【ライブレポート】UNLIMITS、自主企画<夢幻の宴>で「僕らは今もこの場所に」
UNLIMITSが6月8日、東京・渋谷TSUTAYA O-Crestで主催イベント<夢幻の宴 vol.30>を開催した。
◆UNLIMITS 画像
<夢幻の宴>は2018年8月に下北沢SHELTERで開催して以来、約10ヶ月ぶり。長尺でUNLIMITSのライヴが観れる貴重な機会ということもあり、待ち焦がれていたオーディエンスが多かったのだろう。前回同様、チケットは即日ソールドアウト。はやる気持ちを抑えきれないオーディエンスが開場前から長蛇の列を作っていた。
まずは、女性四人組のロックバンド、Bray meがオープニングアクトとして登場。女性らしいしなやかさと芯のある歌を併せ持ち、各方面から注目を集めるバンドだ。若干緊張した表情もうかがえたが、挨拶代わりに「大きな窓の向こう側」を確実に響かせ、そのポテンシャルを見せつける。印象的だったのは、こたに(G/Vo)が「君が誰かに笑われたとき、一緒に戦えるような優しい曲を」と口にしてからプレイした「シンデレラストーリー」だ。自然とハンズクラップが起こり、フロアの熱気も高まっていく。短い持ち時間の中、ガムシャラに攻め立てることもできたであろうが、自分たちの持ち味を最大限に活かすパフォーマンスはしっかりとオーディエンスの心に残ったはず。
ステージに姿を表すや否や、「UNLIMITSが呼んだのは、オレらだ!」と力強く宣言したNUBOは、とにかく前のめりの大熱演。UNLIMITSとは長年にわたってしのぎを削ってきた盟友であり、新体制になった2018年12月以降、非常にテンション高く邁進しているだけあって、オーディエンスも諸手を挙げて迎え入れる。歌い上げるTommy(Vo)と咆哮する一成(Vo)というツインヴォーカルの声の対比も素晴らしく、「Circle」や「Such one」といったキラーチューンから新曲「GODA」まで一気に叩きつけ、序盤からボルテージは上がりまくり。高い技術とグッドアンサンブルはいつ観ても素晴らしい。
また、UNLIMITSからのリクエストだったという「present changes past」も秀逸。過ごしてきた日を抱きしめながら、再び前を向くリリックが温かく、実に胸を打つ曲だ。Tommyが「リクエストがこの曲でよかった」と語っていたが、バンドを続けていればいいことばかりではない。でも、そんな中でも大切な想いを抱え、歩んでいく両バンドのスタンスが投影されていたようにも感じたはず。
終盤に入ってもペースが落ちることはなく、“追い込まれたときはおもいっきり振り抜く”というNUBOらしい姿勢が詰め込まれた新曲「THREE TWO」でエネルギッシュにフロアをぶち上げ、「また、カッコいいライヴハウスで会いましょう!」とTommyが叫んでからの「Colored」で締めくくり。どこまでも痛快に駆け抜けていった。
そして、トリはUNLIMITS。照明が暗転した瞬間から、大きな歓声と拍手が巻き起こり、その期待感の高さがありありと伝わってくる。突然、清水(Vo/G)が「UNLIMITS、始めます!」と大きく声を上げ「ループ」で口火を切れば、オーディエンスは前へ押し寄せ、ダイブも続出。メンバーもそれに負けじと、主催イベントということで気負う部分はあれど、今この瞬間を存分に味わい、純粋にバンドとライヴを楽しんでいるからこそ生まれる空気を醸し出し、いい抑揚を描きながら抜群の躍動感で突っ込んでいく。久しぶりのライヴとなった前回の<夢幻の宴>とはまた違う、また手を取り合って歩みを進め、ただただまっすぐに音と熱に酔いしれているスタイルに心が踊りっぱなしだ。
「エターナル」の余韻を残したまま始まった「クローバー」は、フロアを狂乱させるビート感も相まって、もはやクライマックスかと見間違おうばかりの盛り上がり。会場全体が白熱していくのだ。赤いライティングがより雰囲気を作り上げた「蜃気楼」から盛大なジャンプがフロアで起きた「さよならバタフライ」へとつなぎ、前回の<夢幻の宴>から披露されている新曲(タイトル未定)もいいムードを醸し出す。続いていく物語が綴られたこの曲は、まさに今のUNLIMITSそのものに違いない。
大月(G)の奏でるフレーズでオーディエンスが大きな声を上げ、絶妙な緊張感を保ちながら優しく歌を響かせた「アネモネの夢」、石島(B)が同郷の仲間への想いを実直にしたためたリリックが心に染みる「道しるべ」、「僕らは今もこの場所にいます。ライヴハウスにいます」と清水が意思表示をした「リリー」とよどみない流れかと思いきや、「ここから第2章を始めます」と清水が語ってから、さらにペースを上げた後半戦は凄まじかった。
郡島(Dr/Vo)の叩き出すリズムにコールが起こり、まずは「ラストダンス」をドロップし、上昇カーブを描きっぱなしのフロアへ突きつけたのは清水と郡島の掛け合いも鮮やかな「月アカリサイレース」。オーディエンスは激しく踊り、声を枯らさんばかりに大熱唱する。また、「最大限に感謝してるのは、こうやって(ライヴに)来てくれる人、気にしてくれる人です。本当にありがとう!」と全国各地から集まったオーディエンスへ謝辞を述べてからプレイしたのは「ハロー」だった。UNLIMITSがずっと大事にしているつながりを歌ったこの曲。言葉では伝えきれない想いが溢れ、会場全体を包み込んでいった。
その圧倒的なドライブ感は言わずもがな、メンバー4人がそれぞれ背中を預け、衝動的に突っ込んでいく「最終列車」を披露し、本編ラストとして「ひこうき雲」をプレイ。清水が「歌え、渋谷!」とフロアへマイクを向ければ、とんでもない大合唱が会場全体に響き渡っていき、見事に最高潮へと導いていった。
アンコールでは、郡島をはじめとしたメンバーが改めて感謝の意を述べ、渾身の1曲として「フランジア」を投下。バンドの真摯な気持ちとオーディエンスが持つ期待がこれ以上なく合わさり、一瞬でフロアはピーク超えの様相。ライヴ序盤に「思いっきり楽しんでいこう! それだけ!」と清水が語った通り、最後の最後までひとつの想いが美しく描かれたライヴだった。
取材・文◎ヤコウリュウジ
■<UNLIMITS presents.「夢幻の宴 vol.30」>
open18:00 / start18:30
出演:UNLIMITS / NUBO / Bray me
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