【ライブレポート】LM.Cツアーファイナル「11年目の本気ってヤツをビシッと見せます!」
LM.Cが10月24日に赤坂BLITZにて9月からスタートした〈TOUR 2017「The Never-ending Veda」〉のツアーファイナル「The VEDA -GRAND FINALE-」公演を開催した。LM.C史上、最もロック色が強くエキゾティックな最新アルバム『VEDA』(2016年12月)を引っさげて彼らが全国ツアーを廻るのは春に続いて2回目となる。 アルバムの制作に着手したのが2015年の春ということを考えると約2年半の時間をかけて楽曲たちを進化、熟成させてきたわけで、じっくり作品に向かい合い続けてきたLM.Cらしい。
アルバムのアートワークに使われた曼荼羅がバックドロップとして掲げられたステージには照明に照らされたミラーボールの光がキラキラと赤く反射し、バックに流れているのは「The BUDDHA」のオリエンタルなイントロダクション。ムスクの匂いがしてきそうな空間に大歓声の中、LM.Cは登場した。
mayaが左手を高く掲げ「始めよう」と合図を送ってのオープニングナンバーは“枯れてゆく衝動に火を点けるのさ”と歌うLM.Cの歴史の中でも重要なアッパーチューン「LET ME’ CRAZY!!」。ハンドクラップで盛り上がる中、哀愁を帯びたメロディと疾走感のあるサウンドがクロスする「レインメーカー」が勢いと切迫感を増して響いてきた。
「ツアーファイナルです! 楽しむ準備はできてるか!? 俺たちを楽しませる準備はできてるか!? 最初からぶっ飛ぼうぜ!」_maya
楽しませるではなく「自分たちを楽しませられるのか?」という煽りからしてLM.Cらしく、初期からのライブの定番曲であり、タイトル通りメタリックで痛快な「METALLY」ではAijiのハードエッジなギターが炸裂し、mayaがアドリブで歌詞を変えて“転がせ赤坂”と歌い、間奏ではmayaがペットボトルの水をAijiに手渡し、一口飲んでフロアーに撒くと大歓声。たたみかけるように最新アルバム『VEDA』から“命短し悟りを掴み取れ”とメッセージする「CHAKRA」が投下された。数え切れない拳が突き上げられる景色の中、mayaが黒いタンバリンを叩きながら歌ったのはLM.C王道のポジティブロックチューン「DOUBLE DRAGON」。前半戦ではスピード感のあるライブ運びに惹きつけられたが、2度のツアーを経た彼らはまだまだこんなものじゃなかった。
「遊びましょう! ぶっ飛びましょう! 俺たち的に“このライブ、キテたな。
この瞬間、キテたな“みたいなツアーだったので、今日は名場面の連続にしたくありませんか? 次の次元に行こうぜ! やれるか!? 過去と未来の俺たちに宣戦布告!」_maya
そんなmayaに負けじとHiコールに沸くフロアーにアルバム『VEDA』の中で最も骨太なロックナンバーがたて続けに投下された。Aijiのファンク色の強いギターリフとバトルモード全開のmayaのボーカルの迫力に持っていかれた「Fight Club」、「デカダンに行こうぜ!」と叫んだ毒も華もあるロックンロール「阿修羅」。クラシックなロックの魅力とLM.C流のポップなセンスをかけあわせた「GaMuShaRa」ではAijiがブルージーなギターソロを奏で、mayaがロックスター然としたオーラで見る者を釘付けにする。春のツアーとは比べものにならない説得力で鳴らされるアルバムの楽曲たちに新しいLM.Cの誕生すら見たような気がした。
次の瞬間、ハンパない熱量をクールダウンさせるかのようにステージに薄い幕がかかり、沙幕に映し出された光のマジックが都市の夜を泳ぐイルミネーションのようだった切なくも美しいバラード「Phobia」が披露されるとライブのムードは一変した。Aijiのギターがほろ苦く響く「Kiss me?」で深くロマンティシズム溢れる世界へと引き込まれ、『VEDA』の世界の動と静の世界を思う存分堪能できた中盤のセクションはLM.Cのライブを幾度も彩ってきた名曲「僕らの未来。」で締められ、みんなの歌う声が響きわたった。
しっとりしたムードを打ち破るようにmayaが衣装では必ず着用している愛用のマスコットの“相棒“を衣装につけ忘れていたと場内を沸かせ、MCでは旅の思い出を振り返りながらツアー中に結成11年を迎えたことを報告。mayaに紹介されたAijiが「いいツアー廻れてます。どうもありがとう。11才って年とったね」と言うとmayaがいつものトボけたノリで「マジですか? みんなそうですよ」とオーディエンスを見て返答し、Aijiも「だから平気。みんなも一緒に年取ってるからけっこう心強い」と乗っかると場内、苦笑。この予測不可能、自由な空気もLM.Cならではだ。
「今日が終わったらもう『VEDA』の曲、やらないだろうね」という突然のmayaの発言に動揺する中、「でも、ライブはやろうと思っていて。11年もやってきて告知ヘタなんだけど、来年ツアーやります!」とまた突然の告知に今度は嬉しさでどよめく場内。しかもツアータイトルは決まったばかりなのでフライヤーにも印刷されていないと話し、「タイトルは何と『VEDA AGAIN』」と気を抜いていると本気にしそうな冗談を飛ばした後で、〈LM.C Club Circuit'18 -Spring-〉に決定したことを告げると大歓声。
LM.C初期のツアータイトルが付けられていることに飛び上がるファンもいる中、「懐かしい曲や珍しい曲もやってみようかなと思っているのでよろしくどうぞ。年内、俺たち、国内はライブ納めです!」と早くも後半戦。
「MONROEwalk」では場内が明るくなり、「We are LM.C!!~The Anthem of Strong Pop~」ではタオルが振られ、LM.Cのハッピーなムードが全開。エレクトリックポップな「Avocado」では「踊ろうぜ!」と煽り、「Ah Hah!」ではAijiが下手に移動し、2人が並んだりとアグレッシブなパフォーマンスを展開。自然と笑顔がこぼれる空間が広がった。
「楽しめてる? もう少し一緒にいてくれますか? 今、新曲も作ってます。どんな曲が生まれるんでしょうねって他人事のようにワクワクしてます。LM.C、11年やってきて歌いたいことはとっくにないんですよ(笑)。でも、こうやってツアー廻って思うのは、今、こういう瞬間にまた次のライブやりたいなとか、次に繋がる何かが欲しいなと思った時に曲が生まれて、そこにメッセージが乗っかってくるんだと思うんです」_maya
そんな核心をついた話から、ファンからもらったメッセージのことに移行し、LM.Cの代表曲のひとつ「OH MY JULIET.」にまつわるエピソードも。「今日はやらないんですけどね」と言うとブーイングの声が上がり、「じゃあ、一発はさんどきますか?」とセットリストになかった「OH MY JULIET.」を流れでいきなり演奏するのも、ザッツLM.C。
まさにLIVEな展開にオーディエンスのテンションがいっそう上がるのは言うまでもなく、「CRAZY A GO GO」ではmayaの横でAijiがギターを弾きまくり、コール&レスポンスで大盛り上がり。サポートのリズムセクションも熱い演奏を繰り広げ、定番のライブチューンへと進化していったラップが冴える「MOGURA」ではmayaがAijiの肩に手をかけると、それだけで大歓声。艶やかなダンスチューン「Chameleon Dance」では「ヤなこと全部振り切っていこうぜ!」と叫び、キラーチューン「PUNKY?HEART」は大合唱になった。そしてラストは2度のツアーで完全なる一体感が生まれたナンバー。オリエンタル×ファンクのハイブリッドな新たな代表作「The BUDDHA」で締められた。
グランドファイナルを最高のアクトで盛り上げ、Aijiは「新曲も作ってますし、来年は11年目の本気ってヤツをビシッとかましていきたいと思います。どうもありがとうございました」と挨拶。集まったみんなでピースサインをキメて、2人はハイタッチ。mayaは「これからも泣いて笑って生きましょう。そして、Everything’s gonna be 超最高!」とLM.Cの音楽のど真ん中のメッセージを残してステップを踏みながらステージを後にした。2018年のLM.Cはさらなる飛躍を遂げるに違いない。
取材・文●山本弘子
セットリスト
「The VEDA -GRAND FINALE-」
10月24日 赤坂BLITZ
1.LET ME' CRAZY!!
2.レインメーカー
3.METALLY
4.CHAKRA
5.DOUBLE DRAGON
6.Fight Club
7.阿修羅
8.GaMuShaRa
9.Phobia
10.Kiss me?
11.僕らの未来。
12.MONROEwalk
13.We are LM.C!!~The Anthem of Strong Pop~
14.Avocado
15.Ah Hah!
16.OH MY JULIET.
17.CRAZY A GO GO
18.MOGURA
19.Chameleon Dance
20.PUNKY ❤ HEART
21.The BUDDHA
ライブ・イベント情報
5月12日(土)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3 16:00/16:30
5月13日(日)柏PALOOZA 15:30/16:00
5月19日(土)DUCE SAPPORO 17:30/18:00
5月20日(日)DUCE SAPPORO 15:00/15:30
5月26日(土)岐阜CLUB ROOTS 15:30/16:00
5月27日(日)長野CLUB JUNK BOX 15:30/16:00
6月2日(土)ESAKA MUSE 16:00/16:30
6月3日(日)名古屋Electric Lady Land 15:30/16:00
6月10日(日)白金高輪SELENE b2 15:30/16:00
チケット料金:¥5800(税込)DRINK代別
リリース情報
2016年12月21日 (水)
【通常盤】(CD only)¥3,000+税 / VICL-64937
[収録曲]
1. The BUDDHA
2. GaMuShaRa
3. MONROEwalk
4. Fight Club
5. Avocado
6. 阿修羅
7. CHAKRA
8. Phobia
9. レインメーカー
10. Kiss me?
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