【インタビュー】yukihiroが語る、ACID ANDROIDという果てない音の極致「納得できるものを追い求めてしまうんです」
L'Arc-en-CielのyukihiroのソロプロジェクトACID ANDROIDが、7月後半より新曲4曲を隔週連続配信リリースした。音源リリースとしては2018年4月のアルバム『GARDEN』以来、約5年ぶり。もちろんyukihiro自身はその間、L'Arc-en-Cielとしての活動やPetit Brabanconの立ち上げに加え、ACID ANDROIDとしてのライヴも継続するなど、実に精力的な活動を展開してきた。
◆ACID ANDROID 画像
そしてリリースされた新曲はその期間中、既にライヴ披露されていたもの。ACID ANDROIDの楽曲はステージ演奏されるごとに進化を遂げて驚かせられるが、この新曲も然り。スタジオレコーディングされた音源は、さらなるブラッシュアップを加えて届けられた。
4曲の新曲はヴォーカルや作詞作曲はもとより、プログラミング、アレンジ、レコーディング、ミックスを全てyukihiroが手掛けた。マスタリングは前作に引き続き、オレンジの小泉由香が担当。また、ライヴのバックメンバーとしてACID ANDROIDを支え続けるKAZUYA (Lillies and Remains)がギターレコーディングに初参加している。そして完成した4曲は、繊細で精巧な本来のACID ANDROIDサウンドに、ダイナミズムと奥行きが加えられて表情豊かな仕上がり。それぞれの楽曲が持つ世界観を広げて果てしない。
なお、ACID ANDROIDは、約2年ぶりのワンマンライヴ<ACID ANDROID LIVE 2023>を11月13日および14日に池袋harevutai、11月23日に渋谷SPACE ODDにて開催するなど、今後の新たな動きも決定している。
新曲「dealing with the devil」「pale fire」「demonstration」「idea」の制作について、またACID ANDROID、Petit Brabancon、L'Arc-en-Cielという3つモードについて、現在の音楽観について、来るべきアルバムについて、じっくりと話を訊いたロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■Petit Brabancon始動前から制作していたので
■ACID ANDROIDの曲を作ろうと思って作った4曲
──以前Petit Brabanconのインタビューで、ACID ANDROIDの制作も並行して行っているとおっしゃってましたが、今回新曲4曲が続けてリリースされました。久しぶりの新曲なんですが、まとめて出すのではなく単曲を4曲、少し間を置いて発信していく形態にした理由は、何かあるんですか?
yukihiro:特にミニアルバムとかEPとか、そういう形態でのリリースを考えていなかったので、1曲ずつ出しました。
──それは配信という形態を意識して?
yukihiro:そうですね。でも、最終的にはアルバムのような形でまとめられればと思っています。
──当然ですけど、まとめて何曲か出すのであれば、それなりのコンセプトというか、まとまりみたいなものがないといけないと思うんですよね。1曲ずつだとそういう制約は関係なく作れるとか、そういうことですか?
yukihiro:そこは意識してはないですね。
──4曲に共通するものは?
yukihiro:『GARDEN』(4thアルバム/2017年11月発表)以降に作ってきた曲、というぐらいです。
──その間、Petit BrabanconもL'Arc-en-Cielもあったわけですが…。
yukihiro:ACID ANDROIDは時間がある時にやっていました。一人で作業が進められますし。
──ACID ANDROIDの曲を作る時と、Petit BrabanconやL'Arc-en-Cielをやる時と、yukihiroさんの中で3つモードがある感じ?
yukihiro:曲を作るということに関しては、あまり違いはないですね。
──最初に手をつける段階では、どこで使うとか、何用の曲みたいなことは意識して始めるわけではない?
yukihiro:うん、そうですね。
──それがどの段階で枝分かれしていくんですか?
yukihiro:最近だと、ACID ANDROIDの場合は、この曲は音源では生ドラムじゃなくて打ち込みだなって思ったらACID ANDROIDの曲になります。
──誰が歌うかの違いも大きいですね。今回の4曲というのは、打ち込み、なおかつyukihiroさんが歌うにふさわしい曲だと。
yukihiro:この4曲は、まだPetit Brabanconが始まっていない段階から制作していた曲なので、ACID ANDROIDの曲を作ろうと思って作っていた4曲ですね。
──『GARDEN』は、今振り返ってみてご自分にとってはどういうアルバムでした?
yukihiro:『GARDEN』は、久々にほぼ一人で全部作ったアルバムだったんです。なので反省することが多かったですね。特にミックスは今聴くと、いろいろと思うところがあります。
──“ミックスが一番大変だ”って皆さんよく言いますよね。DIR EN GREYの薫さんに以前話を聞いたら、ミックスを自分でやらないのは、「今から学ぶくらいなら良い曲を作ることに専念したほうがいいから、ミックスはプロに任せたほうがいい」ってハッキリ言っていました。
yukihiro:僕もそう思っています。
──でも、今回も自分でやろうと思ったと。
yukihiro:ACID ANDROIDでは、そういう制作にチャレンジできるというのもあります。あと、自分で作っている音なので、それぞれに意図があって作っているんだけど、それを人に言葉で伝えるのが難しいんですよね。
▲デジタルシングル「dealing with the devil」/2023年7月21日配信開始
──前作『GARDEN』で自分でミックスまでやってみて、反省点が多かったと。
yukihiro:いっぱいありました。
──例えばどういう部分が? もっとこうすればよかったとか。
yukihiro:どういう部分というよりは、全体的にですね。ミックスもやり直したりしましたし。
──でも今回も、マスタリング以外は全部ご自分ひとりで。
yukihiro:そうですね。前回よりは良い感じになってるかなと思っています。
──特にどういうところがご自分で良くなったと思いますか?
yukihiro:イメージしていた音に少しは近づけられた感じはします。
──曲を作る時って、ご自分なりの理想形というか、こういう音を作りたいっていうイメージがはっきり自分の中にあるわけですか?
yukihiro:はい。
──じゃあミックスは、自分の中にある理想の音にどれだけ近づけられるか、その最終段階の作業ということなんでしょうか。
yukihiro:そうですね。
──それが今回はかなりうまく行ったと。
yukihiro:ミックスも含めて曲作りだということを改めて感じて作業してました。
──ミックスでやれることには限度があるから、その前段階でいろんな工夫をして理想の音に近づけていく。
yukihiro:そうです。
──メロディはどの段階で出てくるんですか?
yukihiro:メロディは曲の構成が出来上がってから、最後のほうですね。
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