ヤマハの男性3人組VOCALOID「ZOLA PROJECT」発売記念イベント開催、浅倉大介&森雪之丞によるデビュー曲を披露

「VOCALOID3 Library ZOLA PROJECT」は、3本の男声歌声ライブラリを同梱したVOCALOID3対応製品。VOCALOID製品で初めてとなる、歌声の主が異なる複数の歌声ライブラリを同梱した製品としても注目を集めている。イベント当日はパッケージの出荷日であり、まさにユーザーの手元に届けられる直前。ニコ生での生中継も行われ、熱のこもったステージとなった。
■「VOCALOIDは新しい楽器」「作品を安易にDISらないで」

「歴史を振り返ると、新しい楽器が生み出されたあとには必ず新しい音楽が出てきている。古くはバイオリンもそうだしピアノも、そしてエレキもシンセも。そして、VOCALOIDという新しい楽器によって新しい音楽が次々と生み出されている」「どうかみなさん、この新しい楽器の中の新しい音色を使って、また新しい音楽を作り出していっていただければ」としたあと、最後に一言、と続けた。「VOCALOIDを使って数多くのボカロPのみなさまが心血を注いで楽曲を作って投稿している。どうぞ、そういう作品を安易にDISらないでください。ただし、これは批判をするなという意味ではありません。愛情を持って批判してください。この時代を生きているみなさんには、この時代の文化を育てていくという責任があると思います。VOCALOIDという文化がこれから育っていくかどうかということは、みなさんがどれだけ愛情を持って批判できるかどうかということにかかっていると思います」。
■3人分でお買い得 グループ曲用に新プラグインも収録

機能面で注目したいのが、簡単にグループの曲を作ることができる新しいJob Pluginの追加だ。Job Pluginは、たとえば「入力した音符を全部一括してスタッカートにしたい」という決まったルールに従ってシーケンスに編集を加える機能。今回ZOLA PROJECTには「ZOLA Unison」というプラグインが追加されている。これはコーラスやユニゾンパートを作るのに効果的なもので、発音タイミングや音程のパラメータにばらつきを与えてくれる。Solo/Unison/Chorusの3タイプが用意され、同じフレーズを複数人に歌わせる場合にそれぞれ違った表情が簡単に付けられるようになっている。ZOLA専用ではなく、ほかのライブラリでの利用が可能なのもうれしいところだ。

▲同一旋律を複数の歌声ライブラリで歌わせる際にきれいに聞こえるようにするJob Plugin「ZOLA Unison」。タイミングやピッチベンド、ベロシティなどのパラメーターに自動的にばらつきを与える。
また、初心者を含むクリエイターの支援策として、VOICE MATERIALとILLUSTRATION MATERIALが無償配信されることもあわせて紹介。VOICE MATERIALはZOLAの3人のセリフを各129種、計387ボイスを提供するもの。ILLUSTRATION MATERIALとしては、パッケージを手がけた天野喜孝氏のイラストのほか、4人の絵師によるイラストが提供される。さらに7月20日より楽曲コンテスト&イラストコンテスト「ZOLA発売記念コンテスト」がニコニコ動画&ニコニコ静画で開催されることも予告された(詳細は7月20日発表)。

▲ZOLA発売に合わせ、自由に使えるセリフの音声ファイルやイラストデータも公開(写真左)。7月にはコンテストも開催される(写真右)。
■公式デモ曲制作は浅倉大介&森雪之丞の初コラボ


▲天野喜孝氏が手がけたイラストを使用したMV。ZOLA PROJECTの公式サイトで見ることができる。

▲公式デモ曲「BERDERLESS」の作詞を手がけた森雪之丞氏。

▲VOCALOID楽曲は初めてという浅倉大介氏。公式デモ曲の作曲を担当。
ユーザーへのアドバイスを求められた浅倉氏は「ボカロPの調教は、僕はもうぜんぜん駆け出しなんで。先輩方がたくさんいるんで(笑)。僕もがんばってプロの調教師を目指して(笑)」と笑わせたあと、「新しい、生歌とはまた違うアプローチでいろんなことがたくさんできる」「いろんなアイディアをどんどん形にしていって、音楽の新しい未来を作っていけたらいいなと思います」と回答。森氏は「ZOLAは僕らのものじゃないんですけど。僕らはあくまで夢と現実を行ったり来たり、そして、どういう旅をすればいいかっていう道先案内人ですから。だから、とりあえず、こういう1つのツアーがありますよっていうことを提示したわけで。まだ、僕らもね、違ったツアー、ジャングルで道に迷うとかそういうツアーもあるかもしれないんで。そんなことができたらいいなと思ってますけど」と続けた。また、次に作るとしたらやりたいことを聞かれた浅倉氏は「バラードとかも聞いてみたいですね、男性3人による。ハーモニーもキレイだからね」とコメント。
今後に期待することについては「女声のVOCALOIDはけっこうヒット曲たくさんありますけども、今度は女性目線で男声VOCALOIDを調教して出てくる曲とか。女性のボカロPが活躍してくれたらおもしろいなあなんて思いますよねえ」と浅倉氏。そして、最後は以下の発言で締められた。
「今回ZOLAのプロジェクトで、デビュー曲『BRDERLESS』を作らせていただいて、すごく僕的にもほんとに興奮して楽しくできました。また、機会があったらやってみたいし、ぜひみなさんがZOLAを使った作り出す作品を楽しみにしています」(浅倉)
「テクニックがあってできあがる世界っていうのもあると思うんですけど、そうじゃなくて、気持ちだったり遊び方だったり、センスで作っていく、そういう表現っていうのもあると思うんですね。この時代、いろいろ不自由なこともあるかもしれないけど、逆に僕らはこの時代だから得たものがある、っていうふうに思ってみんながいろんなことを表現したり遊んでくれたりしたら、素敵だな、と思います」(森)

◆VOCALOID3 Library ZOLA PROJECT
価格:オープン
発売中
◆VOCALOID3 Library ZOLA PROJECT
◆ヤマハ
◆BARKS 楽器チャンネル
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