【ライブレポート】CIVILIAN、苦闘の果てに見えた景色「今、やっと血液が新しく循環している気がしてます」

CIVILIANの全国ツアー＜CIVILIAN ONE MAN Tour”Hello , civilians～全国編～”＞の最終公演が12月21日に恵比寿LIQUIDROOMにて開催された。

◆CIVILIAN 画像

バンドとしては２年半ぶり、メジャーデビュー後としては初のアルバム『eve』を11月22日にリリースしてツアーに臨んだCIVILIAN。ライブの内容も『eve』をメインとし、メジャーデビューから今日までの彼らを総括するようなものとなった。


「2017年12月21日のCIVILIANを始めます。全国ツアーファイナル、いい一日にしようぜ！」というコヤマヒデカズ（Vo,G）の宣言から、ライブは「一般生命論」でスタート。タフなグルーヴで疾走していく。楽曲が終わるごとにコヤマが「ありがとう」と言葉を投げ、オーディエンスからは喝采があがった。

「京王線に乗っているときにこんなことを考えていました」と紹介された「文学少年の憂鬱」、そしてジャジーで踊りだしたくなる「自室内復讐論」、中盤では有田も純市もツアーファイナルらしくマイクをとりファンへの感謝の思いを伝える。その存在感の分厚いサウンド無くしてCIVILIANは成り立たない。




アルバムからの先行シングルである最新曲「赫色」、そして「デッドマンズメランコリア」から「俺たち３人にとってとても大切な曲です」と語られた「生者ノ行進」。「（バンド改名前の）Lyu:Lyuの頃、こんな曲をやってるバンドのことは大嫌いでした。でもこうしてバンドとしていろんなことを経験してわかったのは、彼らも頑張ってたんだということ。わかった以上は答えを返さなきゃと思いました。そして生まれたのがこの曲です」コヤマの振り絞るような歌声にオーディエンスが目一杯のシンガロングで応えた。

コヤマヒデカズ、純市、有田清幸によって2008年に結成されたこのスリーピースバンドは、2016年にCIVILIANという名前に改名しメジャーデビューを果たした。メンバーはオリジナルのままバンド名そのものから変わることを選び、楽曲面でもライブ面でも同じように一つずつ実践的な変化を重ねていったその延長線上に現在の彼らの姿がある。「バンドを始めた時に、周りの人達が口酸っぱく“やめとけ”と言っていたんです。俺たちは当たり前のものなんて何一つないということを解っていなかった」と振り返る彼らが前身バンドであるLyu:Lyu時代になかなか浮かび上がれず、「明けないような長い夜をさまよってるような気分でした」と回想するような日々の中でもがき続け、それでもこの三人のバンドでやり続けるために、彼らはバンドの過去を引き受けながらも、未来へ向けての姿勢を根本から変えなければならなかったのかもしれない。

本編のラストは、そんな彼らの苦闘の先に生まれたCIVILIANメジャー1stアルバム『eve』から、ラストトラック「明日もし晴れたら」。「1stアルバム、どうか末永くよろしくお願い致します」という深々とした挨拶から、開けた空を思わせる衝き上げるような歌声がオーディエンスたちの心を揺り動かした。ライブの終わりに観客席から静かに拍手が沸き起こり、大きく会場を包んだのが印象的だった。

アンコールで「今、やっとCIVILIANとしてのバンドの身体の中に流れてる血液が新しく循環している気がしてます」と語った彼ら。「ディストーテッドアガペー」「暁」のアクトを経て、このツアーファイナルでは特別にダブルアンコールも実施。「俺たち3人が集まって、最初に作り上げた曲を最後にやって終わります」というコヤマのMCから、Lyu:Lyu時代のナンバー「空 -カラ-」が披露され一連のツアーは締めくくられた。

また、この公演ではLyu:Lyu時代から開催していた対バンツアー＜INCIDENT619＞が2018年5月に開催されることも発表された。渋谷CLUB QUATTRO、名古屋ell.FITS ALL、大阪 Banana Hallと東名阪での開催となる。対バン相手などの詳細は、後日オフィシャルサイトにて発表される。

写真：西槇太一