【ライブレポート】『音楽と人』主催イベントで「だから、ありがとうを返します」

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4月18日と19日の2日間にわたり、東京・新木場STUDIO COASTにて『音楽と人』主催イベント<音楽と人 LIVE 2015ローリング・サンダー・レビュー>が開催された。各日8時間、3つのステージで総勢25組を超えるアーティストが熱演を繰り広げたライブの模様をレポートしたい。


◆<音楽と人 LIVE 2015 ローリング・サンダー・レビュー>出演者 画像

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【4月18日(土)@新木場STUDIO COAST──初日レポ】


▲hotsprings

新木場STUDIO COASTにはメインの「ARENA STAGE」、その脇の「TENT STAGE」、トークセッションやアコースティックスタイルのライブが行なわれる「LOUNGE STAGE」の3つのステージが設けられた。このほか会場内には出演アーティストの私物や衣装などを展示する私物博覧会や、会場外のフードエリアには浅井健一がプロデュースしたカレーショップ「HAMMERHEAD CURRY」も出店されたりと、『音楽と人』に縁の深いアーティストたちによる賑やかな宴ムードが全開だ。

初日の18日にはギャラリースペースにTHE COLLECTORSの加藤ひさしの派手なステージ衣装の数々や、POLYSICSがステージで使用した歴代バイザー、怒髪天の増子直純画伯による出演メンバーのコラムイラスト展が展示され、開演までの時間を思い思いに過ごすことができる。「ARENA STAGE」ではhotspringsがオープニングアクトの大役を果たした。


▲THE COLLECTORS

13時スタートの「ARENA STAGE」のトップバッターはTHE COLLECTORS。「愛ある世界」で幕を開けたステージは結成30周年を迎えるバンドの深みと同時に変わらぬカラフルさ、みずみずしさにあふれていて、アッという間に虜にさせられるほど魅力的。古市コータローのソリッドなギターと阿吽の呼吸のビート、加藤ひさしの高音が冴えるヴォーカルが素晴らしい。

サイケデリックなスーツを着て髭を伸ばした加藤は、4月8日に配信されたUSTREAM特別番組『音楽と人LIVE ROLLING THUNDER REVUE開催直前!!【俺とお前と音楽と人】』に出たときのことに触れ、「“チケットが一定基準まで売れなかったら、髭で出てやる”と宣言したから、これは罰ゲームだ」とオーディエンスを笑わせる。「でも、新木場の駅前でイタリア人に間違えられたから、髭も悪くないなと思ってるんです。じゃあ、みんなを虜にするナンバーやります」と「鳴り止まないラブソング」を披露。ラストは代表曲「世界を止めて」で締めくくった。

▲Drop’s

▲『福島大逆襲』生トーク

「TENT STAGE」では札幌在住のロックバンド、Drop’sが素朴かつパワフルなステージを繰り広げた。4月22日にリリースされたばかりの3rd EP「未来」からのナンバーも混じえ、アッパーな曲になるとギターを下ろしてパフォーマンスしながらシャウトする中野ミホの人格チェンジも刺激的。「『音楽と人』は毎月買っていた憧れの雑誌だったので、今日はとても嬉しいです。今日はお祭りということで、飲んで美味しいもの食べてはじけていってくださいね」と集まった人たちをほっこりさせつつ盛り上げた。

一方、「LOUNGE STAGE」では金光編集長とTHE BACK HORNの松田晋二の対談連載『福島大逆襲』の生トークショーが開催されていて、爆笑の渦。地元に帰ると「まだ太鼓叩きやってるの?」と近所の人から噂されているという哀愁エピソード(?)も明かしていた。


▲菅原卓郎/山田将司/佐々木亮介

そして「ARENA STAGE」の2番手は山田将司(THE BACK HORN)、菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)、佐々木亮介(a flood of circle)によるアコースティックライブ。まさに本イベントならではのスペシャルセッションだ。菅原と佐々木が向かい合ってアコギを弾きながら2人で歌ったTHE BACK HORNの「コバルトブルー」のカヴァーに始まり、途中から2人に「ボス」と呼ばれているという山田が登場。それぞれのソロも披露しつつ、山田と菅原によるa flood of circleの「Human License」、山田と佐々木による9mmの「Black Market Blues」も披露され、サプライズ満載でもある。

合間のMCも佐々木がボスに付き合い、20時間も飲んだことがあるというエピソード(20時間の後、山田は金光編集長を呼んで呑み続けたという逸話も)など和気あいあい。ラストナンバー「日曜日よりの使者」(THE HIGH-LOWSのカヴァー)では初めて3人が揃い、会場にシンガロングが響き渡った。

▲武藤昭平 with ウエノコウジ

▲加藤ひさし×増子直純『生大放談』

「TENT STAGE」に足を向けると武藤昭平 with ウエノコウジが、まだ外は明るいというのに、ほろ酔いテンションのゴキゲンなライブでオーディエンスの身体を揺らせていた。加藤ひさしや坂詰克彦(怒髪天)のぶっとんだエピソードで笑わせ、MCも止まらなくなりそうなほど饒舌。リリースされたばかりのアルバム『ストレンジャーズ』からの新曲や、スティングのカヴァーナンバー「Englishman In New York」も披露した。渋くてエッジのあるライブで陶酔度が高い。

また、同じ時刻に「LOUNGE STAGE」では加藤ひさし×増子直純の生大放談が行なわれ、こちらも大盛況。ちなみに加藤は展示衣装を増子に「私服でしょ?」と突っ込まれていた。なお、このトークには金光編集長も参加。息の合ったトークで爆笑につぐ爆笑の一幕となった。


▲POLYSICS

16時をまわった頃には「AREANA STAGE」にPOLYSICSがオレンジのツナギ姿で登場した。「Young OH! OH!」で振り付けをレクチャーしていきなり盛り上げたハヤシは上手下手とステージ上を動きまわり、歯でギターを弾いたかと思うと目にも止まらぬスピードでキーボードを操るアクロバティックなパフォーマンスで会場を釘付けに。暴れまくりながらも一糸乱れぬフミとヤノとのアンサンブルは世界中、どこに行っても楽しませられると思うほどハイパーでエンターテインメントである。

中盤では最新ミニアルバム『HEN 愛LET’S GO!』収録曲「Dr Pepper!!!!!」が披露され、キラーチューン「Rocket」では大盛り上がり。さらには『音楽と人』がきっかけとなって参加したBUCK-TICKトリビュートアルバム収録曲「Sid Vicious ON THE BEACH」が披露されるなど、一瞬たりとも飽きさせないステージを展開した。


▲古市コータローソロバンド+坂詰克彦 a.k.a.Chan-Saka(画像3点)

そして「TENT STAGE」には古市コータローソロバンドが出演し、会場に入りきらないほどの人が押し寄せた。グルーヴィーで温かいナンバーはその人柄を表しているかのごとくで、佐々木亮介、百々和宏(MO’SOME TONEBENDER)、ウエノコウジ、中野ミホ(Drop’s)、増子直純とゲストヴォーカリストを1曲ごとに呼びこみ、ラストの曲「いつかきっと」では全員を呼びこんでのセッション。『音楽と人』の繋がりが新たなマジックを生んだ。

片や「LOUNGE STAGE」では坂詰克彦 a.k.a.Chan-Sakaワンマンショー(怒髪天)の弾き語りが繰り広げられ、個性爆発のステージにこれもレア感満載。


▲THE BACK HORN

「ARENA STAGE」ではTHE BACK HORNが熱く包容力のあるライブでオーディエンスを高揚させた。怒りん坊もさみしん坊も甘えん坊もきかん坊も暴れん坊も、みんな愛しいこわれもんだと歌う「コワレモノ」に始まり、メジャーデビューシングル「サニー」やライブの鉄板曲「コバルトブルー」、イントロで怒濤の歓声が湧いたうねるグルーヴがスリリングな「ブラックホールバースデイ」など全8曲を披露。初期の焼けつくような激しさを残しながらも安定感と説得力のあるヴォーカルと演奏は、彼らがライブバンドとして切磋琢磨してきた日々を感じさせた。

松田はデビュー当時から出ているという『音楽と人』が、音楽だけでなく人間にも突っ込んでいく雑誌だと感謝を述べ、「集まっているみなさんも最高の日常を送ってほしいと思います」と、らしいメッセージを投げかけた。

▲MO’SOME TONEBENDER

▲新山詩織

外が夕闇に包まれた頃には「TENT STAGE」にMO’SOME TONEBENDERが現れ、ヘヴィで尖りまくったサウンドを叩きつけた。「冷えこんできたので、温まって帰ってください」と4月22日にリリースのニューアルバム“地獄盤”こと『Rise from HELL』からの新曲「トーキョーロスト」「メタルボーイ」もいち早く披露。爆音がテントを突き抜け、夜空に響きわたった。

そして、「LOUNGE STAGE」では、本イベント出演者のすごい顔ぶれについて特設サイトのコメント動画でも触れていた新山詩織が弾き語りライブ。最新シングル「ありがとう」も披露され、集まったオーディエンスは彼女の透明感があって凛とした歌声に吸いこまれるように聴き入っていた。「緊張します」とMCも初々しく、最後に振り子のように揺れる心もようと決意を表明した「絶対」を歌ってステージを去った。


▲怒髪天(画像2点)

19時10分。いよいよ「ARENA STAGE」にトリをつとめる怒髪天が「男祭」のSEにのって手拍子のなか登場。初日のラストを飾るにふさわしい熱く男臭いライブで盛り上げる盛り上げる。日本男児のエナジー炸裂のステージに拳をいつのまにか挙げていた初参戦の人もいたのではないだろうか。R&E(リズム&演歌)という独自のジャンルを爆走する彼らの理屈抜きにノレて人情味あふれる世界にライブは後半に行くにつれて一体感を増していく。

MCになるたびに増子が「生中継するから」と言って日比谷野外音楽堂でライブ中のフラワーカンパニーズ、グレートマエカワの携帯に電話する(当然繋がらない)という展開も可笑しく、パーティというより宴の締めくくりにふさわしいステージング。「我々もTHE COLLECTERSもお世話になってるけど、表紙やらせてもらったこと1回もない」と沸かせ、本編ラストは結成31年目の新曲「宜しく候」。アンコールでは会場に残っている出演者(かなり酔っている人も)が集合し、一日目のエンディングを迎えたのだった。

■<音楽と人 LIVE 2015 ROLLING THUNDER REVUE>
2015.04.18(Sat)@新木場STUDIO COAST SET LIST

●ARENA STAGE SET LIST●
【hotspring】O.A(12:30-12:45)
1.45回転
2.ゴールド
3.BABY KILL LOVE
4.いかすぜ今夜
【THE COLLECTORS】(13:00-13:45)
1.愛ある世界
2.ミノホドシラズ
3.Da! Da!! Da!!!
4.鳴り止まないラブソング
5.Stay Cool! Stay Hip! Stay Young!
6.僕は恐竜
7.百億のキッスと千億の誓い
8.NICK! NICK! NICK!
9.世界を止めて
【菅原卓郎 × 山田将司 × 佐々木亮介】(14:35-15:20)
1.コバルトブルー(菅原×佐々木)
2.菅原Solo
3.HUMAN LICENSE
4.山田Solo
5.BLACK MARKET BLUES(山田×佐々木)
6.佐々木Solo
7.日曜日よりの信者(3人)
【POLYSICS】(16:10-16:55)
1.Introduction!
2.Young OH! OH!
3.How are you?
4.カジャカジャグー
5.Dr Pepper!!!!!
6.Let's ダバダバ
7.Rocket
8.Sid Vicious ON THE BEACH
9.Lucky Star
10.Shout Aloud!
11.シーラカンス イズ アンドロイド
12.Electric Surfin' Go Go
【THE BACK HORN】(17:35-18:20)
1.コワレモノ
2.怪しき雲ゆき
3.サニー
4.冬のミルク
5.風船
6.ブラックホールバースデイ
7.コバルトブルー
8.シンフォニア
【怒髪天】(19:10-19:55)
SE.男祭
1.GREAT NUMBER
2.酒燃料爆進曲
3.濁声交響曲
4.人生○×絵かきうた
5.己 DANCE
6.労働CALLING
7.ひともしごろ
8.ド真ん中節
9.宜しく候
En.オトナノススメ

●TENT STAGE SET LIST●
【Drop's】(13:50-14:30)
1.カルーセル・ワルツ
2.恋は春色
3.アイスクリーム・シアター
4.メトロ・ランデブー
5.かもめのBaby
6.コール・ミー
7.さらば青春
8.未来
【武藤昭平 with ウエノコウジ】(15:25-16:05)
1.ビートニク・ピエロ
2.エグジット
3.イングリッシュマン・イン・ニューヨーク
4.レッツ・ブーズ・イット
5.ワルチング・マチルダ
6.ブエナ・ビスタ
7.アミーガ・アミーゴ
【古市コータローソロバンド】(16:50-17:30)
1.Heartbreaker(古市コータロー)
2.モノクロームガール(古市コータロー)
3.NOTHING SOMETHING(佐々木亮介)
4.Baby Moon(百々和宏)
5.Red Pepper Tower(ウエノコウジ: Bass)
6.それだけ(中野ミホ)
7.nasty(増子直純)
8.MOUNTAIN TOP(古市コータロー)
9.いつかきっと(ゲスト全員)
【MO'SOME TONEBENDER】(18:25-19:05)
1.メタリックブルー
2.ヒューマンビーイング
3.トーキョーロスト
4.メタルボーイ
5.FEEVEER
6.Shining
7.ロッキンルーラ
8.DUM DUM PARTY

●LOUNGE STAGE SET LIST●
【福島大逆襲】(14:00-14:30)
※トークショー
【加藤ひさし × 増子直純の生大放談】(15:30-16:00)
※トークショー
【坂詰克彦 a.k.a;. Chan-Sakaワンマンショー(怒髪天)】(17:00-17:30)
1.小樽の夜
2.血を巡らせろ
3.天井の青
4.everyday
5.人は、酔う。
6.愛の秘密
7.Burning Lights / Joe Strummer
【新山詩織】(18:30-19:00)
1.ゆれるユレル
2.I Feel The Earth Move
3.Looking to the sky
4.ありがとう
5.絶対

◆【4月19日(日)@新木場STUDIO COAST──二日目レポへ】
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