【インタビュー】ココロオークション、「曲に置いて行かれないよう、魂を磨いていきたい」

■ ライブハウスシーンだけに留まる音楽じゃない

▲ミニアルバム『CINEMA』

テンメイ：僕はバンドを始めたのが4年前なんで、ちょっと遅い方なんですけど、それまではアコースティックギターと、フラットマンドリンをずっとやってたんですよ。父親がやっていたのもあって。

──じゃあ、「地球の歩き方」のブルーグラス的なところはまさにルーツだったと。

テンメイ：そうですね。昔はソロで音楽を作ったり、演奏をしたりしてたんですけど、バンドを始めるキッカケになったのは曽我部恵一BANDです。元々CDでは聴いていたんですけど、ライブが衝撃的すぎて、そこで初めてエレキギターを持ったので。他にも音楽はいろいろ聴いてましたけど、一番好きなのはRadioheadです。ポップで泥臭い初期の頃が好きで。

井川：僕は、元々親が音楽をやってたり、好きだったのもあって、YAMAHAの音楽教室に通っていたんですよ。その流れでドラムを始めたんですけど、課題曲でThe BeatlesとかAerosmithとかQueenとかをやってて。で、中学のときに吹奏楽部に入ったんですけど、本当は打楽器やりたかったんですよ。でも、最初に試験があって、打楽器落ちたんですよ（苦笑）。

粟子：適正テストでね。

井川：で、トランペットやってたんです。ティッシュを上にフー！って吹くテストがすごかったみたいで（笑）。高校でも吹奏楽部に入ったんですけど、経験してたのもあってトランペットをやることになって。でも、友達とバンドをやることになって、そこでドラムを叩いてたんですけど、それこそTHE BLUE HEARTSとかモンパチとかをコピーしてたんで、バンドのルーツとなるとそこになるのかな。そこから大学に入って（メンバーの）みんなと出会うんですけど、その頃に知ったフュージョンが、ドラムに対して考えるキッカケを与えてくれたっていう意味で好きですね。カシオペアとかT-SQUAREとか。

──大学で出会ったというお話がありましたが、ココロオークションを結成したときはどういう音楽をやろうと思ったんですか？

大野：まったく決めてなかったですね。

粟子：かっこよくて、グッとくるものを作りたい、いい音楽を作りたいなっていうのはありました。そんなときによく聴いてたのが、BUMPやスピッツやくるりだったんで、その辺りのエッセンスが、そのときはやりたかったことなのかな。

──そこから歩み始め、今回の『CINEMA』では制作や意識の変化があったことで、ここがひとつの分岐点になりそうな印象もあったんですが、これからどんな歌を歌っていきたいですか？

粟子：意識が変わった後にポップスを聴いて、やっぱりすごいんだなって改めて思ったんですよ。マイケル・ジャクソンとか槇原敬之さんとか、ものすごく胸に響くなと思って。僕らもそういう音楽を作っていきたいし、ここからもっと範囲を広げていって、たくさんの方に響くもの、全年齢対象の曲を作っていきたいですね。

──全年齢対象の曲をというのは、昔から意識していたことでもあるんですか？

粟子：意識はしてなかったですけど、心のどこかに、僕らの音楽はきっと全年齢に愛されるはずだっていう気持ちはありましたね。今はライブハウスシーンでやってはいますけど、このシーンだけに留まる音楽じゃないよっていうのは、結成のときからずっと思ってます。

大野：そうやね。僕らはライブハウスシーンに育ててもらったバンドなので、すべてライブ基準で考えていた時期が長かったんですけど、『CINEMA』を作る過程で、そこから一歩抜け出せたというか。音楽というものを広く考えられるようになったからこそラブソングが必要やと思ったし、歌い継がれるポップスがすごいと思ったのもそういうことやと思うんですけど。だから、僕らもそういう存在になりたいですね。なんかこう……星野源さんみたいな立ち位置というか。シーンに縛られていない感じがするんだけど、でも人々に必要とされていて、それこそ曲に耐久力があるし、どこで歌っても素晴らしいミュージシャンだと思うので。ああいう形が理想やなって思いますね。

テンメイ：僕は、今回はひとつひとつの曲が力を持っているので、これからライブで演奏していく身として、器が成長していかなきゃダメだなって思ってるんです。僕らの容量的なものをもっと増やしていきたいです。

井川：うん、僕も『CINEMA』を作ってから、人としての大きさというか、その曲を表現するためには技術だけじゃなくて、もっと別の何かがいるんやろうなっていうのをぼんやりと感じていて。そこを磨いていきたいなって思いますね。そうすれば、音楽家としてのレベルがあがるんじゃないかなって。

大野：自分磨き……OLさんみたいやな（笑）。

粟子：まぁ、人間力やな。やっぱり、ずっと愛され続けるエバーグリーンな音楽を作りたいですし、2人も言っていた通り、自分を磨き続けるというか、心を大きくしていきたいですね。世の中の真理といいますか、名曲というものにはそういうことが歌われていると思っているので、曲に置いて行かれないように、自分の魂を磨いていきたいと思ってます。

取材・文◎山口哲生

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