【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第6回ゲスト:AKi [シド]

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■ASHとリハーサルしたら、全身全霊で
■“やっぱこうだよね、ロックは”と──AKi

──作曲方法について、興味津々ですね(笑)。

ASH:はい(笑)。最初に頭の中で鳴っている音は、日本語ですか? ピアノの音? それとも英語で洋楽的なんですか?

AKi:そういうことで言うと、その都度違う。だけど、最終形がまず見えるんだよね。

ASH:作り始めるときに?

AKi:そう。ライブで、この位置でこうやってやりたい曲なんだろうなって。例えばライブを締めるような曲を作りたいと。それならこんなノリのテンション感の曲になりたいなって、その最終地点をめがけて歩くというか。歩いていってその最終地点に辿り着ければ、思ったとおりだからいいんだけど、たまに違う方向に進んだまま完成形になって。思惑と違うところであっても、それで良ければいい。でも曲を作るときは、その最終形をまず最初に考える。その絵は完成していて、どこから描こうかっていう感じというか。

ASH:絵なんですね。色も最初からハッキリ見えてる感じですか?

AKi:全部。メロディ先行なんだけど、オケも全部できていくというか。人物から描くんじゃなくて、風景も人物も一緒に描き出すみたいな。で、場所はどこなのか、夜なのか昼なのかも決めちゃうみたいな。だからパズルのような作曲ではないんですよ。ピースを作ってハメていく感じではないから。

ASH:すごくアーティスティックな作り方だと思いますね。だからコンポーザーとしていろんな人に楽曲提供もできるんだろうなって。

AKi:提供するときは、この子がライブの最後に歌っているときはこういう感じなのかなと思っていると、勝手に曲ができてくる。


ASH:最近だと、LiSAちゃんにまさに「ASH」という曲(作詞 マオ / 作曲 明希)を提供しましたよね。

AKi:そうだね、まさに“ASH”だよね(笑)。

ASH:LiSAちゃんのライブでその曲を初めて聴いたんですよ。メロディはAKiちゃまだなってすごく思った。特にサビへの展開の仕方が。サビからどんどん上がっていく感じというか、1ステップ振りきって、そこからさらに上がるのか!?っていう。あのメロディがすごく好きでね。“♪こんな〜”っていうね。

AKi:嬉しいな。すごく聴いてくれてる(笑)。

ASH:聴いてますよ。音楽フェチだから、この人はどうやってここを考えたのかな?って、すごく気になるし。

AKi:ASHとはこういう話が尽きないよね。飲んでても飲んでなくても自然とこういう話もするし。ミュージシャン友達ってお酒だけでつながっているのも、それはそれで“飲みニケーション”でいいんだけど、中身がちゃんとある人とじゃないと、自分に返ってくるものもないというか。何かしら音楽に還元できるところがないとダメだなって。

ASH:インプット的なものがね。

AKi:そうそう、会話でインプットすることってあるから。俺にとってのASHがまさにそうで、忘れてしまったような気持ちも思い出させてくれることもよくあって。

ASH:えっ、そうなんですか!?

AKi:そうだよ。つい最近のリハーサルもそうだった。以前は俺、リハーサルでも全力のパフォーマンスとかやってたんだけど、最近は実際の本番まではそこまで全力のパフォーマンスをしないんだよね。でもASHとリハーサルしたら、マイクを思いっきり振り回しながらスタジオでリハするし、全身全霊のリハーサル。“ああ、やっぱこうだよね、ロックは。こういう気持ちは常に持っていなきゃいけない。大事だな”って思い出させてくれた。そうじゃないと周りにも説得力ないというかさ。本気でやってるヤツだからこそ、こっちも本気でサポートしたいっていうのが理想じゃないですか、スタッフとメンバーの関係性とか。

──ASHは全身全霊が日常ですからね。

AKi:そうそう。ライブやリハーサルはもちろん、日頃からの思いとかも全身で表現していかないと伝わらないだろうなって。セッションなんだから楽しけりゃいいってノリになりがちなのに、こんだけ本気でやってるヤツなんだって伝わると、雰囲気も空気も引き締まるし。それにMCの流れまで考えてくれたりとかするんですよ。“AKiは主宰で大変そうだから”ってライブの流れまで考えてくれて、すごく助かっちゃって。いや、すごいなって。それに優しいし。愛を感じましたね。

ASH:いやいや、それ楽しいからなんです。自分の現場でもそう。今日もさっきまでリハだったんですけど、汗だくでやってたし、だいたい脱ぐし(笑)。

AKi:素晴らしいよ、常に本気って。

ASH:いや、高校生の頃から変わってないんですよ。楽器屋裏の倉庫にあるような汚いスタジオに入った初めてのリハーサルのときから、僕はあんまり変わってないんです。音楽がやっぱ好きで、みんなで音で遊んでジャムするのがすごく好きだから。ライブの流れを考えるのも楽しい。常にエンジョイなんですよ。リハーサルでも、ストリートでも。「歌って」と言われたら、道でも歌っちゃうし(笑)。

AKi:そういうのが自然にできちゃうんだろうね。

ASH:ですね。特別にスイッチ入れて切り替えてるわけじゃないし。

AKi:それは素晴らしい。

ASH:いや、ちょっとぶっ壊れてるのかもしれない(笑)。

AKi:かと思えば、知識もすごくあるし。ちょっと質問しても、すぐに答えが返ってくる。常にいろんなアンテナが立っていることが、ASHにとっては普通の状態なんだろうな。俺は逆で、そういうモードにならないとダメ。締め切りとかがないと集中力がグッと出てこない。それがないまま「曲を作って」とか言われると、とりあえず飲んでから考えようって(笑)。

ASH:僕は締め切りとか、「こんな感じにしてください」とか言われると、途端にどうしていいか分からなくなっちゃう。撮影とかも、「笑ってください」とか言われると、“何に対して笑えばいいんだろう”って変に考え込んじゃう。そうすると眉間にシワが寄った表情になっちゃうんです(笑)。

AKi:あっ、そうなんだ(笑)?

ASH:それで、「表情がさっきより硬いですね」とか言われちゃう(笑)。不自然なことに対して敏感なタイプかもしれない。

AKi:こうやって話していて思ったけど、自分にないところがお互いにあるから魅力的に感じるんだろうね。

ASH:そうかもしれないです。ある種、逆というか。

AKi:でも芯は一緒なんだよね、多分。共感や共鳴しあうところもあるし。

ASH:そう。本質的な部分やコアな部分は近しいものがあるから。

AKi:だから俺にとってASH DA HEROという男はなおさら魅力的で。

ASH:僕もAKiちゃま大好き。もし男女だったら、多分、付き合ってると思う。

AKi:なにを言い出すんだ(笑)。

ASH:いや、異性だったらメチャメチャ、AKiちゃまはタイプです。彼氏にするなら絶対、AKiちゃまだな〜、うん。

AKi:俺はもっとバカな子がいいな(笑)。だって俺より頭いいんだもん。

──はい、ASHは告った1秒後にフラれた。

ASH:本当にフラれました(笑)。でも男同士だし、ミュージシャン同士だし、とてもいい関係でいさせてもらってます。

AKi:ASHみたいな人はASHしかいない。オンリーワンな感じが魅力だし。

ASH:嬉しいですね。

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