音楽投稿アプリnanaに「いい音」でアップしたい! 第3回 エレキギター編
ボーカルや楽器演奏を録音&シェア、コラボまでカンタンにできるアプリ「nana」(ナナ)。手軽に録音&投稿できるのはいいんだけど、もっと「いい音」で録音する方法はないかな? そんな疑問に答える特集の第3回。
第1回のボーカル、第2回のアコースティックギター(アコギ)に続き、今回はエレキギターの録音方法をチェックする。なお、nanaアプリはiOS版とAndroid版があり仕様が異なるが、本特集ではiOS版を使用している。
■エレキギターをシールドケーブルで直結!
iPhoneをギターアンプの前に置いて、エレキギターの音を録音しようとしたことがある人いるかもしれない。でもiPhoneの内蔵マイクでアンプサウンドの「いい音」を捉えるのはかなり難しい。「音がこもっている」「気に入った音が出るまでアンプの音量を上げると音が割れてしまう」「遠くで鳴っているように聴こえる」「余計な雑音が入る」……。
「エレキギターのシールドケーブルをiPhoneに直結できればいいのに!」
そう思うのはもっともなこと。それをかなえてくれるのがオーディオインターフェイスと呼ばれる周辺機器だ。オーディオインターフェイスには、マイクだけでなくギターも直接つなげる製品も存在する。この特集を第1回から読んでいる人ならもうおなじみだろう。というわけで今回もティアックのTASCAMブランドから発売されている「iXZ」という製品を使用する。
「iXZ」は手のひらサイズのiOSデバイス用オーディオインターフェイス。マイク、ギターのほかキーボードなどの楽器にも対応する。価格は5,000~6,000円とリーズナブル。音楽をやりたい人なら要チェックの製品だ。
▲TASCAMのiOSデバイス用マイク/ギターインターフェイス「iXZ」。iPhoneのマイク/イヤホン端子に接続、「iXZ」の入力端子にシールドケーブルでギターをつなげば即録音できるようになる。iOSとの接続ケーブルは直付け、コネクタは4極ミニプラグだ。
▲前面にはマイク&ギター/ライン入力用コンボジャックと入力切り替えのMODEスイッチ、ファンタム電源用スイッチ、INPUTボリュームを用意。裏側にはヘッドホン/ライン出力端子がある(ステレオミニジャック)。iXZ接続時はiPhoneの内蔵スピーカーは無効となるので、ヘッドホンかアンプ内蔵スピーカーをつないで音を聴くことになる(今回はマイクを使わないので、スピーカーでもOK)。底面にはマイク使用時のための電池ボックスがあるが今回は使用しない。
接続はいたってカンタン。「iXZ」をiPhoneのイヤホン/マイク端子に接続、MODEスイッチをギターに切り替え、エレキギターのシールドケーブルを「iXZ」の入力端子につっこむだけ。マイク使用時とは異なり、電池を入れる必要もない。なお、「iXZ」のINPUTボリュームはマイクプリアンプ用で、ギター入力時では使われない。必要なら入力前の段階で音量調整することになる。
■ギター・アンプ&エフェクトアプリを試してみよう
ギターが接続できれば、iPhoneの用途は大きく広がる。iPhoneをギターアンプ、エフェクターに変身させるアプリが数多くリリースされているので、まずはそれを試してみてほしい。iPhone+「iXZ」。こんな小さなシステムでこんな多彩なギターサウンドが楽しめるのかと驚くこと間違いなしだ。
▲App Storeには、などさまざまなアンプ&エフェクトアプリがラインナップされる。アンプ、エフェクトの数を制限した無料版が用意されるものもあるので、まずはそちらでサウンドをチェックしてみよう。画面は左からAmpliTube、JamUp Pro、ToneStack、AmpKit。
ただし非常に残念なことに、これらアプリの魅力的なアンプサウンドをnanaアプリで録音することはできない。
iOSにはアプリ同士でオーディオ信号をやりとりするための「Inter-App Audio」という仕組みがある。これを利用することで、たとえばアンプ&エフェクトアプリ「JamUp」で作った音を、アップルの音楽制作アプリ「GarageBand」で録音するといったことが可能だ。しかし、nanaはこのInter-App Audioに対応していないので、ほかのアプリとの連携はできないのだ。うーん残念。
というところで気を取り直して、外部入力された音をそのままnanaで録音してみよう。アンプ&エフェクトアプリは練習用に活用することにして、nanaへの録音では音作りは入力の段階でなんとかすることにしよう。
■お気に入りのエフェクターで音作り
▲エレキギターをシールドケーブルで「iXZ」に直結。モニタリングは「iXZ」につないだヘッドホンで行う。とりあえず、これで録音はできるけど……。
まずはエレキギターを「iXZ」経由でiPhoneにつないで、nanaアプリで録音してみよう。そこで聴けるのは、ペナペナで味も素っ気もない、素(す)のエレキギターの音だ。「歪んでないギターはギターじゃない!」なんて人でなくとも、この音に満足できる人はいないはず。普段使用しているギターアンプやエフェクターを使わずに録音しているのだから当然だ。
▲エレキギターをアンプシミュレーター経由で「iXZ」に接続(右)。音作りは「iXZ」に入力する前の段階で行う。ギターアンプにマイクを立てて収録するには、角度を自由に変えられるブームマイクスタンドがほしいところ(右)。
というわけで解決策は単純。ハードウェアのお気に入りエフェクター、アンプシミュレーターなどで音作りをしてから「iXZ」につっこめばいい。ギタリストならマルチエフェクターの1台くらいは持っているはず。それを使うのだ。セッティングは機材間をケーブルをつなぐだけ。マイク収録と違って、角度や距離などを気にする必要はない。
もちろん、ギターアンプの音をマイクで収録してもいい。プロのレコーディングと同じ昔ながらの基本的な手法だ。「iXZ」でマイク収録ができるのは前回取り上げたとおり。自宅で大きな音を出すのはむずかしい、セッティングの難易度は上がるといった問題はあるが、チャレンジしがいはある。
また、最近のギターアンプにはレコーディング用の出力端子を持つものもある。単にプリアンプを通った音ではなく、キャビネットまでのシミュレートを付加したサウンドを出力するので、マイク収録に近い音が得られる。アンプを選ぶ際はこうした点もチェックしておきたい。
ここまで読んで、リハーサルスタジオにあるアンプでいろいろ試してみたいと思った人もいるかもしれないが、ここでひとつ注意を。スタックタイプのアンプ(アンプヘッドとキャビネットが別々に分かれたタイプ)は、アンプヘッド単体で、キャビネットにつながずに使用すると故障につながる。知らずに試して人に迷惑をかけては目も当てられない。せっかく大きな音を出せる場所ならマイク収録にチャレンジしてみたい。リハスタにはマイクも用意されているので、持っていくのはギターと「iXZ」だけでOKだ。
最後はちょっとややこしい話になってしまったが、実際のところやるべきことは単純だ。「iXZ」ならギター直結はもちろん、エフェクターなどもそのまま接続可能。手持ちの機材をiPhoneを使ったnanaの録音にカンタンに生かせる。これはエレキギターだけでなく、エレキベースも基本は同じだ。マイク収録のように余計な雑音が入る心配もない。
「他のユーザーの投稿にコラボでギターを重ねる」「一から伴奏を作る」「ギターインストを録音する」……。どのシチュエーションでも、nanaに「いい音」でアップするのに「iXZ」が強い味方となってくれる。まずは手持ち機材+「iXZ」でギター録音環境を整えることからスタートしてみよう。
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