デヴィッド・ボウイが仕掛けた、ソーシャル時代最大の逆手戦略

◆デヴィッド・ボウイ画像
とはいえ、それからは紙ジャケが再発されたり、黒人学生のために訴訟費用を寄付したり、コンピレーション・アルバム『iSELECT: BOWIE』をリリースするなどの話題はあったものの、新作のリリースの話題も一切なく、アルバム『Reality』を最後に一線を退きもはや引退したというのが世間の認識であった。
しかし、『Reality』リリースから10年経った2013年1月8日、デヴィッド・ボウイの66回目の誕生日であるこの日、一切の前触れや事前発表もなくニュー・アルバムのリリースが発表され、シングル「ホエア・アー・ウィー・ナウ?」の音源配信がスタート、ミュージックビデオもいきなり公開となった。
「デヴィッド・ボウイ、ソーシャル時代に裏をかくダンディな施策」とのニュース・タイトルでお伝えした通り、SNSやWEBメディアの包囲網がはりめぐらされた現代において、一切の事前発表をしないという手法は、公開と共に鮮烈な爆発的バズを世界規模で発生させ、世の中はデヴィッド・ボウイのニュースで一色に染められた。意表をついたボウイの新作発表は「音楽界で最大の出来事」としてNME 2013 Awardsでノミネートされている。

調べれば簡単にわかる…そんなネット時代において、「調べても出てこない、知りたくても分からない」という情報の価値観を、デヴィッド・ボウイはいとも簡単に提示して見せた。ロック・アーティストたるもの、どういう存在なのか…、何も言わないデヴィッド・ボウイからは、強い主張が聞こえてくる。

ソーシャルを完全に掌握した逆手の戦略は、『ザ・ネクスト・デイ』を世界中の人々に注目させることに結びつけた。もちろんこの戦略の中心にいるのは、デヴィッド・ボウイ本人だ。自身が全てをコントロールしたことで、世界は彼の手中に落ちた。
『ザ・ネクスト・デイ』のサウンドは、3月13日にすべて明らかとなる。今もなおビビッドなクリエイティビティに裏打ちされたデヴィッド・ボウイの音世界、『ザ・ネクスト・デイ』はチェックしておかないと、次代への一歩を踏み出せないことになる。
text by BARKS編集長 烏丸
『ザ・ネクスト・デイ』
2013年3月13日発売
日本盤は解説・歌詞・対訳付
●「デラックス・エディション」SICP 30127 ¥2,800
Blu-spec CD2仕様(日本のみ)デジパック仕様/ボーナストラック3曲/+日本盤ボーナストラック1曲/全18曲収録(1CD)
●「スタンダード・エディション」SICP3788 ¥2,520
デジパック仕様/日本盤ボーナストラック1曲/全15曲収録
◆デヴィッド・ボウイ・オフィシャルサイト
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