マッドチェスター生みの親、トニー・ウィルソン死去

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8月10日(金)、ジョイ・ディヴィジョンやハッピー・マンデーズらを世に送り出したファクトリー・レコーズの創立者の1人、トニー・ウィルソンが心臓発作のため亡くなった。57歳だった。

80年代終わりから90年代初めにかけて巻き起こった“マッドチェスター”ムーヴメント。その中心地となったナイトクラブ、ハシエンダの創始者でもあるウィルソンは、ケンブリッジ大学卒業後、グラナダ・テレビジョンやBBCのニュース・リポーターとして活躍。その後、音楽番組のプレゼンターを務めた後、ファクトリー・レコーズやハシエンダを設立し、マンチェスターのミュージック・シーンの裏の立役者となった。

“ミスター・マンチェスター”とも呼ばれた彼のマッドチェスター時代の姿は、映画『24 Hour Party People』の中でも描かれている。

ウィルソンは昨年、腎臓ガンを診断され、ひと月3,500ポンド(約75万円)かかる薬(Sutent)を服用するよう勧められたが、NHS(National Health Service/国民保険サービス)はこの費用を負担することを拒否。代わりにハッピー・マンデーズの元マネージャーや彼と親しくしていたバンド、友人たちが治療費を援助していた。

BBCラジオ・マンチェスターのプレゼンターは、「No Tony Wilson, No Manchester music scene(トニー・ウィルソンがいなければ、マンチェスターのミュージック・シーンはなかった)」との的確なコメントを発し彼を追悼している。

Ako Suzuki, London
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