【ライヴレポート】LM.C「今はまた凄く青春したいんだよね。切っ掛けは2020年以降だよ」

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春は始まりの季節であり、なにかと心弾む季節でもある。まだ2月前半だというのに、既に陽春を迎えたかのようにあたたかで優しい風が東京に吹いたこの日。渋谷・Veatsにて行われたのは、満を持していよいよ始まった<LM.C Club Circuit '24 -Spring->の初日公演だ。

「今日からツアーが始まりました!わたしはこの日を楽しみに生きてきましたが、みなさんの方はいかがでしょう?ほんともう、思いっきり行っちゃいましょうね。みんなのことを置いてくつもりはないけど、結果置いてっちゃうかも(笑)。そのくらい凄く嬉しいんだ。一緒に楽しんでいきましょう」──maya

このClub Circuitのためにあつらえられたのであろう、シックでいてモダンな新衣装をまとったLM.Cが冒頭から躍動してみせた今回のライヴでは、新旧のライヴ映えする楽曲たちがあれこれとセトリにエントリーされているところが大きなポイント。なお、具体的な曲順内容がどうなっているかは是非とも彼らがここから行脚していく各地にて、皆様自身の耳と眼で是非ともご確認をいただきたい。



というのも、今回の<LM.C Club Circuit '24 -Spring->は約2ヶ月半をかけて行われるものであると同時に、3月上旬には5年ぶりの台北(台湾)公演が組み込まれているほか、佐賀・長崎・松阪・出雲の4ヵ所に至ってはLM.Cが初めて上陸することになっているそうで、コロナ禍以降ここまで細かくまわるツアーは実質的に初となる。ということは、普段なかなか大都市のライヴ会場まで足を運べないという各地方の方々も、今回はLM.Cのライヴ空間をいつもより身近に感じていただけるのではなかろうか。

ちなみに、わざわざ“Club Circuit”と題されているだけあって、今回のライヴにおいては機動性の部分が重視されているらしく、敢えてVJを使った映像演出などはナシ。あくまでも、ライヴそのものでLM.Cの持つ魅力を伝えていくという潔いスタンスと、彼らの貫録あるパフォーマンスぶりをここは存分に味わっていただきたい。

特に、不意打ちなかたちで土地名などその日ならではのキーワードを歌詞にさらりと織り込んでくるヴォーカリスト・mayaの遊び心や、華のあるステージングをみせながらも的確なプレイでサウンドを牽引していくギタリスト・Aijiの鮮やかな手腕といったものは、生のライヴでしか堪能できないスペシャリティだと断言できる。



もちろん、サブスクで好きな曲を聴いたり、YouTubeで動画を観たりするのも音楽の楽しみ方ではあるが、アーティスト本人たちが目の前にいる中、体感できるほどの大音量を浴び、場合によっては場内が一体化しながらシンガロングしたり、好きなように踊り倒したり、ということが自由にできるのはどう考えてもライヴ空間だけだ。だとするならぱ、その好機を逃す手はないだろう。

「ここからのツアー、楽しみだな。旅先でメンバーと呑みに行っちゃったり、ボーリング行ったりしたい(笑)。そういうのって幸せだよね。(中略)そうやって、後で思い出した時にも「楽しかったな」って思えるような青春をさ。そう、我々はもう一回その青春っていうのをやっていくべきだと思うわけ」──maya

この<LM.C Club Circuit '24 -Spring->の初日において、本編が佳境を迎えようかという頃にmayaが突如として口にした“青春”という言葉。これはともすれば、ここからの彼らにとって大きな意味を持っていくことになる可能性がありそうだ。

「ある時まで自分はよく青春っていう言葉を言ってたけど、武道館でやったあたりくらいから明確に言わなくなったんだよね。チュッパチャップスもやめて、ピアスも外してさ。多分、ちょっとカッコつけてたのかもしれないな。だけど、今はまた凄く青春したいんだよね。切っ掛けは2020年以降だよ」──maya

要するに、mayaはコロナ禍での体験を通じて意識が変わったということらしい。確かに、そのことがなければあのシュールにして斬新な最新アルバム『怪物園』もできてはいなかったわけで、災いから生まれたものがあるというのはなかなか皮肉なもの。

「いやー、そう思うと危なかった。あのまま何もなかったら今年が結成18年でしょ。そこからなんとなく20周年を迎えてたかもしれない。だけど、あの4年間があったから今はまた青春したい!って思えてます。大丈夫、まだできるよ。よし、今回のクラブサーキットでは青春が大事ってことをみんなにあらめて本気で伝えていこう。だって、もっと光を浴びたいし、輝きたいじゃん。みんなで青春しようぜ」──maya



この青春宣言がmaya自身に火を着けたのか、実は今宵のライヴでは当初ラストソングとしてセトリに記されていた楽曲が演奏されたあと、mayaはいきなり思いついたようにこう言ってのけることに。

「うん、まだちょっと終わりたくないな。何かみんな聴きたい曲ある?」──maya

当然、ここで場内からはさまざまな曲名が飛び交うことになったのだが…

「明日はバレンタインデーだから「The LOVE SONG」やって!」

というひとりの観客の声をピックアップしたmayaは、トップダウンでAijiや楽器サポート陣と意思疎通をはかり即座に対応してみせたのである。

「悪くないね。よし、今日は初日だしもう1曲やっちゃいましょう。最後に愛しあおうか。ハッピーバレンタイン!」──maya

予定外で聴けた、バレンタインイヴの「The LOVE SONG」が最高にスウィートだったのは言うまでもない。LM.Cが繰り広げるライヴの醍醐味は、こうした「その日が終わるまで何が起こるかわからない」ところにもあるのだ。

なお、古代中国における陰陽五行思想で春を表わすのは青色であり、どうやら青春という言葉はそれに由来するという節もあるのだとか。<LM.C Club Circuit '24 -Spring->から始まってゆくLM.Cの春=“青春”を、ここから我々は彼らとともに目一杯味わっていこうではないか。ビバ青春。

Text:Yuki Sugie
Live Photo:Mirai Yamashita(Progress-M)

<LM.C Club Circuit '24 -Spring->

2月13日(火)渋谷 Veats SHIBUYA 18:00 / 18:30
2月16日(金)埼玉 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3 18:00 / 18:30
2月25日(日)札幌SPiCE 16:00 / 16:30
2月26日(月)札幌SPiCE 18:00 / 18:30
3月2日(土)台北 THE WALL LIVE HOUSE / 5年振り台湾!!
3月3日(日)台北 THE WALL LIVE HOUSE / 5年振り台湾!!
3月8日(金)川崎 Serbian Night 18:00 / 18:30
3月14日(木)柏 PALOOZA 18:00 / 18:30
3月17日(日)仙台 MACANA 16:30 / 17:00
3月30日(土)佐賀 GEILS →初上陸! 16:00 / 16:30
3月31日(日)長崎 DRUM Be-7 →初上陸! 15:30 / 16:00
4月6日(土)松阪 M'AXA →初上陸! 16:00 / 16:30
4月7日(日)名古屋 Electric Lady Land 16:00 / 16:30
4月13日(土)出雲 アポロ →初上陸! 14:30 / 15:00
4月14日(日)大阪 ESAKA MUSE 16:00 / 16:30
4月25日(木)恵比寿 LIQUID ROOM 18:00 / 18:30
チケット:https://eplus.jp/lmc2024/

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