KOTOKO、硬質なシンセサウンドのバックで変幻自在な歌声が揺れる4thアルバム『イプシロンの方舟(ふね)』大特集

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KOTOKO 『UZU-MAKI』以来約3年ぶり4thアルバム『イプシロンの方舟』特集

ε=イプシロン=ギリシャ文字のE・e 神秘的な名を持つ方舟に乗って KOTOKOが宇宙に飛び出す

KOTOKO史上もっとも大規模なライブハウス・ツアー『WARP!! ~限界打破への旅 - trial stage~』の最中に制作された、実に3年振りのオリジナル・フルアルバム『イプシロンの方舟(ふね)』が遂に完成。自分のスタイルを見つめ直し生み出された本作は、重厚なデジタル・サウンドが縦横無尽に漲る壮大なコンセプトを持ったアルバムに仕上がっている。新たな世界への旅立ちを高らかに宣言したKOTOKOに、キミはついて来れるだろうか?

INTERVIEW

今年は攻めの姿勢を崩したくなかった

――そのイメージとコンセプトを先に形作って、アルバムを制作したわけですね。

KOTOKO: そうです。だからこのアルバムのタイトル曲にあたる「ε~Epsilon~」は、「宇宙船のコクピットに私が乗り込んでいるイメージで、窓の外を無数の隕石や星が流れていくような、疾走感のある曲がいい」ということを高瀬さんに伝えて作ってもらったんです。

――このアルバムにかけた意気込みが伝わってきますね。

KOTOKO: やっぱり久しぶりのフルアルバムということで、新しい自分をここで突き詰めたい! という強い思いがあったからですね。だから、今まで以上に尖ったサウンドのデジタル・ロックに挑戦したかったんです。実は去年の段階で、高瀬さんは「KOTOKOちゃんの次のアルバムはアコースティックな感じかな」と話していたんですよ。でも、なぜそっちの方向性に行かなかったのかというと、今年は攻めの姿勢を崩したくなかったからです。だから、バラードも今回は一切ありません。まず最初に描いた「ブラックホールを抜け宇宙空間をひたすら前進する」というイメージを尊重した勢いのあるのアルバムにしたかったので、シングルでリリースされている曲や私が書き溜めている曲はひとまず置いておいて、私が描いている、欲しいと思った曲をI'veの作家陣に依頼をして作ってもらったという感じなんですよ。かなり長い文章で思いのたけをお伝えしてあったんですが、出来上がってきた曲はどれも、私の思いを吟味してくれているな~という曲ばかりで、感動しました! おかげで、今まで以上に焦点の定まった、重厚なアルバムを作ることができたと思っています。

――KOTOKOさんと言えば、これまでは楽曲ごとに歌唱法を変えていくスタイルがひとつの武器でもあったわけですが、そこを今回は封印するような……?

KOTOKO: 楽曲に込めた思いはそれぞれ違うので、そこで楽曲の雰囲気は変わってくるとは思うのですが、最終的に伝えたいことは一つしかない、というイメージですね。確かに、私の武器はいろいろな音楽性を乗りこなしていくバラエティ感だとは思っているんですが、今回それは二の次で、まずは方舟が向かっていく方向性を尊重しなければ、テーマがぶれてしまうんですよね。だから、シングル楽曲でもこのアルバムの雰囲気に合わないものは収録していません。だから最初はぜひランダム再生はせず、最初から最後まで通して聴いて楽しんでもらいたいですね。そうすればきっと、このアルバムがなぜこういうアートワークで、どういうメッセージを込めて作られたアルバムなのかが伝わると思うので。ジャケットや歌詞カードに写真が一切無くイラストのみというのも、私の意志を汲んでいただいての挑戦なんです。パッケージを見ただけでアルバムのイメージが伝わるというものにしたくて。だからジャケットが気に入って手に取った・・・なんていう人が居てくれたりすると嬉しいですね。

――強い意志と覚悟で纏められた素晴らしいアルバムだということが、改めて良くわかりました。

KOTOKO: ありがとうございます! 早くこのアルバムに、ファンのみんなと一緒に乗り込みたいですね。

――こういう作品をリリースした後だと、この世界観が反映されたライブが気になるのですが……。

KOTOKO: もちろん! そこまで考えた上でのアルバムなんです。このアルバムに到るまでに、すごく悩みました。振り返ることなくずっと走り続けてきて、いろいろなことに挑戦はしてきたけど、ふと「このままで本当にいいのだろうか?」と思った時に、自分のスタイルをもう一度見つめ直した上で次のステージへ進んで行きたいと思ったんです。こうしてアルバムでは今の思いを精一杯表現することが出来たので、今度はライブでも、ひとつ明確な方向性を示すようなものをお見せできればなと考えています。びっくりしたり違和感を感じる人もいるかもしれないですが、臆病になることなく新たなスタイルに挑戦していきたい。それが今私の考える“限界打破”ですね。

 
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