽しんでくれるという気持ちの面でも、出演アーティストの皆さんからはパワーをもらいました。
──きっと出演アーティストも楽しみにしていますね。
ワタナベシンゴ:ここ10年バンド活動をしてきてね、僕も嘘をついてきたこともあるし、色んな気持ちを抱えたままバンドで歌ってきたわけですけど、それも全てリアルなんです。嘘をついたことは嘘にしないということを見てきてくれたバンドたちが<SHIRUBE 2022>に出てくれていますし、僕がバンドを始めるときに、いろんなことを音楽で教えてくれたバンドたちがそこにいる。やっぱりリアルなものはいつまでもリアルのまま続いていくんだということをバンド活動の中で経験したから、やっぱり<SHIRUBE 2022>に出てくれるラインナップに嘘はないよな、という自信はあります。
──楽しみです。
ワタナベシンゴ:ほんとね、絶対いいフェスだと思うんです(笑)。まだやっていないんで、分かんないんですけどね(笑)。フェスをやることで「音楽を好きになって欲しい」とか「ライブハウスに興味を持って欲しい」とかそういう事を言いたいのではないんです。もちろん音楽やライブやフェスにはものすごいパワーがあるので、それは感じてもらいたいんですけど、その先に何があるかだと思っているんです。
──何があるか?
ワタナベシンゴ:はい。音楽のライブを見たときに、なにかひとつ絶対ヒントが転がっていると思うので、そのヒントを見つけてほしいんです。偉そうな言い方になっちゃうんですけど、きっかけを<SHIRUBE 2022>の会場で見つけて、ひとつでもすくって帰って欲しい。「明日からまた頑張るか」でもいいんですけど、それだけじゃなくて「私、こんな気持ちになるんだな」とか「何か今、凄い光景を見ている」みたいな。ライブを見て頭に浮かぶ人がいたり、思い浮かぶ街があったり、いろんなヒントが転がっているので、そういう二日間にしたいんです。中標津という小さな町で音楽フェスが行われることもなかったので、そこで高校生が初めてフェスの空間に触れて、何かが変わる瞬間と出会うと思うんです。高校生の男の子が何かを感じた瞬間を、後ろから見ている大人もいたりして、「あ、あの子、いま何か変わったぞ」と感じたその大人もまた何かひとつ変わっていく気もするんです。
──なるほど。
ワタナベシンゴ:こどもだけじゃなくて、そこに居あわせる人たちにも何かのきっかけが色んなところに転がっていると思うんです。SHIRUBE=標というタイトルそのままなんですけど、何かの目印になるような2日間に絶対しますし、遠くにいても近くにいても「<SHIRUBE>というフェスがあるから、また今度<SHIRUBE>にたどり着くまで、カッコよく生きていかなきゃな」って思ってもらいたい。自分自身もそうです。
──みなさん、<SHIRUBE 2022>で集合ですね。
ワタナベシンゴ:お金もかかるし遠いし、ハードルは高いかもしれないですけど、なんとかいつもの履きなれた靴で、おしゃれしなくてもいいし、ふらっとでもいいので、足を踏み出してもらえたら、後はもう「任せてください」という感じです。
◆ ◆ ◆
フェスのステージを生配信するのではなく、その裏を見せるドキュメンタリー配信、それが「うらしるべ~SHIRUBE2022の裏側全部見せます~」だ。コンサート制作やライブ現場、フェス運営などに従事したいと思っている人や、学園祭や文化祭でイベントを企画したいと思っている学生などはもちろん、現場そのものをカメラ越しで見ることのできる貴重な経験のひとつとして、エンタメ業界の多くの人にとってもこれまでありそうでなかったエポックマイクなコンテンツとも言えそうだ。
「うらしるべ~SHIRUBE2022の裏側全部見せます~」の配信のチケット代は2,000円となっているが、<SHIRUBE 2022>のフェスチケットの有無に関係なく、日本全国から誰でも楽しむことができる。
取材・文◎烏丸哲也(JMN 統括編集長)
「うらしるべ~SHIRUBE2022の裏側全部見せます~」
・リアルタイム生配信2日目:2022年6月5日(日)11:00~20:00
・ワタナベシンゴ密着1日目:2022年6月7日(火)10:00(予定)~オンデマンド配信
・ワタナベシンゴ密着2日目:2022年6月7日(火)10:00(予定)~オンデマンド配信
チケット:2,000円(税込)
決済方法:カード決済
※本配信はSHIRUBE 2022出演アーティストのLIVEパフォーマンス配信ではございません。
※本チケットは、1枚のご購入で上記4配信を全てご視聴頂けます。メールにてお手元に届いたチケットコードを下記URLよりご入力いただき視聴を開始してください。
◆「うらしるべ~SHIRUBE 2022の裏側全部見せます~」配信ページ
<SHIRUBE 2022>
会場:中標津町総合文化会館しるべっと&隣接するしるべっと広場
開場11:00 / 開演13:00 / 終演20:00予定
1日券:各6,500円 通し券:11,000円 学生チケット(小中高生)各1,000円
出演
6月4日(土):THE BOYS&GIRLS / 金子智也 / NOT WONK / 四星球 / HUSKING BEE / SHIN50 MARTIN BAND / 北海道中標津高等学校音楽研究部 / 北海道中標津高等学校農高太鼓局
6月5日(日):THE BOYS&GIRLS / 金子智也 / KALMA / ズーカラデル / フラワーカンパニーズ / FREE KICKBUFFALO SOLDIER / 中標津町立中標津中学校吹奏楽部
主催:SHIRUBE制作委員会
◆<SHIRUBE 2022>オフィシャルサイト
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