伝説のソングライター:ダン・ペンの特異で非凡なキャリア
サザンソウルのメッカ、マッスル・ショールズを代表する伝説のソングライター、Dan Penn(ダン・ペン)。
ダン・ペンは非常に特異で非凡なキャリアの持ち主だ。
素晴らしいシンガーソングライターとして尊敬されている彼、多くの著名なミュージシャン達がこぞって彼の曲を演奏し、チャート・ヒットを生み出しているものの、意外な事にこれまで彼自身はヒット曲に恵まれていない。
もう1つ特筆すべき特徴は、多くの作曲家が特定のジャンルにのみ属するのに対し、彼の曲は、大半がR&Bやカントリーだが、メインストリームなポップ調な楽曲もレコーディングしているところだ。例えば、ダン・ペンが高校生の時に作詞・作曲した「Is A Bluebird Blue?」。この曲はConway Twittyによるロカビリー・バージョンがヒットし、後にソウルの名付け親と称されるJames Brownもカバーしている。また、「Out of Left Field」はソウル歌手のPercy Sledgeが歌ってヒット、カントリー・ミュージックの巨匠Hank Williams Jr.もカバーしている。
ダン・ペンの魅力は、リスナーが共感してくれるだろう。媚びを感じさせない簡潔で率直なアプローチで、人間の感情を語っているところにある。それは現在進行中、もしくは完結してしまった恋愛をテーマにしたストーリーで語られることが多い。サザン・ソウルの立役者としてレコーディング・アーティストというよりもソングライターとして有名なダン・ペンの名前や彼の楽曲は、熱狂的な音楽ファン以外の人には馴染みが薄いかもしれない。
そこで、グラミー賞受賞歴を多数持つ彼の曲トップ10を紹介しよう。
10.「I'll Be Your Everything」- 1974年にPercy Sledgeが歌ってヒット。痛々しい感情あふれるソウルバラード。Irma Thomas、Solomon Burke、Gram Parsons、Alex Chilton、Wislon Pickettら同様、Percy SledgeもDan Pennの曲を好んで多数レコーディングした。
9.「Don't Give Up On Me」- 2002年にSolomon Burkeがこの曲でグラミー賞を受賞。Joe Cockerも素晴らしいカバー・バージョンを手がけている。
8.「Cry Like A Baby」- Boxtopsによるバージョンが有名。ヴォーカルのAlex Chiltonは当時まだ17歳で、彼らの他の曲と同様にDan Pennがプロデュースを担当した。Cher、Kim Carnes、Luluをはじめ多数のアーティストにカバーされた曲。
7.「She Ain't Gonna Do Right」- Clarence Carterが決定的な名バージョンを手がけているが、Wilson Pickettも敬意に値するバージョンをレコーディングしている。
6.「You Left the Water Running」- 1966年にOtis Reddingが歌って大ヒットした曲。Flying Burrito Brothers、Huey Lewis、スウェーデンの轟音ギター・バンドHellacoptersなど多数のアーティストにカバーされている。
5.「Sweet Inspirations」- (邦題:「甘いひらめき」) - 1968年、Sweet Inspirationsのために作詞・作曲されヒット。1972年にはBarbara Streisandがカバーしている。他にもSupremes、Vonda Sheppard、Wilson Pickett、Derek Trucksなど多数アーティストによってレコーディングされた曲。
4.「Do Right Woman, Do Right Man」- (邦題:「女の定め/恋の教え」) - Aretha Franklinの1967年のヒット曲。ブルース、カントリー、R&Bバージョンで少なくとも12回はレコーディングされている。1991年に公開の映画『The Commitments(ザ・コミットメンツ)』にも起用された。
3.「Woman Left Lonely」- Janis Joplinが感情的歌い上げたバージョンは彼女の代表曲になった。Rita Coolidge、Irma Thomas、Charlie Rich、Cat Powerをはじめ、数多くのアーティストにカバーされている名曲。
2.「Dark End of the Street」- (邦題:「暗い街角」) - James Carrによる素晴らしいバージョンは1967年にチャート、トップ10にランクインする大ヒットになった。すでに50組以上のアーティストによってレコーディングされて、どのバージョンも甲乙つけがたい完成度だ。代表的な4曲は前述のJames CarrとGram Parsonのカントリー・バージョン、Ry Cooderの心をゆさぶるインストゥルメンタル・バージョン、ソウルの女王Aretha Franklinによる優れたブルース・バージョンで、これはDan Penn自身が最もお気に入りの曲だとコメントしている。
1.「I'm Your Puppet(邦題:恋のあやつり人形)」- James & Bobby Purifyによる1966年のヒット曲。Sam & Dave、Elton John、Dionne Warwick、Yo La Tengo、日本人ではGolden Cupsら多数のアーティストがカバー。歌詞では愛の虜になってしまった人物の心情が、シンプルだが感動的に描かれている。ダン・ペンの大半の作品に共通する、人間の心の琴線に触れる名曲。
キース・カフーン(Hotwire)
ダン・ペンは非常に特異で非凡なキャリアの持ち主だ。
素晴らしいシンガーソングライターとして尊敬されている彼、多くの著名なミュージシャン達がこぞって彼の曲を演奏し、チャート・ヒットを生み出しているものの、意外な事にこれまで彼自身はヒット曲に恵まれていない。
もう1つ特筆すべき特徴は、多くの作曲家が特定のジャンルにのみ属するのに対し、彼の曲は、大半がR&Bやカントリーだが、メインストリームなポップ調な楽曲もレコーディングしているところだ。例えば、ダン・ペンが高校生の時に作詞・作曲した「Is A Bluebird Blue?」。この曲はConway Twittyによるロカビリー・バージョンがヒットし、後にソウルの名付け親と称されるJames Brownもカバーしている。また、「Out of Left Field」はソウル歌手のPercy Sledgeが歌ってヒット、カントリー・ミュージックの巨匠Hank Williams Jr.もカバーしている。
ダン・ペンの魅力は、リスナーが共感してくれるだろう。媚びを感じさせない簡潔で率直なアプローチで、人間の感情を語っているところにある。それは現在進行中、もしくは完結してしまった恋愛をテーマにしたストーリーで語られることが多い。サザン・ソウルの立役者としてレコーディング・アーティストというよりもソングライターとして有名なダン・ペンの名前や彼の楽曲は、熱狂的な音楽ファン以外の人には馴染みが薄いかもしれない。
そこで、グラミー賞受賞歴を多数持つ彼の曲トップ10を紹介しよう。
10.「I'll Be Your Everything」- 1974年にPercy Sledgeが歌ってヒット。痛々しい感情あふれるソウルバラード。Irma Thomas、Solomon Burke、Gram Parsons、Alex Chilton、Wislon Pickettら同様、Percy SledgeもDan Pennの曲を好んで多数レコーディングした。
9.「Don't Give Up On Me」- 2002年にSolomon Burkeがこの曲でグラミー賞を受賞。Joe Cockerも素晴らしいカバー・バージョンを手がけている。
8.「Cry Like A Baby」- Boxtopsによるバージョンが有名。ヴォーカルのAlex Chiltonは当時まだ17歳で、彼らの他の曲と同様にDan Pennがプロデュースを担当した。Cher、Kim Carnes、Luluをはじめ多数のアーティストにカバーされた曲。
7.「She Ain't Gonna Do Right」- Clarence Carterが決定的な名バージョンを手がけているが、Wilson Pickettも敬意に値するバージョンをレコーディングしている。
6.「You Left the Water Running」- 1966年にOtis Reddingが歌って大ヒットした曲。Flying Burrito Brothers、Huey Lewis、スウェーデンの轟音ギター・バンドHellacoptersなど多数のアーティストにカバーされている。
5.「Sweet Inspirations」- (邦題:「甘いひらめき」) - 1968年、Sweet Inspirationsのために作詞・作曲されヒット。1972年にはBarbara Streisandがカバーしている。他にもSupremes、Vonda Sheppard、Wilson Pickett、Derek Trucksなど多数アーティストによってレコーディングされた曲。
4.「Do Right Woman, Do Right Man」- (邦題:「女の定め/恋の教え」) - Aretha Franklinの1967年のヒット曲。ブルース、カントリー、R&Bバージョンで少なくとも12回はレコーディングされている。1991年に公開の映画『The Commitments(ザ・コミットメンツ)』にも起用された。
3.「Woman Left Lonely」- Janis Joplinが感情的歌い上げたバージョンは彼女の代表曲になった。Rita Coolidge、Irma Thomas、Charlie Rich、Cat Powerをはじめ、数多くのアーティストにカバーされている名曲。
2.「Dark End of the Street」- (邦題:「暗い街角」) - James Carrによる素晴らしいバージョンは1967年にチャート、トップ10にランクインする大ヒットになった。すでに50組以上のアーティストによってレコーディングされて、どのバージョンも甲乙つけがたい完成度だ。代表的な4曲は前述のJames CarrとGram Parsonのカントリー・バージョン、Ry Cooderの心をゆさぶるインストゥルメンタル・バージョン、ソウルの女王Aretha Franklinによる優れたブルース・バージョンで、これはDan Penn自身が最もお気に入りの曲だとコメントしている。
1.「I'm Your Puppet(邦題:恋のあやつり人形)」- James & Bobby Purifyによる1966年のヒット曲。Sam & Dave、Elton John、Dionne Warwick、Yo La Tengo、日本人ではGolden Cupsら多数のアーティストがカバー。歌詞では愛の虜になってしまった人物の心情が、シンプルだが感動的に描かれている。ダン・ペンの大半の作品に共通する、人間の心の琴線に触れる名曲。
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