名指揮者クレンペラーの歴史的名盤がHQCDで発売

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現在でもクレンペラーの音楽を愛するファンは根強く、2009年末に発表された「レコード芸術」(音楽之友社:2009年12月号)誌上での『世界の名指揮者ベスト・ランキング』においてはフルトヴェングラー、トスカニーニ、カラヤン、バーンスタインといった大指揮者たちと並んで第7位にランクイン。同誌が1996年に実施したランキングでは11位であったことからすれば、近年ますますクレンペラー・ファンが増大しているとも言えそうだ。

クレンペラーの演奏の特色のひとつとして、アンサンブルや音色の美しさ、情緒的な美しさなど表面的な美しさより、むしろきっちりとしたテンポ感と作品の構築性を重視したゆるぎない演奏を実現した、作曲家でもあった彼の個性を反映させたものといわれている。

そんな演奏姿勢が十二分に発揮されたのがブルックナー作品で、ブルックナーの楽譜は様々な校訂版が存在するが、クレンペラーは自身の吟味により取捨選択して演奏しており、その点でも興味尽きない解釈として存在感を保っている。

このブルックナーに関しては、国内盤として入手が難しい音源ばかりが今回一斉に再登場することになり、クレンペラー・ファン、音楽ファンには見逃せない内容となっている。マーラーの直弟子としてクレンペラーの演奏は大きな存在感を持つが、マーラーの交響曲作品からクレンペラー自身が評価できたものを厳選したとされるレパートリー選択は、作曲家としての分析/評価に裏打ちされていると考えられ、マーラー生誕150年でもある本年、その重みをさらに増している。

HQCDでより高音質でよみがえったクレンペラーの名録音を是非堪能して欲しい。
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