The Cheserasera、活動休止前ラストライブで再会を約束「またこのメンバーでステージに」
The Cheseraseraが1月9日、東京・下北沢シャングリラでワンマンライブ<The Cheserasera ワンマンツアー ~追加公演~>を開催した。活動休止前最後のライブとなった同公演のオフィシャルレポートをお届けする。
◆The Cheserasera画像
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昨年11月に活動休止を発表したThe Cheseraseraによるワンマンライブが、1月9日に下北沢シャングリラにて開催された。本公演は年末にかけて行われたツアーの追加公演であり、活動休止前のラストライブとあって、チケットは瞬く間にソールドアウト。それを受けて当日は配信も行われ、会場のみならず全国のファンに見守られて彼らはこの日を迎えた。
スタートは「good morning」。ドラムカウントを合図に鳴らされた音は繊細だが力強く、3人のアンサンブルは今までにないほど磨き抜かれていた。ライブ定番のキラーチューン「最後の恋」では西田 裕作(B)が手拍子を煽り、始めは緊張感があった会場の雰囲気も次第にいつものライブのモードに切り替わってゆく。すると、その空気を感じ取ったのか「未来のことは分からないけど、今ここにある体、音楽は本物だと思う」と宍戸 翼(Vo,G)が前置いて始めたのは、焦燥感たっぷりの「Youth」。それは様々な想いを胸に今日を迎えた全員に“今は今を楽しもう”と語り掛けるようでもあった。
中盤のMCでは、珍しく美代 一貴(Dr)が饒舌に胸の内を露にした。小学校からの付き合いの相棒・西田のことや、ファッションブランドの立ち上げ等音楽外の活動も、全てバンドに還元するためだったことなどを話し始める。バンド活動のない生活については「僕もどうなるか分からない」と不安を口にしたが、それでも最後は「今までやってきたことを全て出し切りたい。出逢ってくれてありがとうございます」と、精一杯の感謝を伝えた。そして「ドラムス、美代 一貴でした」とMCを締めたのは宍戸。彼は「そんな美代君が作った曲を3曲続けて歌います」と「白雪」のエモーショナルなイントロを掻き鳴らす。
ここ数年、バンドをメンバー自らがDIY的に運営するようになってから一番変化したのが、宍戸のフロントマンとしての意識だと思う。この日も先のMCで彼はこんなことを口にしていた。「(自分が)泣いているように見えてもそれは寂しいからじゃなくて、良い歌だなって思ってるだけだから。勘違いしないように」。照れ隠しとも強がりとも取れるが、きっとそれ以上に伝えたかったのが「楽しんでほしい」という気持ちだろう。そして、その想いはもちろんメンバー3人に共通するものだ。西田もゆるいトークで笑いを誘いつつも、泣いているお客さんを見るとつい、もらい泣きしてしまう、と明かすなどこの日ならではの言葉が垣間見える。
そしてライブはあっという間に後半戦へ。「ひとりごと」「幻」と、ブラックミュージック色が濃厚な2曲を立て続けに演奏。グルーヴィーなベースの横揺れと、シャープなドラムの縦のリズムのコンビネーションで魅せる。対して直後の「BLUE」は一転、青臭さ全開の全力疾走ロックチューンだ。こうして楽曲のバリエーションが豊富でも、常に彼ららしさがあるのは、3人の個性がどの曲にも光っているからだろう。思わず身を委ねたくなるような西田の深みのあるベースラインに、洗練されつつもアグレッシヴな美代のドラム。そして宍戸のメロウなギターとハスキーだけど見通しの良い歌声。一見バラバラのそれらが、絶妙なバランスで支え合い、混ざり合い、唯一無二のアンサンブルを生み出しているのだと改めて感じた。
いよいよ残すところ数曲に差し掛かった頃、宍戸が改まって「僕らは元々、昼行灯という名前で活動していました」と過去を振り返った。昼行灯には役立たずという意味があり、建前や嘘がうまく使えず正直すぎるがゆえに、色々なことが上手くいかなかった自分を重ねて名付けたものだという。改名後のバンド名The Cheseraseraも「なんとかなるさ」という意味よりも「どうにでもなれ」という意味合いが強かったそうだ。しかし、自分に嘘をつかないために歌を作り続けた結果、多くの人と出逢えたことで、前向きになれたのだと再び感謝を伝え「またこのメンバーでステージに立てることを夢見ています」と、最終フェーズへ。
「自分で描いた未来をダメにしないで。信じて大丈夫」と始めた「ファンファーレ」は、その言葉通りのポジティブなパワーを宿したパフォーマンスで会場を圧倒する。意地とエネルギーが凝縮された美代のドラムも、演奏する歓びに満ちた西田のベースも、真っ直ぐと前を見据えた宍戸の歌も、ここで終るバンドのそれではなく、確実にこの先も進化を続けるバンドの音そのものだった。「I Hate Love Song」で本編を締めると3度のアンコールに応え、最後はがむしゃらに「SHORT HOPE」を演奏し、潔く終了。「この命が終るまで、お付き合いください! もっとカッコ良くなって帰ってきます!」と再会を約束し、彼らは晴れ晴れとステージを後にした。
そして気付けば開演時に胸を締め付けていた寂しさは和らいで、彼らのこの先を楽しみに待っている自分がいることに驚いたけれど、会場を後にするファンの表情も同様にどこか晴やかだった。かつての昼行燈は今、灯台になって来たるべき再会の時までそれぞれの未来をそっと照らしてゆくのだろう。
文◎イシハラマイ
撮影◎そらおあきら
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■<The Cheserasera ワンマンツアー〜追加公演〜>2022年1月9日(日)東京・下北沢シャングリラ セットリスト
01. good morning
02. 賛美歌
03. 風に吹かれて
04. 最後の恋
05. Youth
06. カナリア
07. No.8
08. seen
09. 白雪
10. うたかたの日々
11. ラストワルツ
12. ひとりごと
13. 幻
14. BLUE
15. 春風に沿って
16. 東京タワー
17. ファンファーレ
18. 月と太陽の日々
19. I Hate Love Song
20. 消えないロンリー
21. でくの坊
22. Drape
23. さよなら光
24. SHORT HOPE
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<The Cheserasera ワンマンツアー〜追加公演〜>アーカイブ配信
配信チケット : ¥2,000
streaming+
https://eplus.jp/sf/detail/3552510001-P0030001
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