【連載】Hiroのもいもいフィンランドvol.109「今年のユーロビジョン・ソング・コンテストのフィンランド代表はだれに?」
日本ではそれほどおなじみではないかもしれませんが、毎年ヨーロッパでは各国から代表が出場し競い合う音楽祭ユーロビジョン・ソング・コンテストが開催されていて人気です。ABBAやセリーヌ・ディオンのようにこのユーロビジョンで優勝し一躍大人気が出たケースもあります。昨年優勝したイタリアのMåneskinはその後世界的に注目を集めているのは記憶に新しいところ。フィンランド勢では2006年にモンスターハードロックバンドLordiが優勝してフィンランドに初めて優勝を持ち帰った時は、最初Lordiが代表に決まった時フィンランドの恥だと言ってた人たちはどこかえ消え去り(笑)ヘルシンキのマーケット広場で開かれた祝賀会コンサートには9万人ほどの人がお祝いに駆け付けお祭り騒ぎでものすごく盛り上りました。その後フィンランド勢いまいち成績が良くなく盛り上がりに欠けていたところ、昨年出場したポストハードコアバンドBlind Channel は優賞はしなかったものの6位と好成績で、彼らはフィンランドとヨーロッパで大ブレイクとなり、今年のユーロビジョンに誰が代表になるのか注目を集めています。
写真:Milla Määttä & Nelli Kenttä/YLE
フィンランド代表はUMK (Uuden Musiikin Kilpailu /ニュー・ミュージック・コンテスト)と呼ばれるコンテストで視聴者投票(75%)と国際審査員投票(25%)の合計によって決まります。応募総数312曲の中から選ばれた今年の候補曲が発表になり、びっくりしたのはすでに世界的に知られるThe Rasmusが候補にいたこと!彼らの知名度からしてフィンランド代表有力候補かと思いますが、彼らを飛び越えて代表になるダークホースが果たしているかどうか気になるところ。
ということで、今年のユーロビジョン、フィンランド代表候補7バンド/アーティストの曲紹介したいと思います。
The Rasmus – ”Jezebel”
2003年にリリースされたアルバム『Dead Letters』からのシングル「In the Shadows」が世界的に大ヒット!この曲のSpotifyストリーム回数はすでに1億回を超えているThe Rasmusは2008年にリリースされたアルバム『Black Roses』でプロデューサーを務めたデズモンド・チャイルドに再び声をかけ生まれたのが「Jezebel」! このコンテスト出場発表直前にギタリストのパウリ・ランタサルミ脱退が発表になりましたが、新ギタリストとしてフィンランドで人気あった女性ポップロックバンドTikTakのギタリストだったことでも知られるエンップ・スホネンの加入を発表!新メンバー紹介も兼ねてかこの曲のリリック・ビデオではかなりエンップがフィーチャーされています。
Cyan Kicks – ”Hurricane”
2016年にヘルシンキで結成されたオルタナティヴ・ロックバンド。これまでにアルバム『I Don’t Love You』とEP『Not Your Kind』をリリース!ヴォーカルのスサンナ・アレクサンドラはフィンランドのメロディック・メタルバンドArionの「In the Name of Love」にFeat.でゲスト出演、デュエットしています。このフィンランド代表候補曲「Hurricane」はスウェーデンのメタルバンドAmarantheのエリーゼ・リードとの共作だそうですよ。
BESS – ”Ram pam pam”
フィンランドのポップ・アーティスト。2019年にアーティスト名と同名のアルバム『BESS』でデビュー。サウンドはエレクトリックなポップスとハウスミュージックをミックス!
Younghearted – ”Sun numero”
2015年、高校生の時に友達3人で結成されたポップバンド。これまでに2枚のアルバムをリリース。デビューアルバムはプラチナディスク、セカンドアルバムはフィンランドのグラミーともいえるEMMAガーラでイヤー・オヴ・バンドにノミネート!バンド名は英語ですが、曲はフィンランド語です。
Olivera – ”Thank God I’m an Atheist”
11歳の時から曲を作っているというインディーポップアーティスト。これまでに4枚のEPをリリース!自作の曲「No more」はストリーミング回数が1千万回を超え、他のアーティストにも曲を提供しているそうです。
Tommi Läntinen – ”Elämä kantaa mua”
40年以上音楽活動を続けているベテランアーティスト。10年ぶりにこの候補曲と同じタイトルのニューアルバム『Elämä kantaa mua』を今月リリース!この曲はフィンランドの人気ポップロックバンドHaloo Helsinki! のメンバー3人が書き上げトンミに提供したものです。
Isaac Sene – ”Kuuma jäbä”
ロックが大好きで、加えていろんなジャンルが好きだという彼はソウル、ロック、ヒップ・ホップ等をミックスした独自のサウンドで挑戦。2020年にEPリリース後、昨年はニューシングル2曲をリリース。
この今年のユーロビジョン、フィンランド代表を決めるUMKコンテストは今月2月26日の夜行われ、国営TVやネット、ラジオで生中継される予定です。そして昨年のUMKで優勝しユーロビジョンで6位だったBlind Channel のパフォーマンスも予定されています。こちらは去年2021年のフィンランド代表を決めるUMKで優勝したBlind Channelのライブパフォーマンスです。
フィンランドの日刊紙が行った読者投票では、予想通りThe Rasmusがダントツの1位でしたが、さぁフィンランド代表はだれに?結果は2月26日(日本時間2月27日早朝)にわかります!
今年のユーロビジョンは昨年の優勝国イタリアで5月10日と12日にセミファイナル、5月14日にファイナル開催予定です。ユーロビジョンといえばユーロポップが強いイメージがありますが、Lordi優勝後ロックメタルバンドの出場が増えるかと期待したけどあまり変化なく、昨年のMåneskin優勝とBlind Channel 6位で今年はメタルロック系の出場が増えてることを願ってます。Lordi優勝の時もそうでしたがアイスホッケーの世界選手権でフィンランドが優勝した時もヘルシンキのマーケット広場で祝賀会が開かれたこともあり、何かこういう嬉しいことがあり国民でお祝いをするときに「Torilla tavataan! 」(マーケット市場で会おう!)というのが合言葉のようになってますが、果たして今年のユーロビジョン、この言葉が飛び交う結果になるでしょうか? 最後に2006年ユーロビジョンで優勝したLordiのパフォーマンス映像もつけておきます。何度見てもニンマリ笑顔になってしまいますが、これはやっぱりとってもインパクトありました!
文:Hiromi Usenius
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