【対談】BAROQUE × ACID ANDROID、時代と表現と音楽「受け継ぎながら繋がっていく」

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■今日選んだ5枚は自分がブレたら
■聴いて正すような作品──yukihiro

──すでに音楽的ないろいろなお話も出ましたけど、さらにお互いの背景を知る上で、今日はそれぞれ5枚の作品を選んできてもらいました。yukihiroさんがセレクトしたのは、ジャパン『Tin Drum』(1981年リリース)、デペッシュ・モード『Violator』(1990年リリース)、ナイン・インチ・ネイルズ『The Downword Spiral』(1994年リリース)、マッシヴ・アタック『Blue Lines』(1991年リリース)、レディオヘッド『OK Computer』(1997年リリース)の5枚です。これはどんなテーマで選んだものですか。

yukihiro:CDを5枚持ってきてくれと言われていたので、家を出る10分前くらいにCD棚の前に立って、バーっと見て選んだ5枚なんですけど(笑)。あえていうならば、常に聴いているもの、何か始めようという時は必ず聴くアルバムですね。

▲JAPAN『Tin Drum』

──では、まずジャパンから。

yukihiro:洋楽に興味を持ったきっかけというか、自分で初めて買った洋楽のアーティストがジャパンなんです。土屋昌巳さんのツアー参加などもあって存在を知りました。外せないアルバムですね。

圭:『Tin Drum』はリアルタイムで聴いていたんですか?

yukihiro:バンドを知ったときにはもう解散が決まっていて、土屋さんがツアーに参加している時だったので。アルバムとしてリアルタイムだったのはライヴアルバム『Oil On Canvas』(1983年リリース)ですね。

圭:あれはヤバイですよね。

yukihiro:だから、ジャパンは遡って聴いていました。デペッシュ・モードはリアルタイムです。

▲Depeche Mode『Violator』

▲NINE INCH NAILS『The Downword Spiral』

──デペッシュ・モードを聴いた当時、新しさを感じたんですか?

yukihiro:最初はちょっとわからなかったんですね。テクノポップというものに馴染みがなくて。存在はデビューした時から知っていたんですけど、段々とテクノとかに興味を持ち出して『Violator』でハマりました。

──ナイン・インチ・ネイルズの『The Downword Spiral』は2ndアルバムですね。

yukihiro:彼らの前にミニストリーの存在が僕の中にあって、その頃は“ミニストリーがいなければナイン・インチ・ネイルズはいないんじゃないか”っていう考え方だったので、ここに多分ミニストリーを感じてたと思うんですけど。でも、改めてトレント・レズナーがやってきたことや、今もやっていることを見ると、ミュージシャンとしてのあり方としてカッコいいなと思います。

──音楽的な部分もスタイル的な部分も。

yukihiro:あとは、トレント・レズナーの背景に自分とちょっと近いものがあるかもなって思えたりするんです。ニューウェーヴとかもトレント・レズナーの根底にはあると思うんですよ。ミニストリーも実はそうですけどね。

▲Radiohead『OK Computer』

▲MASSIVE ATTAC『Blue Lines』

──ミュージシャンとしてのあり方ということでは、レディオヘッドもそういう理由が大きそうですね。

yukihiro:僕の見解ですけど、『OK Computer』というアルバムがなかったら、ロックが変わってただろうなと思うんです。「Creep」で世界的に注目されて、『The Bends』というギターロックの傑作を作ったバンドがこのアルバムを作ったというのは、ロック史の何かが変わったような、自分の中でもそんな音がしましたね。今でも何かにつけて聴いちゃいますから。

──マッシヴ・アタックはどうですか。

yukihiro:ブリストルミュージックというジャンルを作った人たち。当時はトリップホップと呼ばれていたサウンド、その1枚目ですね。クラブシーンがこんなダウナーな音楽で盛り上がるっていうのが、最高だなって思いましたよ(笑)。今日選んだ5枚は、何かにつけて聴いている作品ですね。引き戻される感じというか、自分がブレたら聴いて正すような感じもあります。

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