【対談】DAISHI(Psycho le Cému) × IZAM(SHAZNA)「“アイツら、何?”と“すげえ”の両方を持っていた」

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■急に“SHAZNAいいよね”とか言うなよ、って
■変なジェラシーありました(笑)/ DAISHI

IZAM:僕は全然なかったかな。当時は家を出た瞬間から女形でいなきゃいけないと思ってたから、社長の前でもマネージャーさんの前でもずっとIZAMのイメージのままだったんですよ。スタッフにも一切ふだんの姿は見せずに。

DAISHI:そうなんですね。共通点があるなと思うのは、IZAMさんもAYAくんも、身長高いし身体つきもしっかりしてるんですよね。梅沢富美男さんじゃないけど、女形って意外と男っぽい方ができるのかなって。

IZAM:自分と真反対だからかもしれないですね。でも、最初は楽しかったんですけど、疲れましたよ。1日の中でメイクしたりとか、身だしなみにかける時間が長すぎて睡眠は1〜2時間でした。

── ひえー。当時の忙しさを物語るエピソードですね。

DAISHI:偉大な先輩はいっぱいいらっしゃいますけど、ヴィジュアル系っていう言葉を一般的にしたのはSHAZNAさんかなって思うんですよ。まだ、どこかロックってアンダーグラウンドな世界だったけど、あの頃、SHAZNAとIZAMという名前を知らないサラリーマンいなかったですもん。

IZAM:(笑)。

DAISHI:飲み屋で「俺、IZAM抱けるよ」っていう会話を何度、耳にしたことか(笑)。それぐらいモンスター級の爆発力でしたもん。たぶん、ご本人の意識を遥かに超える売れ方をしたと思います。当時、まだインディーズでしたよね。

IZAM:そう、そう。女性週刊誌の取材のオファーが来て、そこからダダーッって取り上げられて「Melty Love」(1997年)でメジャーデビューしたっていう。

── 当時、週刊誌や情報誌に取り上げられたのは覚えています。ヴィジュアル系をお茶の間レベルに浸透させましたよね。

DAISHI:ロック界の光GENJIさん的な衝撃がありましたもん(笑)。老若男女みんな知ってて、僕らからしたら、「え? 俺が知ってたバンドなのに」っていう変なジェラシーもありましたよ。「わかってないくせに急に“SHAZNAっていいよね”とか言うなよ」って(笑)。

── ははは。こっちは前からアルバム買っててポスターまで貼ってるんだよっていうね。

IZAM:(笑)。

DAISHI:それくらい社会現象になってるのがうらやましかったですけどね。

IZAM:ただ僕らからすると、先輩のLUNA SEAさんとかLa’cryma Christiとか、サイコにしてもそうですけど、ライブに行くとコアなファンが多いのがうらやましかったですよ。僕らのライブはジャニーズさんのファンとかglobeさんやSPEEDさんのファンだったり、コアファンが圧倒的に少なかったですね。男女関係なく観に来てくれるホワイトゾーンのお客さんだったので、僕らに飽きたとしても次があるんですよ。そこは冷静に考えてました。

── 大ヒットしている最中にそんなこと考えてたんですか?

IZAM:自分たちが売れてるわけじゃない。今はブームだけど、いつか終わるってずーっと思いながらやってました。売れてる方が“人気が落ちたらどうしよう”って苦悩するっていう話を聞きましたけど、僕らは落ちて当たり前だと思ってやっていたので、ブームが去っても芸能界で仕事をしていけるスキルを身につけようって。だから、うらやましくて「このコアなファンは10年後も離れないんだろうな」って思ってました。ライブ観ると、お客さんの色味でわかるんですよ。もちろんSHAZNAにもコアなファンはいますけど、サイコが(コアファンの割り合いが)9割なら僕らは2割ぐらい。ずーっとメンバーと「いいよね」って言ってましたよ。

DAISHI:僕らはヒット曲が欲しかったです。

── SHAZNA=「Melty Love」みたいな代表曲が?

DAISHI:そうですね。

IZAM:でも、僕はカラオケに行った時に、歌いたくないのに勝手に曲を入れられてマイク渡されるのがホントにイヤで!(笑)

DAISHI:ははは。どんな交友関係ですか?

IZAM:いろいろな社長さんとか(笑)。

DAISHI:それ僕でさえありますもん。ただ、「Melty Love」ならいいですけど、サイコの曲歌っても聴いてる人はそんなにわからないっていう(笑)。

IZAM:もちろん、良かったなと思うこともありますけどね。例えば去年の年末にハウステンボスで開催された何万人も集まるカウントダウンイベントに出たんですけど(<ハウステンボス COUNTDOWN 2017-2018>)、お客さんを見ると僕らがデビューした頃に生まれてるかどうかぐらい若いんですよ。そんな中、「Melty Love」を演奏すると急に「あ! この曲知ってる!」みたいにワーッて盛り上がって「知ってるんだ?」って。きっと歌番組の1990年代特集とかでリプレイされてるんでしょうね。そういう時には「ヒット曲持ってて良かったな」って。

DAISHI:そうですよ! だってSHAZNAさん観に行って、「今日『Melty Love』やらなかったな」と思ったらちょっと舌打ちしますもん(笑)。

IZAM:ははははは。

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