【インタビュー】キム・ヒョンジュン、「ステージの上で燃え尽きたいです」

■ 僕のファン以外の方にもぜひ一度聴いてほしい

── 2019年に韓国でリリースされ、反響を呼んだバラード「Life Without You」は、古内東子さん作詞による日本語バージョンで収録されていますね。

キム・ヒョンジュン：これはすでに韓国で歌っている曲で、原曲では別れを経験した男の気持ちが歌われているんですが、今回の日本語バージョンでは逆に女性目線の歌詞になっていて。古内さんは、女性の気持ちをとても丁寧に表現して下さいました。ひとつの恋愛でも男性と女性ではきっと感じ方が違いますよね。たとえば日本の小説「冷静と情熱のあいだ」では男目線と女目線の2パターンの本が発売されていますが、そんなふうに、曲で感情の違いを表わしてみました。

── 男性のキム・ヒョンジュンさんから見た女性の歌詞は、どこが印象的でしたか？

キム・ヒョンジュン：実は僕、この歌詞を初めて見たときちょっと照れくさい気持ちになったんです。僕の想像していたものとはちょっと違う感情というか、女性の気持ちというのはすごく繊細なんだな……と。また、古内さんにいただいた歌詞から、自分を基準にするのではなく他人に合わせて書くということも学んだ気がします。今までの全ての歌詞は自分を基準に書いていたけど、それだと悩むことがすごく多いんです。自分の想像や概念だけに内容が限られてしまう気がしてて、この先は何を書いたらいいんだろう？と。

── そうだったんですね。

キム・ヒョンジュン：はい。けれど今回で、ああ、こういう解釈で書くこともできるなって。今後、作詞の幅が広がりそうな気がします。

── 女性の切ない感情を歌うのは初めてだったそうですが、レコーディングも挑戦だったんじゃないですか？

キム・ヒョンジュン：そうですね。この曲は、ちょっとナイーブに歌う歌い方に挑戦しました。ちなみに僕は、このアルバムの制作中やその近辺に日本のアーティスト・ZARDの曲のたくさん聴いていたんです。彼女って、本当に自分が伝えたいことや女性ならではの感情をいつも歌で表現していたと思うんですが、例えば代表曲「負けないで」は、もし僕がこの気持ちを書いたら「Take my hand」のような感じになると思うんです。“負けないで”って成人の男性が言ったらちょっと子供っぽく聞こえる気がするし、だから、女性ならではの表現やメッセージというものってあるんだなと。そういうのもレコーディングの参考になりましたし、ZARDの曲にはいつもたくさんのインスピレーションをいただいています。

── 今お話いただいた2曲のほかにも、改めて、今回は多彩な“感情”がつまったアルバムになったと思います。

キム・ヒョンジュン：これまでもアルバムはたくさん出してきましたが、毎回毎回、1曲1曲作るたびに感じる感情をすごく大事にしていきたいと思います。自分で手掛けたフルアルバムですけど、とてもいいクオリティーのものができたと思うので、この記事を読んでくださっている僕のファン以外の方にもぜひ一度聴いてほしいです。キム・ヒョンジュンの2年間の歳月が込められているので、2年間こんなふうに生きていたんだ、こんな感情を持っていたんだ……ということを感じていただき、この先もたくさんの関心を持って聴いてくださるとうれしいです。

── アルバムの“月盤”と“太陽盤”で異なるジャケット写真にもこだわりがあるそうですね。

キム・ヒョンジュン：はい。“月盤”と“太陽盤”のジャケットは、まず温度感が全く違うと思います。手に取ってくださったときにそれぞれ違う感じ方をしてもらいたくて、それこそ触れた瞬間に“冷たい！”とか“熱い！”って感じてもらえるくらいのものを目指して作りました。久々のフルアルバムということで、アートワークはもちろんケースにもすごくこだわっています。

▲『月と太陽と君の歌』月盤（Type-A）

▲『月と太陽と君の歌』太陽盤（Type-B）

▲『月と太陽と君の歌』通常盤

── 表と裏、そして2つで1つというメッセージもジャケットから伝わってきますが、ご自身の性格の二面性やギャップで何か自覚していることはありますか？

キム・ヒョンジュン：僕も人間なので、寂しいときはとことん寂しく、うれしいときや楽しいときにはとことん喜んだり楽しくなります。ただ……その温度差がすごく大きい。中間がないです（笑）。

── 寂しいときはどうやって自分を癒すんですか？

キム・ヒョンジュン：一人で音楽を聴いたり、旅行に行ったり。あまり時間がないときは、いろんな景色を見たり風に当たったりするだけでも気分転換になります。逆に楽しいときは、何事もすごく前向き。スキューバダイビングやゴルフをしてアクティブに過ごすことが多いです。

── 2020年は、アルバム『月と太陽と君の歌』を引っさげた全国ツアーが2月からスタートします。ホールツアー＜月＞とライブハウスツアー＜太陽＞の2本立てのスケジュールですが、意気込みをお願いします。

キム・ヒョンジュン：ライブハウス公演はステージの上で燃え尽きたいです。お客さんに“この人、死ぬんじゃないか”と心配されるほど（笑）、全力の姿をお見せしたいです。ホール公演は、今回のアルバムの収録曲を土台に、以前の曲にもまたさらなるアレンジを加えて、曲ごとに合ったメッセージを伝えられるようにしたいです。たくさん準備をしているので、皆さん、期待していてください。

取材・文＝川倉由起子

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