【インタビュー】大久保伸隆、Something ELseでのデビューから25年。ソロ4thアルバムを語る「考えたのは“時間”」
■みんなの前で歌っていく
■それを継続していきたい
──そして、アルバムを締めくくる最後の曲「未来」が、書き下ろしの新曲と聴いています。
大久保:アルバムの新曲という位置づけで書き下ろしました。メロディはもともとあって、詞は歌入れの10日前ぐらいに書き始めたので、去年の夏前ぐらいですね。アレンジが自分の中で、ほとんど完成された形で鳴っていて、“今ライブに来てくれるお客さんはたぶん好きだろうな”という感触があったので、入れたいと思いましたね。
──これだけアルバムの中では異色の、打ち込みのリズムから始まります。
大久保:あまり主張しない形のリズムを入れて、ちょっとしたアレンジのアクセントが面白いかな?と思ってやりました。
──去年の夏前に書いたということは、やはりコロナの影響を意識していた?
大久保:書いている時は、全然意識したつもりはなかったんですけど、書き終えてみた時に、コロナウィルスで環境が一変して、いろんなことを思っている人たちの気持ちが当てはまるのかな?と思いながら、歌入れしましたね。
──歌詞を読んで、てっきり、意識して書いたとばかり思ってました。
大久保:その前からなんとなく、より不安定になってきている感覚を、自分の中で感じていたんですね。日本だけじゃなくて、世界全体が。その中で、いい方向に転がってほしいなという思いがあって、それを歌詞に落とし込みたいと思ったんですね。「未来」というのは仮タイトルで、それだけ残して作り始めたんですけど、そういうパターンはこれが初めてです。普通は歌詞を書いて、最後にタイトルをつけるんですけど、これだけ逆で、結果的にそれが良かったんだと思います。
──逆に言うと、なぜ「未来」という言葉が浮かんだのかな?と。
大久保:何でも良かったんですけどね。何だろうな、自分の頭の中で鳴っているアレンジに合わせて、シンプルで、ちょっと前向きさがあって、希望が持てる感じで、そういう歌詞がいいんじゃないか?と思ったので、とりあえず「未来 (仮)」にしたんです。じゃあ歌詞を書きましょうとなった時に、これは正式タイトルでもいいなと思って、とりあえず書いてみたら、わーっと言葉が出てきたので、そのまま「未来」にしました。
──“あの頃に二度と戻りはしない”けれど、“きっと向かう未来は優しいと思いたい”とか。今の時代に響く言葉だと思います。
大久保:それぞれに聴き方も違うし、考え方も違うし、価値観も違うけど、これを聴いてそれぞれの状況に当てはめてくれれば、それが正解だと思っているので。どうとでも取れるようにしたかったので、わかりやすくしようという思いはありました。
──それって、大久保さんの歌の特徴ですよね。それぞれの解釈にゆだねるために、シンプルな風景描写や、わかりやすい感情描写を重ねていく。“俺の言いたいことはこれだ”ではなくて。
大久保:僕のメッセージはこれだ、というものは特になくて、聴いた人それぞれが感じてくれればいいと思います。基本的には自分が書きたいことを書いているんですけど、さっき言ったように、世の中が不安定になってきている感覚は常に持っていて、みんなその中で生きているとしたら、“これを聴いて少し前向きになれた気がした” “頑張れる気がした”とか、そういうふうになってくれたらちょっといいな、という思いが常にあって、「未来」ではそういうものを出せたらいいなと思っていました。
▲大久保伸隆 |
大久保:2020年はコロナウィルスに振り回されて、初めてのことだらけで、レコーディング期間もコロナウィルスの影響を受ける中で、“時間”というものをすごく考えたんですね。去年のような特別な状況の中で、限られた時間の中で作ったことに何か意味があるような気がして、それを言葉で残しておきたいと思ったので。1曲1曲の作品とは直接関係はないんですけど、タイトルとして収めたくて、『Time』にしました。
──8年間待ったファンの人にも、25年前に出会った人にも、新しく出会う人にも、届いてほしいアルバムです。ライブは、どうなりそうですか。
大久保:こういう状況なので、配信ライブも含めて。形を変えながら、やれるところで頑張ってやっていきたいなと思います。本当だったら、アルバムを出すタイミングでレコ発ライブをやりたいんですけど、いろいろ難しくて、やるとしたら9月かな?と。9月は僕の誕生月で、毎年バースデーライブをやっているので、音楽活動25周年で、レコ発で、それを全部集中させてやろうと思っています。今後のことを考えると、ちょっとブルーな気持ちにもなりますけど、やれることをなるべくやりたいと思うし、ぜひ情報をチェックしてほしいと思います。
──これから、25年、30年、35年と、音楽人生は続きます。どんなビジョンを描いていますか。
大久保:シンプルに、自分が健康体で、精力的にライブをできて、今回の作品よりももっとみんなに響く作品を作れて、それをずっと継続していく。それですね。こういう状況になって、当たり前のことが当たり前じゃなくなったということは、コロナウィルスだけじゃなくて今後もあるかもしれないし、“やりたいことが当たり前にできることがどんなに幸せか”を実感したので。大きな夢ではなく、しっかりと作品を作って、みんなの前で歌っていく、それを継続していきたいというビジョンですね。もともとストリートライブ出身なので、お客さんが目の前にいて歌うという喜びから始まって、ずっとやってきているので、それを続けていきたい。それだけですね。
取材・文◎宮本英夫
撮影◎緒車寿一
■4thアルバム『Time』
RDV0033 ¥2,800(税込)
1. 恋の速度
2. ジグソーパズル
3. 光景
4. I feel you
5. 帰り道
6. 歌うたいのバラッド
7. 未来
※新型コロナウイルスにより外出を控えている方がすぐに購入出来るよう、急遽通販サイトでも用意。
通販サイト:https://rendezvous-official.stores.jp/
■ワンマンライブ<FlightNightParty>
2021年9月19日(日) <FlightNightParty vol.75 & FlightNightBirthday!>柏PALOOZA
※今後の新型コロナウイルスの情勢により、公演形態・場所・時間は変更になる場合がございます。詳細は公式サイトにてご確認ください。
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