【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実 Vol.3「ジョー・ペリー節の詰まった「オー・イェー」と、L.A.生まれのキラー・チューン「ビューティフル」の誕生秘話」
いよいよ11月7日に日本発売を迎えるエアロスミスの『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション!』。すでにフラゲ組は繰り返し聴きまくっているはずだが、連載第3回にあたる今回は、まずアルバム2曲目に収録されている「オー・イェー」についてトム・ハミルトンの口から語ってもらおう。すでに2011年夏の全米ツアーでも演奏されていた、ジョー・ペリーの作詞/作曲によるナンバーだ。
「これは1年半前のリハーサル当時にジョーが持って来たものなんだ。このアルバムの制作中、夏は2回訪れた。2011年の夏と2012年の夏ということだけど、ここで言ってるのは2011年の夏のほうのことだね(笑)。ボストンのスタジオでレコーディングしている最中に、ジョーのアイディアが持ちあがってきて、当初はヴォーカルも彼がやっていた。で、今、どうやってこれをレコーディングしたのかを思い出そうとしているんだけど……僕の記憶では、おそらくジョーが1人で録音したものに僕らがいろいろ重ねていく流れで完成していったものだと思う。楽曲自体は“ジョーのお気に入り”の典型的な一例と言えるね。彼は、オールドスクールなサウンドで、ブルージーな感触を持った曲をやるのが好きなんだ。これは、まさにそういう曲だからね」
参考までにこの「オー・イェー」については、なんと早くもそのライヴ映像が、今作のデラックス・エディション(CD2枚、DVD1枚からなる3枚組仕様)のDVDに収録されていたりもする。また、同DVDには、あのジョニー・デップが飛び入りしてギターを弾いている「トレイン・ケプト・ア・ローリン」の映像(昨年8月、L.A.のハリウッド・ボウル公演の際のもの)も。バンドとジョニー・デップの関係性については、また追って別の楽曲解説の際に詳しく触れることにしよう。
というわけで今回は特別にもう1曲、アルバムの3曲目に収められている「ビューティフル」にまつわるトムの発言もお届けしておこう。作詞はスティーヴンとマーティ・フレデリクセン、作曲はジョーを除く4人のメンバーとマーティというクレジットになっている。さらにはスティーヴンの娘であるミア・タイラーがバック・ヴォーカルで参加していたりもする。
「ヴォーカル録りをしているときに誰かが遊びに来ていたりするとね、その人をスタジオに引っ張り込んで歌ってもらうことがあるんだ(笑)。これもそのひとつだったんじゃないかな。この曲は、バンドのメンバーの大半がL.A.にやって来て、友達のマーティ・フレデリクセンと一緒に10日間曲作りを集中的に行なった際にできたんだ。彼とは以前からコラボレーションを行なっている。彼は素晴らしい共作者であり、プロデューサーなんだ。このバンドにとって欠かせない存在で、テレビ番組に出演するときなんかには、僕らが望む通りの音をそこのエンジニアが出せるように、あれこれ調整してくれたりとかね」
マーティとの信頼関係の強さがうかがえる発言だ。そして「ビューティフル」にまつわるトムの話は、まだまだ続く。
「L.A.ではマーティの家に行って、そこで10日間過ごしたんだ。近所では登下校中のキッズが賑やかにしていたよ。自転車を乗りまわしたりとかね。それはともかく、マーティの家の小さなスタジオでお互いにアイデアを出し合っていたら、そこでたくさんの曲ができあがってきてね。この曲についてはその段階でインスト部分が完成したんだ。僕らにとっては、とてもエキサイティングな曲だといえる。ハードでザクザクした粗削りなギター・パートから、美しくてすごく艶のあるメロディックなセクションに移行し、そうやって両セクションを行ったり来たりしているうちに、あのゴージャスなコーラス・セクションへと移っていく。そうしてインスト部分がまずそこで完成して、今年ふたたびL.A.に行ったとき、スティーヴンが歌メロをつけたんだ。そこまで到達できたのはアルバム制作の終盤の頃だったけど、そこで彼が仕上げてくれたとき、僕は非常に興奮した。前々からこの曲にすごく愛着があったし、“彼が歌ったらどんな感じになるんだろう?”という強い興味があったからね。それを実際に聴けたときは、当然のようにエキサイトしたよ!」
さて、これをもって今回は終了。次回はトム自身の作詞・作曲による名曲、「テル・ミー」についてたっぷりと語ってもらう。当然のごとく彼自身にも話したいことが山ほどあるはずだから。
取材/文:増田勇一
◆エアロスミス特設チャンネル「 【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実」
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