【速レポ】<MUSISION FEST>The Cheserasera、「みんなで一緒に歌いたい」

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すっかり陽が落ち、ステージを照らす照明が輝きを増した頃、ドリス・デイの名曲、「ケ・セラ・セラ」が会場内に流れ、拍手が沸き上がる。<MUSISION FEST>のトリを務めるThe Cheseraseraの登場だ。

◆The Cheserasera 画像

「最後まで残ってくれてありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」


ボーカルの宍戸翼が挨拶をすると、手にしたアコギをかき鳴らしながら歌い始め、そこに美代一貴のカホンがビートを鳴らす。そして西田裕作がベースラインを奏でると、1曲目の「ワンモアタイム」のスタートだ。

このアレンジからも分かるように、今回のThe Cheseraseraは、<MUSISION FEST>のシチュエーションに合わせて、スペシャルなアコースティック編成でのライブ。すると、ようやく涼しくなって会場からは、自然と手拍子が鳴り始め、多くの観客が、このフェスのフィナーレを存分に楽しもうと、身体を揺らす。


続く「月と太陽の日々」、そして「最後の恋」を歌い終えた宍戸は、このバンドを組んで10年目を迎えたこと、5月8日にアルバム『幻』をリリースし、自分たちでMVも作りながら改めて頑張ってみようと思っているとMCで語ると、観客は3人に大きな拍手を送った。

それに応えるかのように、「月は面影」、「横顔」と、新譜から2曲を披露し、さらにタイトル曲である「幻」へと進んでいく。そこで宍戸は、「みんなで一緒に歌いたい」と語り始めた。


「この曲が出来た時から、このフレーズは、みんなで一緒に歌いたいなって思っていたんです。そういうことは、これまであんまり言ったことはないんですけど、せっかくのこういう場所で、声を出したら気持ちいいと思うから。こういうフレーズです」

そう言って、この曲のサビでもあり、曲の冒頭部分のフレーズを弾き語りで披露し、一度、観客と一緒に歌ってから、改めて「幻」を演奏。そして訪れたサビでは、3人は演奏をやめ、手拍子だけをバックに、ステージと観客が一体になっての大合奏となった。間髪入れずに始まった「讃美歌」では、西田がフロントで観客を煽り、美代は観客と一緒に手を叩いて、会場をさらに盛り上げていく。


そしていよいよ最後の曲だ。

「つかぬことを伺いますが、みなさんクソみたいな恋愛をしたことがありますか? 今日はみなさん、味のある方が多いので、ひと癖もふた癖も、濃い人生を送ってきたんじゃないかなって思いながら歌ってましたよ(笑)。僕も、すごい最低な恋愛をしたことがあって、思い出したくなんだけど、実は結構思い出したりして。だから、街中で流れる嘘くさいラブソングは大嫌いなんです」

宍戸はこう言い残し、「I Hate Lovesong」を歌い、3人の演奏は最高潮を迎えた。しかし、まだまだ彼らの歌を求める拍手は鳴りやまず、急遽、3人は再びステージに。最後に「さよなら光」をアンコールとして披露し、The Cheseraseraのステージ、そして2019年の<MUSISION FEST>は幕を閉じた。

   ◆   ◆   ◆

【終演直後の楽屋裏ミニインタビュー】

──トリのステージが今、まさに終わったばかりですが、いかがでしたか?

宍戸翼:めちゃくちゃ気持ち良かったですよ。昼間は暑かったけど、今は風もいい感じで。野外ってやっぱり気持ち良くて、季節的にも5月は一年の中でもベストですし。

西田裕作:木々のそよぐ音がとても素敵で。今回、僕らはアコースティック編成だったので、こうした環境の中でいい感じの音が鳴らせていたような気がして、すごく気持ち良く演れました。

美代一貴:うん、気持ち良かった。野外のライブってそんなにないですし、プラス、アコースティックっていうライブは完全に初めてだったので、それはすごくいい経験になりました。

──今回、アコースティック編成で出演したのは、どういう意図からだったのでしょうか?

宍戸翼:最新アルバムの『幻』が、リズム・アプローチ的にも面白いものにできて、いろんなバリエーションの曲があるんです。もちろん、メロディもちゃんと作れた自信があるので、今回は野外だし、アコースティックでやってみても、アルバムの曲が映えるんじゃないかと思って。

美代一貴:今回、BARKSさんから「アコースティックで」という話があったし、シチュエーション的にもアコースティックでやってみて、初めての環境で、面白い経験ができたと思います。

──西田さんは、楽器自体はエレクトリック・ベースでしたが、アコギやカホンと合わせるとなると、やはりベースのタッチ感も変わってきますよね。

西田裕作:原曲とはアレンジが違うので、フレーズ自体も変えましたし、いつもみたいにパキッとした音ではなくて、温かみがある感じに音作りも変えました。

宍戸翼:よりグルーヴィに主張するような、全体的にそういうバランス感になったかな。

──そういったこともあって、本編で演奏された8曲中、半分が新譜からの演奏となったわけですね。

美代一貴:アルバムを作っている段階から、アコースティック映えする曲ができていたので、それをしっかりセットリストに入れ込みつつ、やりたかった曲を演奏できたと思っています。

──そしてアンコールもありました。

宍戸翼:すごく気の良いお客さんが多かったですよね(笑)。土地柄なのか、なかなか濃い方々というか、人間としても厚みのある方々が多かったのかなって。僕らは、日常の辛みとか、嬉しさを歌っているので、より深いところで交わることができたらいいなと思いながら歌ってました。

──<MUSISION FEST>のトリを務めてくださったということで、最後に、このフェスに来てくれた方みなさんへのメッセージをお願いします。

宍戸翼:やらせてくれてありがとう。観てくれてありがとう。お元気そうでなによりです、っていう、それがすべてですね。

美代一貴:そしてやっぱり、こういう環境を用意してくれたことが、本当にありがたかったです。

西田裕作:そうだね。弾き語りだけというスタイルはやったことがあるんですけど、カホンを入れてのアコースティック・セットというのは、本当に今回が初めてだったので。

宍戸翼:そのときよりも前向きで、強気というか、アーティストとしても一回り大きくなった自分で居られたらなって思いながら、演奏することができました。

──また次回チャンスがあれば、また楽しませてください。

宍戸翼:はい! ぜひ、また演りたいですね。

取材・文◎布施雄一郎
撮影◎釘野孝宏

セットリスト

1. ワンモアタイム
2. 月と太陽の日々
3. 最後の恋
4. 月は面影5. 横顔
6. 幻
7. 賛美歌
8. I Hate Love Song
encore
en.さよなら光


<MUSISION FEST 2019>
2019年5月25日(土)
@上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)
自由席 4,000円(税込)・当日4,500円(税別)
開場/開演:11:00/12:00
出演(順不同):The Cheserasera、音速ライン、浅草ジンタ、浜端ヨウヘイ、関取花、kitri、フラチナリズム、MAISON“SEEK”


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