Jeeptaが到達した、新たな出発点
◆Jeeptaライブ画像
Qwai、SPANK PAGEに続いてステージに現れたJeeptaは、フロアをぎっしり埋めたオーディエンスを前に、その歓声を引き裂く爆音でいきなり圧倒した。「LOOP」「CONTINUE」「シナリオ」と立て続けに演奏されたのは、彼らの初期の代表曲の数々。まだインディーズでデビューしたばかりの数年前、地元の稲毛や下北沢の小さなライブハウスでやっていた頃からまったく変わらない衝動と、その当時から比べて確実に太くへヴィになったサウンドが、凄まじい勢いで同時に押し寄せてくる。
最初のMC、フロアを見渡したヴォーカルの石井は「ステージに出てきた瞬間、久しぶりに鳥肌が立ちました」と、この日のステージに寄せていた特別な気持ちと、それを狂喜乱舞しながら全身で受け止めたオーディエンスの間に起こった化学反応を言葉にした。
続いて、2009年秋に新ドラマー小笠原を迎えた新生Jeeptaの産声とも言える最新シングル「日進月歩」に突入。言葉の一句一句をしっかりと噛みしめた後に思いっきり吐き出すような、独特のヴォーカルスタイルをもった石井の歌声が、胸に突き刺さる。空間を浮遊するフレーズを自由自在に繰り出すchoroのギター、まるで重戦車のような小笠原のドラム、そして汗だくになってステージを動き回り、会場全体をグルーヴに巻き込んでいくサトウのベース。音の一つひとつすべてに個性と必然性と驚きがある、これこそがJeeptaのサウンドだ。
「『日進月歩』とか『旅路』とか、進み続けることが僕らのテーマで。地元の千葉から始まって、東京でもライブをやれるようになって、こうした大きなハコでやれるようになって本当に嬉しいし、この道が間違ってなかったと思えるし、これからもそう言えるようにまだまだ頑張っていきたい」。
そんな石井のMCに続いて演奏されたのは、「日進月歩」のカップリング曲でもある「静」と「動」の両面性をもつJeeptaの「静」を象徴する名曲「向こう」。マイクがあるわけではないのに、サトウも小笠原も歌を口ずさんでいる。そんなステージ上の一体感も、インディーズ時代から変わらないJeeptaの魅力だ。
それにしても、改めて思うのは彼らのライヴ・パフォーマンスの、決してギターバンドの枠に収まりきらない自由さと破天荒さだ。お馴染みのスカート姿という衣装もユニークなギターchoroのステージアクションなどは、たとえば昭和の暗黒舞踏のような演劇界からの影響を感じさせるものだし、身長だけでなく手も足もやたらと長いヴォーカル石井の大きなアクションは、日本の他のロックバンドのヴォーカリストにはないダイナミズムに溢れている。
ライヴの終盤には「日進月歩」における進化をさらに研ぎ澄まさせたような新曲も飛び出したこの日の渋谷CLUB QUATTROでのリリースイベント。もちろんここはJeeptaの到達点ではなく、新しい出発点に過ぎない。そんなことを強く感じさせてくれる、大きな未来の可能性に満ちたライヴだった。
文:宇野維正
<Jeepta日進月歩 TOUR>
5月1日(土)
ARABAKI ROCK FEST.10
みちのく公園北地区エコキャンプみちのく
5月4日(火)
函館Club COCOA
5月5日(水)
札幌COLONY
5月7日(金)
仙台MACANA
5月8日(土)
新潟CLUB JUNK BOX MINI
5月12日(水)
高松DIME
5月13日(木)
京都MOJO
5月16日(日)
広島NAMIKI JUNCTION
5月18日(火)
福岡DRUM Be-1
5月20日(木)
長崎DRUM Be-7
5月21日(金)
熊本DRUM Be-9
5月28日(金)
下北沢CLUB 251
5月29日(土)
松山サロンキティ
7月16日(金)
名古屋SONSET STRIP
7月18日(日)
下北沢SHELTER
7月19日(祝月)
大阪2nd LINE
8月8日(日)
ROCK IN JAPAN FES. 2010
国営ひたち海浜公園