【短期集中連載】第一回・BugLug優の“解体新書”
BugLug は2009年に華々しくヴィジュアル系シーンに登場し、精力的に活動を続けてきた。しかし2016年一聖(Vo)が事故で重症頭部外傷を負い一時意識不明の状態に。そして日本武道館にて復帰、再スタートを切るなどヴィジュアル系バンドの中でも数奇な運命をたどってきた。
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そんなBugLugが9月1日に日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブ<KAI•TAI•SHIN•SHO>を行う。このライブの開催に寄せて、BARKSではソロインタビューを行いメンバーは今何を思うのか探った。全5回、メンバーそれぞれを紐解く“解体新書”になれたらと思う。第一回目は優(G)にフィーチャーする。
◆ ◆ ◆
■野音はかなりデカいターニングポイント
■正直、武道館でファン減るだろうなって思った
――まず最初に触れておきますけど、野音という場所に対して優さんの思い入れや印象深いエピソードなどがあったりしますか?
優:個人的には一番好きな場所の1つではありますね。今までライヴをやった場所として、順番をつけるとしたら一番好きかも。武道館より。
――どうしてですか?
優:やってて気持ちいいから(笑)。野外だから当たり前だけど、開放感があっていいですよね、空も見えるし。あと、人のライヴを観に行ってもお祭り感があるというか、そこにいるだけで楽しくなるじゃないですか。
――なるほど。バンドが野音に至るまでの道のりをちょっと振り返ってみたいんですが、BugLugはここまでバンドとして予想もしなかった道のりを辿ってきたのではないかと。
優:全然予想してなかったですね。でも自分の人生の中で考えると、そこまで大きな出来事があったという感じではないんですけど。
――そうなんですか? 一時は活動の危機に追い込まれたバンドですけど。
優:もちろん一聖(Vo)が怪我したのは大きな出来事だったけど、そこまで焦る感じでもなく。どちらかというと「あ、そうなんだ。じゃあどうしようか」みたいな考え方だったんですよ。俺、たぶん物事に対してそこまでのめり込むタイプじゃないんでしょうね。だから一聖が復活できるとしても2年かかるって言われた時も「2年か、じゃあそれまでどうやってバンドをキープするか」っていう発想に切り替えて」。
▲優(G)
――起こった事実にどう対処するかっていう。
優:そうですね。次に自分がどうすべきか、普通に考えてましたから。
――冷静なんですね。
優:バンドの中でも一歩引いてるタイプだと思います。
――それは何事にも対してもそうなんですか?
優:わりとそうですね。バンドやってて思うのは、自分は目立ちたがり屋なんだけど恥ずかしがり屋でもあるというか。そういう性格だってことをバンドやってるうちに気づいて。今のBugLugでの立ち位置は、そういう自分を自覚して作り上げたものだと思います。目立ちたいとか自分の好き勝手やりたいっていう気持ちもあるんだけど、BugLugでの俺の立ち位置はそこではなくて、それは一聖がやればいいやと思ってるんで。
――自分ではなく彼が?
優:バンドで「俺はこう思ってるんだ」とか「世間にこういうことが言いたいんだ」とかは、一聖だけが表現すればいいと俺は思ってて。だから自分は一歩引いて考える側に回ってるんだと思います。
――どうして彼だけが表現すればいいと思ったんでしょうか。
優:俺も10代の時は自己主張とか承認欲求があって、詞も書いて曲も自分で書かないと気が済まなかった。でもバンドをやってくうちに自分より面白い奴と出会って。一聖もその一人だし、とにかく自分が超普通の人間なんだなって気づかされて。そんな奴が歌詞とか書いても当たり前のことしか書けないし。それに比べて一聖って面白い奴だと思いません? 言ってることもあっちこっち行って矛盾したり。
――一聖くんは思ったことをそのまま口にしたり、行動してしまうようなフロントマンという印象があります。
優:でもそこが面白いなって。曲もそう。怒りの感情に任せて人の悪口を言ってるだけの曲もあれば、次の日に愛に満ち溢れた曲を書いてきたり。俺からするとなんだこいつは!?って感じなんですよ。でもそういう奴が好きにやってた方がバンドって面白くなるじゃないですか。俺はそれを端から見て茶々入れるのが楽しいというか。
――バンドを一歩引いたり俯瞰してる立場ってことなんですね。
優:そうですね。
――そういう立場の優くんから見た、今のBugLugが野音でライヴをやる意味ってなんだと思います?
優:ターニングポイントですね。しかも、かなりデカい。それこそ、さっき言われてたバンドの道のり、一聖が事故で怪我してそこから4人で続けて、5人でようやく武道館で復活したけど思いっきりスベって、それを47都道府県ツアーでどうにか立て直して。
――武道館でスベったというのは?
優:正直、あれでファン減るだろうなって思ったんですよ。このままバンドも終わってくんだろうなって。それぐらい武道館はダメでしたね。5人ともカッコつけすぎだし、それまで俺らがやってないことを無理矢理やろうとして滑ったんですよ。で、そこからヨンナナ(47都道府県ツアー)でどうにかバンドを立て直し、アルバムもしっかり作ってそのツアーも回った上での着地点が野音で。
――なるほど、野音はバンドにとってそういう位置付けなんですね。
優:ここで伸るか反るか、ギャンブルじゃないですけど、野音は間違いなく誰が見てもいいと思えるようなライヴにしないといけないって思ってて。ぶっちゃけバンドは野音以降、ワンマンの予定がないんです。あえて決めてない。野音をやった上で自分たちが今後どういう方向に舵を切っていくべきか、それを考えるつもりだから。っていうぐらい、危機感があったんですよ、武道館以降は。
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