シンガポールで初めて受けたアンコール。アイドル研究生たちの<AFASG 2015>
Stand-Up Hearts performed at "AFASG 2015"
Stand-Up! Hearts, a Japanese idol group, performed at the 3 day event "Anime Festival Asia 2015 in Singapore" that started from the 27th of November.
They performed a cover of "Knee High Egoist" for the first time on stage, and was greeted with a lively crowd as if it were Japan.
On the final day, there were shouts of encore from the audience and Stand-Up! Hearts obliged while crying happy tears. This was because they hadn't held a concert that was solely them performing, and this was their first experience of an encore.
Note: On Dec 1st, Stand-Up Hearts changed their group name to "Iketeru Hearts".
11月27日から29日までサンテック・シンガポール国際会議展示場にて行なわれていた<Anime Festival Asia 2015 in Singapore>に、日本からStand-Up! Heartsが出演した。なお、彼女たちは12月1日付けで“イケてるハーツ”に改名したが、公演自体は11月末に行なわれたため、ここでは旧グループ名のまま表記する。
◆Stand-Up! Hearts <Anime Festival Asia 2015 in Singapore> 画像
<Anime Festival Asia(AFA)>は、2008年から続くアジア最大級のアニメ祭典。2014年には14万5000人を動員した、アジア中から日本ポップカルチャーファンが集まる一大イベントだ。2015年はインドネシア、シンガポールに加えてタイでも開催され、海外での衰えることないジャパンカルチャー人気を世界に見せつけている。
そんな中、Stand-Up! Heartsはアイドル応援アプリ「CHEERZ」にて行われた<AFA>出場権を賭けたイベントにエントリーし、見事、シンガポール行きのチケットを勝ち取った。さらに、その際の得票数は同アプリの最多得票記録を大幅に更新。アプリの中では他を圧倒し、ユーザーからの高い期待感を持って送り出された。
結成から1年。学院型ガールズ・ボーカルユニット アフィリア・サーガの妹分ユニットとして活動しているアイドル研究生 Stand-Up! Heartsは、まだオリジナル曲こそないものの、アニメソングやゲームソングを多くカバーしている。そんな彼女たちが登場する<AFA>のステージ。海外という環境とまだまだこれからの知名度、そして実力。一方でアニメやゲームへの親和性。ステージの盛り上がりはフタを開けてみないとわからない。不安と可能性が入り交じる訪星だった。
そんな心配をよそに、平日にも関わらず初日から客席エリアは身動きが取れないほどの超満員。彼女たちのイベントステージは、「空色デイズ」(オリジナル:中川翔子)からスタートする。イントロから地鳴りのような声援が飛び交い、メンバーもその声を聞いて緊張がほぐれたのか、ステージ上を右へ左へと走り回る。曲中、客席からはアイドルのライブではおなじみの“MIX”が日本語で聞こえてくるが、日本人の姿は全体の1割もいない。
さらに2曲目には「Drawing Again」(オリジナル:村田あゆみ)。曲中にメンバーが「Let's, train. Together!」と、ジャパニーズイングリッシュで伝えると、客席側では、周りの人たちの肩に手を乗せてトレインの列が広がっていった。
2日目は土曜日ということもあり、さらに人は増え、サイリウムが光り輝くという光景が客席エリアに広がる。それだけ見ると日本のライブ会場と何ら変わらない。
この日のステージは、初日と違って「天武の舞、暁の門」(オリジナル:KAORI)というクールな曲でスタート。メンバーは「ウォイ!」とアイドルらしからぬ声で客席を煽る。さらに中盤にはアフィリア・サーガのカバーで「教育的指導」を披露。“浮気はダメですよ”を歌い、観客をひとりずつ指差していくのが特徴のこの曲。緩急を付けたパフォーマンスに、客席が音を立てて次々に“落とされて”いく。その後も、短めの曲を立て続けに披露し、前日より2曲も多い7曲を歌唱。観客からのコールに対してしっかりとレスを返すなど、ファンサービスも忘れていないようだ。
そして最終日。3日目になると、オーディエンス側にも推しメンができたようで、メンバーの名前の書かれたメッセージボードが所々に現れ、各出店ブースのスタッフまでもがステージ前まで集まってくる状態に。
そんな中で披露された、最終日のオープニングナンバーは、アフィリア・サーガの代表曲でもある「ニーハイ・エゴイスト」。これは現地の人たちよりも、むしろ日本から彼女たちを応援しに来たファンが驚いたかもしれない。彼女たちはこの曲を国内でもライブ披露したことがなく、シンガポールのステージのためにコッソリ練習を重ねていたのだという。
志倉千代丸の少しセクシーな歌詞の世界観とつんく♂節のメロディーラインを含んだこの秘密兵器に、会場は一気にヒートアップ。<AFA>では唯一、スタッフがステージ最前の柵を抑えなければいけないほどの盛り上がりを見せていく(この公演のみ、イベント運営サイドよりふたりのステージスタッフが柵を押さえるために急遽投入された)。さらに前述の「Drawing Again」では、初日とは比較にならないほどのトレインの列が会場に広がる。
そんな<AFASG 2015>で、Stand-Up! Heartsが最後に選んだ曲は、ミディアムテンポの幻想的な楽曲「オペラファンタジア」(オリジナル:momo-i)。初日にも披露された楽曲ながら、初日とは異なり、横一列に並んでダンス無し。最後は歌をしっかり聞いてほしいという彼女たちの想いを乗せた演出を前にして、集まったオーディエンスも、その気持ちを受け取って、頭の上で手を左右に振る。
言語は違えど、想いは届く。この光景が何よりも雄弁に物語っていた。
最後の曲を歌い終わり、涙ぐみながらの挨拶を終えてStand-Up! Heartsはステージを降りる。ここで、メンバーもスタッフも予期していなかった事態が発生する。客席から「Stand Up Hearts! Stand Up Hearts!」とアンコールがかかったのである。
本来、こういったイベントステージはタイムテーブルに沿って各出展社が使用するため、アンコールが発生することは皆無。<AFA>や<Music Matters>といったコンベンション、イベントを通年で多数開催しているシンガポールの人たちも、そのことはよく理解している。
にも関わらず、彼らはStand-Up! Heartsにアンコールを求めたのである。
場内BGMにも匹敵するほどの、観客全体からのアンコール。ステージ担当者もこれにはOKを出さざるを得なかったのだろう。すぐさまStand-Up! Heartsのスタッフにアンコールに応えるよう連絡が届く。再びステージに登場したメンバーは、一様に困惑した表情や涙を浮かべている。
この表情には、もっと別の理由があった。Stand-Up! Heartsは結成から1年。アイドル研究生として活動してきており、(アフィリア・サーガがゲストという形では9月に1周年記念ライブを行なったものの)まだ国内でも純粋な単独公演は経験がない。ゆえに、国内でもアンコールを受けた経験がなく、この日、この公演が初のアンコールとなったのである。
最終的には、グループの選手会長こと新ユウユが得意の英語と中国語でお礼を述べる。そして、この日のセットリストには組み込んでいなかった「Triangle Wave」(オリジナル:村田あゆみ)で再度、会場をひとつにして、本当の大団円を迎えたのだった。
日本と違って変な先入観がない半面、エンターテインメントやショービジネスに対して日本よりはるかにシビアなシンガポール。この地で飛び交った彼女たちへの声援と拍手は、すなわち、彼女たちのステージングに対する正当な評価といえるだろう。
◆ ◆ ◆
なお、冒頭にも記述したとおり、Stand-Up! Heartsは12月1日より、グループ名を「イケてるハーツ」に改名。2月10日につんく♂作詞作曲による「Let's stand up!」(振付:高田あゆみ)でメジャーデビューする。
「まさに、つんく♂さんが私たちのために書いてくれた曲。これからもっと辛いこととかあると思うけど、この曲はハーツの最強応援ソングだと思うから、いろんなことにも負けないと思う。私たち、まだイケてなくて、つんく♂さんの曲を出すにはまだ力不足だと思うんですけど、2月までには“イケてる”ハーツになって、ステージパフォーマンスでみなさんに恩返ししたいと思います。」── 舞波和音
写真提供:Stand-Up!Records、CHEERZ
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