【インタビュー】むぎ(猫)、歌えて踊れて楽器も演奏できる「天国帰りのネコ」が待望の1stアルバム『君に会いに』リリース
■「え?宅録でメジャーデビューしていいの!?」って
■こんな沖縄の民家で宅録していいのかなって(笑)
――今回のメジャー1stアルバム「君に会いに」を作るにあたっては、どんなプロセスがあったのでしょう。
むぎ(猫):やっぱりいつもライブを中心に考えているので、次はまたライブで新しいことをしなきゃな、曲も増やしていかなきゃなってところからでしたね。
――制作は楽しめました?
むぎ(猫):2018年11月にやった東京のワンマンライブで「3月にメジャーデビューします」って発表したんですけど、その時もまだ内容は固まっていなかったし、メインの曲も決まっていなかったから、結構焦りました(笑)。このアルバムで新たに知ってくれる人もいるんだよなって気持ちはあるんだけど、それをどう表現したらいいのかな。待ってくれてる人もいる、だけど逆にまだ待ってくれていない人には、どう「むぎ(猫)」を紹介したらいいのかな。このCDを通してどう伝えたらいいのかなって考えましたね。
――なるほど。
むぎ(猫):今まではむぎがライブ会場で待っていて「みんな来てね」って感じだったけど、今回このCDには、遠くても君に会いに行くよ、むぎ(猫)の音楽がみんなに届きますようにっていう気持ちが表れてると思います。
――むぎ(猫)さん自身の決意というか、ここからやっていくぞ、もっともっと楽しんでもらいたいなっていう前向きな気持ちもたくさん込められている気がしました。
むぎ(猫):そうですね。「君に会いに」もそうだし、「四輪駆動の飛び出し坊や」や「流れ星」もそう。ここからどこかへ向かっていくんだっていう気持ちです。
――「夢から醒めた夢」は、むぎ(猫)さんの作る楽曲のテイストとしても新しいのではと思ったのですが。
むぎ(猫):あの曲は、むぎがフェスを経験したからこそできた曲でもあるんです。前作の頃はライブハウスや小さい会場で歌っていましたけど、その後フジロックとか色んなフェスを経験したことによって、こういう場面に合う曲も欲しいなと思って。サウンドのテイストもそうだし、のれるようなテンポで振り付けもできたらって考えながら作りましたね。
――ステージの経験が、楽曲の制作にも反映してるんですね。
むぎ(猫):「流れ星」もそうですね。フェスでタオルを振る曲が欲しいなと思って作りました。<見たか?空を走る光 伸びる尻尾は緑色>という歌詞で始まるんですけど、むぎのグッズで売ってるタオルが緑色なんですね。これを流れ星に例えたらかっこいいなと思って。それで、イントロもキラキラしたピアノのリフから始まるんです。
――その流麗なピアノの腕前もそうですけど、むぎ(猫)さんのライブでもおなじみの木琴など、色んな楽器を手がけながら宅録で作られてるんですよね。
むぎ(猫):はい。むぎが唯一演奏できないのはギター。毛が挟まって、ちゃんと音が鳴らないから(笑)。
――(笑)。
むぎ(猫):カイヌシも難しいギターソロとかは弾けないので、そういうところは友達のサトシちゃんにお願いしました。例えば「るすばん天国」。4小節だけソロがあるんですけど、練習もせず一発録りでしたね。うちに来て、わずか5分でその日のギャラを持って帰りました(笑)。あと「ギフテッド」のアコギもサトシちゃん。すごいですよね。近所に住んでいる音楽仲間なんですけど、色んなこと手伝ってくれるし、むぎが作っている動画にも役者として出てくれたりもしています。
――そういうことを宅録でやれるって、幸せな環境ですね。
むぎ(猫):やるぞ!と思ったらすぐに出来るし、スタジオと違って時間をかけて悩んでいてもお金かかりませんからね(笑)。でも最初は思ったんですよ。「え?宅録でメジャーデビューしていいの!?」って(笑)。うちには本当に簡単な機材しかなくて、それで前作も作ったんですけど、こんな沖縄のね、民家で宅録していいのかなって。
――(笑)。
むぎ(猫):でも逆にね、むぎがいきなり東京のスタジオに入って録った音は「むぎ(猫)」の音楽にはならないだろうなって気持ちもあったんです。関係者に、むぎ(猫)の音楽は手作りのテイストが残ってる感じなんだって、わかってもらえていることが嬉しかったです。むぎはこれでいいんだよって言われた気がしてね。
――しかしその手作り感が、今回は斬新な方向にも発揮されてましたね。イントロが長いと自分でぼやいてみたり、歌詞の説明を始めたり(笑)。
むぎ(猫):「無視できない虫」ですね。あの曲は自分で歌っているところに自分でツッコむっていうことをやっているんですけど、そんなこと、普通あります(笑)!?ちょっとコミックちっくにやってみたんですけど、ライブでどうやろうかなってちょっと悩んでるところです。
――でも音源は音源の楽しみがあってもいいですよね。
むぎ(猫):そうそう。そこを踏まえた上で、みんなの期待を裏切らない演出を考えようって思ってます。
――6月からは全国9ヶ所をまわるツアーも始まりますが、今回初めてご覧になる方も多いと思います。
むぎ(猫):むぎ自身も難しいなと思ってるんですけど、「むぎ(猫)」の面白さを言葉だけで伝えるって本当に苦労するんですよね。さっきも少しお話ししましたけど、ライブも何か宝物にしてもらえるような、思い出になるようなものになればいいなと思って、それだけを一生懸命考えてやっています。もちろんむぎが生歌で全部歌っているんだけど、そういうのって現場に来ないとなかなかわからないですよね。ゼエゼエ息してんなとか、木琴間違えたなとか(笑)、そういうことでもいいんです。あのネコ生きてるなってところを感じてもらいたいなっていつも思っています。このネコ蘇ったんだ、今ここに生きてるんだなって。とにかくステージでむぎはいつも輝いていたいと思っているので、その瞬間を見に来てもらいたいなって思います。
――切なくなったり、優しい気持ちになったり。むぎ(猫)さんの表現に触れると、すごく素直な感情が湧き上がってくる気がします。
むぎ(猫):そうだといいなと思っています。直接は言わないですけど、ベースにはやっぱりむぎがこうして2回目の命を生きてるっていう部分がありますからね。命の大切さ、命の輝き、そういうものがじんわりと伝わっていればいいなって。
――大切な人やペットなどを失う悲しみは、いずれ誰もが経験することですからね。
むぎ(猫):はい。それに、自分自身が大事に思えなくなる時もあると思うんですよ。罪悪感に苛まれたりして、自分はダメだって思っちゃったりする。そういう方にも、改めて自分の大事さとかに気づいて欲しいなって思うんですよ。むぎのライブを見て、「あぁ、もっと楽しんでいいのかな」とかね。
――あと、夢の叶え方も人それぞれでいんだなって思いました。
むぎ(猫):そうですよね(笑)。むぎも、思ってもないことばかり身の回りで起きて、ネコ界初だとか言われたりして、嬉しくもありビックリもしているんです。願ってもない夢が、思いがけないところから叶うこともあるんだなって、そんな今を生きてますよ。
――そんなむぎ(猫)さんの、今後の夢は?
むぎ(猫):目先のライブを楽しいものにする。それしか考えてこなかったし、今もそうですね。とにかく次のライブでまたみんなを笑顔にしたい、その先に何があるかわからないけど、その都度面白いものを掴んでいきたいなって思っています。この、肉球のない手でね(笑)。
取材・文●山田邦子
リリース情報
2019年3月20日発売
初回盤(CD+DVD)VIZL-1547:¥3,500+税
通常盤(CD)VICL-65132:¥2,500+税
[CD 収録曲]
1. 木の下で -instrumental-
2. 君に会いに
3. 猫と学校
4. 夢から醒めた夢
5. 無視できない虫
6. ギフテッド
7. CとDと
8. るすばん天国
9. 四輪駆動の飛び出し坊や
10. 流れ星
11. ちいさなうた
12. 小さな庭 -instrumental-
[DVD 収録内容]※初回限定盤のみ
「Wonder Nyander 2018 東京編 at 東京キネマ倶楽部 2018.11.01」
[ 収録曲] 全6曲 (40分収録)
1. 四輪駆動の飛び出し坊や
2. ギフテッド
3. るすばん天国
4. 夢から醒めた夢
5. 天国かもしれない
6. どんなふうに
ライブ・イベント情報
6月20日(木) 名古屋TOKUZO
6月23日(日) 東京Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
7月6日(土) 広島HIROSHIMA BACK BEAT
7月7日(日) 福岡ROOMS
7月10日(水) 仙台darwin
7月12日(金) 札幌クリエイティブスタジオ
7月20日(土) 京都磔磔
7月21日(日) 大阪Music Club JANUS
7月28日(日) 沖縄桜坂劇場ホールA
※東京・沖縄は2回回しで行います。
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