武藤彩未、活動休止前ラストライブで「ここからが私のスタート」

武藤彩未が12月23日、東京・赤坂BLITZにて＜X’mas Special LIVE 「A.Y.M.X.」＞を開催した。16日に芸能活動一旦休止を発表した武藤にとって、この日は休止前最後のライブとなる。ソロ活動1年8ヶ月の集大成ともいうべき全21曲を、ロックからバラードまで多彩かつ表現豊かに歌い上げた。その姿は“ボーカリスト”と称するに相応しく、改めて歌唱力の高さを感じさせる一夜となった。最後に武藤は「お別れではないです。夢は武道館です」と力強く誓った。

◆武藤彩未 画像

超満員の会場は熱気に満ちていた。ステージは武藤の笑顔を象徴する様にミラーボールや星のオブジェが煌びやかに舞い、クリスマスムードを演出。開演前はこの日のために用意されたラジオプログラムが流れ、ソロアイドル、アーティストとしていつも武藤が聴いている曲が流れる。なかには可憐Girl’s「Over The Future」もあった。


「最初から飛ばしますよ」とのナレーションの後に、SEが鳴り響いた。バンドメンバーに続いて、白と赤を貴重とした衣装の武藤が登場。大歓声を浴び、「ミラクリエイション」でステージの幕が上がった。伸びやかな歌声で会場を“彩未ワールド”に変えていくようなパフォーマンスに、ファンも1曲目からこの瞬間を逃すまいと声を張り、目に焼き付けた。

「Doki Doki」や「Seventeen」、「女神のサジェスチョン」では1980年代と現代アイドルのハイブリッドともいえる武藤の魅力が全面に。そして「私からのクリスマスプレゼント」と語って披露したのは、敬愛する松田聖子の「Pearl-White Eve」だ。アコースティックギターとエレクトリックピアノの音色に絡む武藤の歌声はしっとりと優しく、粉雪が舞っているかのような空間にファンは酔いしれた。

中盤のバラードセクションでは表現力豊かに低音から高音までを伸びやかに歌い上げ、後半では一転、ロックの重要な要素でもある危機迫る勢いをもって、ハードな歌の世界観を表現。生バンドのグルーヴに乗って、アイドルらしからぬロックアーティストに迫るステージングをみせた。バラードからロックまでこなすこの振り幅と歌唱力、そして内側に宿る情熱を体現させたパフォーマンス力は圧巻だった。

そんな魅力に包まれた夜も終盤へ。武藤は目の前のファンに活動休止の真意を直接伝えた。

「アーティストとして勝負できるアイドルになりたい。お別れではないです。私の夢は武道館。皆とそこに行けるように。価値ある時間にしたい」──武藤彩未

ファンの温かい声援に涙ぐんだ武藤。本編最後は「永遠と瞬間」を全力で歌った。


彩未コールに応えて真っ白なドレス姿で再登場した武藤はアンコール1曲目に「明日の風」を披露した。アコースティックギターの優しい音色と透き通る歌声が響く。また、「彩りの夏」ではファンからのサプライズが。場内がサイリウムの白光に包まれたのだ。この光景に感極まって歌えなくなった武藤に代わってファンが大合唱するという場面も。「こんなの聴いてない、泣かないでここまでこれたのに」と言いつつもファンの優しさに笑顔。キュートな一面ものぞかせた。

「皆さん大好き」と別れを告げた後も彩未コールは鳴りやまなかった。そんな熱気に導かれてスタートしたダブルアンコールは、「今の私にピッタリな曲です。皆と笑顔で明るく終わりたい」と語って「OWARI WA HAJIMARI」を熱唱。持てるすべてを出し切り「また会おうね！」と再会を誓い、笑顔で幕を下ろした。

ソロ活動1年8カ月は歌と対峙してきた歴史だった。時にロックと、時にバラードと向き合った。幅の広い楽曲もこなす対応力はアイドルの枠を超えてボーカリストの域に達していた。そして、それらは生バンドによってさらに磨かれたようだ。そんな彼女の歌唱力を証明する出来事がこの日あった。MCでファンが「これからロックの方に向かうの？」と質問。武藤は「それはありません。アイドルだけどいろんなものに挑戦したかった。アイドルを極めるために敢えてロックやアコースティックをやっています」と答えた。疾走するように駆け抜けたこの期間を敢えて言うならば、武藤彩未としての第一章である。そして、何度も口にしてきた「夢は武道館」をこのステージでもはっきりと語った。物語はまだまだ続くのである。活動休止期間中の経験は彼女の表現力をさらに豊かにするはずだ。そして、彼女はMCでこうも語っていた。

「今（本物の）歌手になりたいという気持ちが強い。ここからが私のスタート」──武藤彩未

アイドル、そしてボーカルへの飽くなき探求心は衰えを知らない。彼女の第二章はすでに始まっているようだ。



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