阿部真央、体内より湧き上がる生々しい感情を歌う2ndシングル「貴方の恋人になりたいのです」リリース大特集

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阿部真央 2ndシングル「あなたの恋人になりたいのです」リリース大特集
強くも弱くもない
ただ溢れる想いがあるだけ
それを貴方に伝えたくて
私は歌い続けるのです

――(笑)。ちなみに、「夏は貴方と落ち合って一緒に花火が見たいです」と歌っていますが、花火は見られたんですか?

阿部:花火は、見られなかったんです。

――次第に「秋のにおい」がしてきてしまっていますよね。

阿部:うん。結局、何もなかったんですよね、この時の夏は……。

――「決して派手な恋じゃなくていいから、」という一節が最後にありますが、恋愛に派手さは求めない?

阿部:必要ないです。ドラマチックな恋愛とか、デンジャラスな恋愛とか求めないし、金品を求めることもないし(一同笑)。“ただ一緒にいられれば良い”派ですよ、私は。

――なるほど(笑)。この曲は曲が進むにつれて荘大なアレンジになっていきますが、作曲された時からこういう構成で?

阿部:そうですね。だから逆に、原曲の持っていたイメージを壊さないようにアレンジしてもらいました。なるべく私の素に近い声になるように、コーラスを重ねたりもしていなくて。

――そして、カップリングの「マージナルマン」がヤバイくらいにカッコいい。こういう変拍子を使った、奇妙な魅力を持った曲まで書けるんだなって、正直に驚いてしまって。

阿部:これは高校2年の時に書いたんですよね。作った時から変拍子も入っていたし、ほとんど構成は変わらないです。

――すごい。アレンジもすごくシンプルだけど、ヒリヒリとした剥き出しの生々しさが歌にありますよね。阿部さんは、自分のことを“マージナルマン(訳:境界人 ※境界線上に立つ、どこにも属さない人)”だと思いますか?

阿部:高校生の頃は自分のことを“マージナルマンだ”と思っていたんですけど、今は“マージナルマンでいたい”と思っています。大人になると、どこかに所属しないといけなくなってくるじゃないですか。日本ってカテゴリーの社会だから。

――ミュージシャンだったら“○○系”って言われるようになったり?

阿部:そうそうそう。なんだかな~って感じですよね(苦笑)。ちなみに、この曲のテーマは“ゆとり教育”ってやつなんですよ。

――ですよね。“ゆとり教育”に対するアンチのメッセージが、すごく出てる。

阿部:そうなんです。自主性を教わる前に自主性を重んじろと言われ、振り回された揚句に、みんな居場所がなくなっている。私たちみたいな“ゆとり世代”と呼ばれる人達は、実験に使われたようなものなので。

――こういうアンチな姿勢って、上の世代が「だから最近の“ゆとり”は!」なんて揶揄することが多かったわけですが、若い世代からアンチが出てくることって、今までほとんどなかったと思うんです。

阿部:問題点に気付けていない若い人が多いからだと思う。もちろん、気付いて反抗している人も中にはいたけど、何も疑問に思わずに流されていく人が多かった。結果、無感情で無気力な人が増えたように感じるんですよね。だから、今の若い人たちはそこに気付いてほしいというメッセージもあるし、届かないかもしれないけど、私たちを振り回し続けた上の方にいる人たちに、この歌を聴かせてやりたいと思って(笑)。届いたらいいなぁ。

――その通りですね。さて、最後の曲「会いたいよ」ですが、この曲は今までの曲の中でも一番シンプルですよね。これはアコースティック・ギター1本録り?

阿部:そうです。“心の遠距離”みたいなテーマを歌ってみました。男の人って、付き合っていくうちに段々と彼女に割く時間が減っていくじゃないですか。あと、愛を確認する言葉も減っていくし。その寂しさを歌にしてみました。

――「あなたは全然寂しくなさそうなの」とか「ねぇ何故、そんなに大人なの?」なんて歌詞が並んでいて。あるなぁ、なんて思ってすごくドキドキしました(笑)。

阿部:あはははは(笑)。きっと男女で、求めているものが変わってくるからだと思うんですよ。与えるのも受け取るのも同じ比率でずーっと付き合っていくのって、実際はすごく難しいと思う。最近はそこに納得し始めてはいるんだけど、でも純粋な気持ちとしては、「なんで?」ってやっぱり思っちゃうな(笑)。

――そういうピュアな思いが溢れていて、すごく切なくて、すごく美しい曲です。さて、今回はとても生々しい魅力を持った3曲になりましたが、どのように味わってもらいたいですか?

阿部:どうぞ、自由に聴いてください。ただ私の中では、本当に大好きな3曲です。なので、気に入ってもらえたら、あなたのお側に置いてあげてください。

取材・文●冨田明宏

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