ギル・スコット・ヘロンよ、安らかに…心からの冥福を祈っているよ

◆ギル・スコット・ヘロン画像
数えきれなぬほどのアーティストに多大な影響を与えたことを象徴するかのように、トム・ヨークからエミネムまで、多くのアーティストが哀悼コメントを発表する中、『アイム・ニュー・ヒア』のプロデュースを務め、彼が所属するXL Recordingsの創設者にしてオーナーでもあるリチャード・ラッセルが哀悼の意を寄せた。
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2011年3月19日…思えばあれがギル・スコット‐ヘロンと話した最後だった。土曜日で、ちょうど私の誕生日の翌日で、ロンドンの書店「フォイルズ」にいた私の携帯にギルが電話をかけてきてくれた。それから小1時間、すっかり長電話をしてしまった。そう、ギルと話すのは私にとっては嬉しいプレゼントなのだ。ギルは私にとって父親のような存在で、本当に多くのことを彼から学んだ。
決して完璧な人間ではなかったが、(もちろん、完璧な人間などこの世にはいないが。)とにかく、自分の物差しで人を測ったり決め付けたりはしなかった。とてつもなく頭が良くて、言葉選びがこれまた絶妙。ユーモアのセンスも最高で、彼独特の優しさ、人間臭さがたまらなかった。名声や成功の落とし穴にハマるような馬鹿な真似はしなかった。そんなヘマをするような愚か者ではなかった。金銭には一切、関心がないようだった。私が知る限り、与えられた賞を一切受け入れたことがないし、それよりも自分以外の人間の仕事がきちんと評価されることを望んでいた。
自分のウェブサイトに掲載する際に、スタジオ・エンジニアと自分の写真を同等の扱いするようリクエストしてきたアーティストは、私の知る限りギルぐらいだ(『アイム・ニュー・ヒア』のエンジニアを担当したローソン・ホワイトとは、ギルも私も素晴らしい時間を過ごした仲間同士だ)。

人生の最良の経験…そのいくつかはギルと過ごした時のことだ。彼と知り合えることができて本当に光栄に思っている。最後の電話で、ギルは私に簡単に自分を曲げるなとアドバイスしてくれた。そしてその言葉を胸に、私は日長一日レコードあさりを楽しんだのだった。
ギル、安らかに…心からの冥福を祈っているよ
──リチャード・ラッセル
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◆BARKS洋楽チャンネル