【座談会】<D’ER≠gari 2016 feat. DEZERT>、ヴォーカリストが語る「爪痕を残しにいく」

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D’ERLANGER、cali≠gari、DEZERTの3バンドが、2016年11月26日の大阪STUDIO PARTITA公演を皮切りに東名阪ツアー<D’ER≠gari 2016 feat. DEZERT>を開催する。タイトルが示すとおり同ツアーはD’ERLANGERとcali≠gariにDEZERTを加え、世代を超えた意外性も充分なメンツで行われるものだ。

◆<D’ER≠gari 2016 feat. DEZERT> 画像

BARKSでは先ごろ、同イベントの首謀者であるD’ERLANGERのTetsu、cali≠gariの桜井青、DEZERTのSaZを迎えた座談会の模様を公開したが、続いて、D’ERLANGERのkyo、cali≠gariの石井秀仁、DEZERTの千秋によるヴォーカリスト座談会をお届けしたい。互いのステージへのリクエストも飛び出した白熱のトークセッションは、ヴォーカリスト同士ならではの強い個性が鮮明に浮かび上がるものとなった。

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■今思うといろんなことが繋がるんですけど
■あんまり初対面な感じはなかった──kyo [D’ERLANGER]

──まずはそれぞれの出会いのお話を伺っていきたいと思います。kyoさんと石井さんとの出会いはいつ頃ですか?

kyo:初めて会ったのはZepp Osakaでのイベントじゃないかな。

石井:Zepp Osakaでしたっけ? cali≠gariのイベントですよね。

kyo:そうそう。MUCCもいて。

▲kyo [D’ERLANGER]

──2012年の<大阪地下室 –地下二階–>公演ですね。

kyo:会ったのはその時なんだけど、僕は『FOOL’S MATE』(※音楽雑誌/現在休刊)にcali≠gariがよく載ってるイメージがあって、それをよく見ていて。今思うといろんなことが繋がるんですけど、GOATBEDも秀仁くん?

石井:そうですそうです。

kyo:そういうのもイメージで知っていて。なので、cali≠gariの音に触れたのは大阪が初めてだったんですけど、あんまり初対面な感じはなかったかな。

──石井さんはいかがですか?

石井:kyoさんは中学一年生の時に『ロッキンf』(※音楽雑誌)を見て。

kyo:やっぱり雑誌だね(笑)。

石井:『ロッキンf』を開いたら、kyoさんとピーター・マーフィーが対談していて。それがkyoさんのこともピーター・マーフィーのことも知った最初だったんですよ。それが出会いですね(笑)。その時の『ロッキンf』がポジパン特集みたいな内容で。その一回でいろいろな情報を子供が得られるような、それぐらいの情報量だったんですね。それを買いまして、そこから突き進みました。

kyo:ゴルチエ(※ファッションブランド)とか着てる頃ですね(笑)。

──D’ERLANGERとDEZERTとの出会いは、<COMMUNE>(※MUCCのミヤ発案でスタートしたライヴイベント)だったと伺いました。

千秋:そうですね。kyoさんよりもTetsuさんと……新幹線で会ってしまい。その時、体調悪くてバンド内で僕だけが新幹線移動だったんですよ(笑)。まさかなと思いながら喫煙ルームに行ったら、俺一人とD’ERLANGER二人みたいな感じで、“……終わったわ”と。

kyo:なんで終わるの(笑)?

千秋:ははは。“とりあえずどうしよう”と(笑)。“バレてないけどご挨拶しないと”と思って、「ありがとうございました!」って逃げるように去ったら、席が二つ後ろぐらいで。それからはずっと寝れなかったです。“やべえ。俺、なんでグリーン車にしたんだろう”って。ほんと偶然だったんですよ!

kyo:別にヤバくないじゃん(笑)。

千秋:俺一人で、別に売れてもないのに、すげえやだなあって。

kyo:俺のDEZERTの印象は、最近はイベントの様子が即出しでネットニュースとかで出るじゃないですか。その時の千秋の写真がすごくかっこよくて。DEZERTのライヴのイメージと、その写真のイメージがすごく一致したんです。アヴァンギャルドな、そういう印象がありましたね。

──その時のライヴのイメージとはどういうものだったんでしょうか?

kyo:いい意味でむちゃくちゃだと思いました。でもそれってすごく実は褒め言葉で。そんなに知らないんだけど、今の若いシーンって、なんとなく形になるための入口が広い気がするんだけど、DEZERTはあえて狭いところを開けていってるなっていう感じがしたんですよね。その異端な感じが面白い。「包丁の使い方」っていう曲のタイトルがすげえ印象に残ってる。

千秋:ありがとうございます。

──千秋さんはそのイベントでD’ERLANGERのライヴを見ていかがでしたか?

千秋:初めてに近いぐらい、現場のスタッフの方がピリピリしてたんですよ、リハの時。すげえピリピリしてると思って……悪口じゃないですよ!全然。

kyo:ハハハハハハ!

千秋:それで、“なるほどなあ……よし、距離を取ろう”と(笑)。

kyo:なんでだよ(笑)!

千秋:<COMMUNE>の前に逹瑯さん(MUCC)と対談取材をしたんですけど、その時に俺、スタッフの手違いで遅刻して行ったんですよ。そうしたら達郎さんにやっぱり指摘されて。あ、やべえと。で、「次の<COMMUNE>で千秋、お前一回しばかれるから」って。

石井:フフフフフフ。

千秋:しばかれると言っても殴るとかじゃなくて。“ちゃんと礼儀というものを知れ”ということだと思うんですけどね。で、うちのドラムがD’ERLANGERのことが大好きで、いろいろ話を聞いてて。“やっぱ俺ら、イベントであんまりちゃんとしてなかったよな”と。当たり前なんですけど、D’ERLANGERはちゃんとリハもやってて、すげえなと……そういう距離の取り方です。それで、リハを舞台袖でずっと見てました。なんか“シビア”っていうイメージでしたね、全部に対して。だから新幹線で死ぬかと思ったんです。距離置いてたのに一番近くなっちゃった!って(笑)。

──なるほど。そういう流れだったんですね。石井さんはkyoさんを雑誌で見て、その後のD’ERLANGERとの接点は?

石井:実はkyoさんと初めてお会いしたのはcali≠gariじゃないんですよ。ずっと昔、すっごい変なバンドをやってる時に、EBYさん(※ex.ZI:KILL)にサポートしてもらった時期があって。それで、kyoさんがゲストで出るテレビ番組にEBYさんも出るっていうことがあって、収録を見に行ったんです。その時にEBYさんからkyoさんを紹介していただいたんですけど、「初めまして」ってだけで、kyoさんを見たっていうだけでしたけど(笑)。

kyo:そんなことがあったんだ!

石井:そうなんですよ。20年以上前ですかね。D’ERLANGERっていったら、その時はもう強烈に怖いバンドでしたけど、kyoさんだけはすごく優しい人だって言われてたんですよ。

kyo:アハハハハハ。

石井:kyoさんだけはすごくいい人だって。TetsuさんとCIPHERさんは本当にヤバいけどって(笑)。20数年前って、本当にそういう時期じゃないですか。

kyo:若い頃だからね。噂っていうのは一人歩きするから(笑)。

石井:今となってはたぶん、尾ひれはひれの部分もあると思うんですけど、当時は二十歳そこそこだったから、やっぱり怖いですよね。関わる機会もなかったんで。

(いつの間にか座談会を聞いていた)Tetsu:最近やっと「秀仁」って呼べるようになったけど、やっぱり「秀仁さん」に戻そう……(笑)。

石井:ははは。いまだに大先輩なんで(笑)。さっき千秋くんも言ってましたけど、俺も距離を置くというか(笑)。

kyo:俺は近づいていきますよ(笑)。

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