【ライヴレポート】LM.C、誕生日公演<mayaの王様ナイト>で「生まれ変わってもmayaになりたい」

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LM.Cが7月30日、東京・Zepp Shinjukuにてmaya(Vo)の誕生日ライブ<mayaの王様ナイト'24>を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆LM.C 画像

来世に期待ではなく、来世にも期待したいという極めてハッピーな人生観。それをナチュラルに持って生まれたのであろうmayaというヴォーカリストの伝えてくれる歌には、なかば御利益と呼んでもいいくらいのポジティヴな波動が溢れている。


題して<mayaの王様ナイト'24>。このたび7月30日にZepp Shinjukuにて賑々しく行われたのは、LM.Cのヴォーカリストmayaの誕生日記念ライヴだ。元をたどれば最初にこの王様ナイトが開催されたのは2011年で、会場は今や懐かしき渋谷AXだったと記憶しているが…近年はコロナ禍もあり、なんと“5年ぶり5回目”での目出度き生誕セレモニーが実現することに。渋谷O-EASTにて繰り広げられた<mayaの王様ナイト’19>以来と考えると、これはなんとも感慨深い。

そして、王様ナイトと言えば絶対に見逃せないのが開幕シーンで、今年についてはまずギタリストAijiが陣頭を取り仕切る演奏チームにより、エッジーかつワイルドなロックチューン「Be STRONG, Be POP. 」でフロアの熱量が高められたかと思うと、その次に鳴り響き出したのは英国の初代準男爵サー・エドワード・エルガーが作曲したゴージャスな管弦楽行進曲「威風堂々」。本日の主役であり君主であるmayaはベビーピンクの髪に漆黒の王冠を戴き、おもむろに客席内上手側の扉から現われると、神輿の上にしつらえられたデコラティヴな羽根つき玉座に腰掛けたまま、優雅なる面持ちとたたずまいで舞台へお出ましになられたのだった。


「ようこそ、この場所へ!この場所が俺たちの…!」──maya

との言葉をmayaが発し、それを受けて観客たちが曲タイトルをコールしたのは、まさに最初の<王様ナイト>が執り行われる直前=2011年7月27日にシングルリリースされた曲「星の在処。-ホシノアリカ-」。歌詞の中にある“I'll keep on shining in my way Yeah!!”というフレーズどおり、mayaとLM.Cがあれからここに至るまで本当に輝き続けながらずっと活動を続けて来ていることを思うと、この曲はある意味でmayaとLM.Cにとっての大切なマイルストーンになって来たと言えるかもしれない。

むろん、これ以降も今回の<mayaの王様ナイト'24>では新旧にわたる数々のライヴ映え楽曲たちや、王様つながりでアラビアンな世界の王様の物語が描かれている「La Dee Da」なども続々と披露されていくことになり、始動から18年の日々でLM.Cの築き上げてきた豊潤なる世界をたっぷりと楽しむことが出来た。



さらに、ライヴ中盤ではこれまた<mayaの王様ナイト'24>に必須なAijiからのバースデーケーキ贈呈のくだりもあり、ここではファンからのあたたかな「Happy Birthday To You」の歌もmayaをご満悦にさせることになっていたようだ。

「ありがとうございます。あ、そうだ! せっかくだから、ここでサポートメンバーとAijiさんに“mayaの好きなところ”を言ってもらおうかな」──maya

王様ならではの突然のムチャブリに対して、サポートメンバーたちはそれぞれ「筋肉がつきやすいところ」(B / mACKAz)、「不思議なところ」(Dr / 石井裕也)、「誕生日おめでとうのメッセージを一番早くくれるところ」(Key / 野村 慶一郎)と発言してくれていた中、mayaにとっての相棒であるAijiが述べたのは以下の内容となる。

「こないだ、このケーキのために一言コメントくれってスタッフに言われて、“自己肯定感の鬼”って答えたんだよ。やっぱ、mayaの場合は自己肯定感っぷりじゃないっすか? こういう仕事をしてると周りにも自己肯定感が高い人はいるけど、mayaはけっこうトップなんで(笑)。人生の幸福度的にそれってめちゃめちゃ素敵なことだと思いますよ」──Aiji


なんでも、心理学界隈における国際比較調査によると欧米諸国に比べて日本人が突出して低いとされているのは、ほかならぬ自己肯定感なのだとか。謙遜と謙虚を美徳としがちな日本の社会と、自己主張の強さや積極性を重んじることの多い欧米諸国では文化的背景が全く違うというのは確かな事実で、とあるデータによると“自身に対して満足している”という人が欧米では80%台となるのに対し、日本人は40%台にとどまるそう。

「自己肯定か。そういうのってでも、話題になるようになったのは多分わりと最近の話じゃん。なんか、そうやって名前がついちゃうと、どうしても“わたしはあるかも” “わたしはないかも”ってなるよね。なんか厄介だなとは思うけど、ひとつの指針になってるのは事実なのかな。ただ、わたし自身は別に“自己肯定感”ってないんですよ。というよりも、なんだかよくわかんない。だって、自分にとってはこれが当たり前だから。いやほんとに(笑)。人から言われて“あぁ、これって自己肯定感が高い状態なんだ”って認識するみたいな。というわけで、わたしはこれからもこのまま生きていこうと思いますので、みなさまよろしくお願いします!」──maya


この日のライヴでも歌われていた「Ah Hah!」の中にある“自分史上で最悪の瞬間を迎えても “I just wanna be 最幸”って 笑い飛ばせりゃOK”という歌詞は、それこそ自己肯定感ツヨツヨなmayaイズムを非常にわかりやすく感じられる曲となるが、それは何もこの曲に限ったことではない。たとえば、mayaは「The LOVE SONG」では、““そこに愛が在るかどうか” それが全て” “愛を信じる これはラブソング”と歌い切ってもみせる。かつて、ドイツの精神科医F・フロム-ライヒマンが遺した「人は自分を愛せる量だけしか他の人を愛せません。そして、自分を愛せる量だけしか他の人からも愛されません」という言葉にあてはめるならば、mayaは自分を肯定して深く愛しているからこそ、我々に対しても大きな愛を歌としてわたしたちにもたらしてくれるのではなかろうか?

とかく日本では、自己愛の強い人間をナルシストとして茶化したり、はたまた忌避するような場面も見かけられるが、自己愛だけでは完結しないタイプのmayaのような循環型自己愛と自己肯定感の在り方は、むしろ喜ばしく尊いものであると捉えたい。ちなみに、ネパール語で愛を意味する言葉は“maya”だというのだが。偶然にしては少しばかり出来過ぎているものの、自己肯定感の鬼にして愛の権化=mayaとは最強過ぎるではないか。

「今日はmayaの誕生日! 最後にもう1曲一緒にいてください!」──maya

予定されていたセットリストを締めくくる「LET ME’ CRAZY!!」を演奏し終えたあと、mayaが王様権限での独断で追加したのは「星の在処。-ホシノアリカ-」で、実はこの曲を彼が選んだ理由にも愛が関係していた。というのも、ライヴ冒頭で同曲を歌っていた時にmayaは、「最前列の両端にいる観客たちからだとステージが観にくいのでは?」と察知したらしく、これも王様発令として「もっとセンターに寄って観ていいよ」との心遣いをしてくれていたのだ。つまり、この追加分ではあらためて全員からしっかりと見えるかたちでのパフォーマンスを完遂したかったものと思われる。このmayaからの愛に応えるかのごとく、客席フロアから大きなシンガロングが響きだした光景も愛に満ち溢れていたのは言うまでもない。愛の連鎖反応ここに極まれり。


なお、オープニングと同様に「威風堂々」をBGMにしながら玉座に就いたmayaが華麗に舞台を去っていくと、その直後にLEDパネルへと映し出されたのは彼の直筆による「生まれ変わってもmayaになりたい」という言葉。この夜、歌舞伎町の中にあるどの空間よりも壮大なバースデーパーティを開催した王様は、来世にも期待したいというほどの極めてハッピーなその人生観をもって、これからもLM.C牽引していってくれるはずだ。11月からはAijiのバースデーライヴ(11月17日 / 横浜1000 CLUB公演)を含む秋ツアーも決定しているだけに、みなさまにはぜひmayaの発するポジティヴな波動と歌、その御利益にあやかっていただきたい。

取材・文◎Yuki Sugie

■秋のツアー<LM.C TOUR 2024>

※Aijiバースデー11月17日当日を含むツアー
11月07日(木) 名古屋 Electric Lady Land
open17:30 / start18:00
11月08日(金) 大阪 ESAKA MUSE
open17:30 / start18:00
11月14日(木) 柏 PALOOZA
open17:30 / start18:00
11月17日(日) 横浜 1000 CLUB
open16:00 / start16:30
11月21日(木) 埼玉 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心
open17:30 / start18:00
11月29日(金) 長野 CLUB JUNK BOX
open17:30 / start18:00

■<DEZERT PARTY Vol.16>

11月2日(土) 恵比寿LIQUIDROOM
https://www.dezert.jp/news/detail/30883

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