増田勇一のライヴ日記【2】2007年5月19日(土)The DUST 'N' BONEZ@新宿MARZ
週末の歓楽街にはできれば出掛けたくないほうなのだが、この夜はThe DUST 'N' BONEZ(ザ・ダストゥンボーンズ:通称ダスボン)を観るために酔っ払いどもをかきわけながら歌舞伎町のライヴハウスへ。
アタマを3つ持った怪獣『キングギドラ』をイベント名に冠していることからもわかるように、彼らとMADBEAVERS、TRANSTIC NERVEによる三つ巴の激突をメインとしつつ、さらに2組のオープニング・アクトを据えた長丁場のライヴだったのだが、諸事情により途中から参戦。トリを務めたダスボンのみを観た。
まだこのバンドの素性についてご存じない読者も多いと思うので簡単に紹介しておくと、The DUST 'N' BONEZは2004年生まれのロックンロール・バンド。メンバーは森重樹一(vo)、坂下丈朋(g)、戸城憲夫(b)、満園英二(ds)の4人。森重は現在もZIGGYのフロントマンという肩書きを持ち、そのZIGGYの元メンバーである戸城は同バンドに多数の名曲を残してきた人物。そして“戸城が曲を書き、森重が歌う”という構図をさらに強力なものにしているのが元SADSの坂下と満園というわけだ。
この顔ぶれから予想されがちなのは、たとえばバッドボーイズ・ロックンロールと形容されるような音だったりするだろうし、彼ら自身もそうしたカテゴライズに否定的ではないはずだ。が、大事なのは、彼らがロックの不良少年的美学に甘えた雰囲気モノのバンドではなく、生半可なバンドには真似のできない説得力にあふれた演奏を聴かせてくれるツワモノたちだという事実。技術もセンスもバランス感覚も持ち合わせたうえで、カッコいいロックンロールを聴かせてくれるところが最大の魅力なのだ。
たとえば今の音楽シーンのなかで、彼らに近いことを成立させているバンドがいるとすれば、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーくらいしか僕には思いあたらない。さらに暴言を吐いてしまえば、彼らの楽曲がヴェルヴェット・リヴォルヴァーのそれに劣っているとは、僕には思えない。
この夜のライヴも強烈だった。説明が遅くなったが、これはMADBEAVERSとのカップリングで行なわれてきた全国ツアーの“番外編”的な公演でもあった。そしてツアー前に肩を骨折した坂下の負担を軽減すべく、彼らはツアーの全工程についてサポート・メンバーに石井ヒトシ(THE SLUT BANKS、BAD SiX BABiESでの戸城の盟友)を迎えての5人編成で臨んだのだが、この夜もそのプレミアムな編成での演奏となった。
演奏開始当初こそサウンド面での問題が若干あり、森重のヴォーカルが聴こえにくい部分があったが、音のバランスがどうのとか指摘する気が失せるほどに、音の洪水が心地好かった。整合感があるのに行儀良くまとまりすぎず、ものすごい音圧なのに切れ味が失われていない。めちゃくちゃアグレッシヴなのに、歌が、メロディがしっかりと届いてくる。しかもステージ上に居並ぶのは、ロック・バンドにとって本来欠かせない要素であるべき“見た目の説得力”をも持ち合わせたメンバーたち。そんな連中のライヴが良くないはずがない。結果、狭すぎるMARZのフロアで汗をかきまくった僕は、終演後にはエンドレスにビールを呑み続け、夜の街に相応しい酔っ払いの一人になっていた。
平均年齢はしっかり40歳を超えていたりもするダスボン。しかし彼らはロックンロールにしがみついているわけじゃなく、ロックする必然を持っているからこそ転がり続けているのである。是非一度、ライヴに足を運んでみることをお勧めしたい。敢えて言えば、いわゆる純粋な音楽ファンだけじゃなく、本物のロックを聴かせてくれるバンドを欲している関係者の皆様に対しても。
ちなみに次回のライヴは5月26日(土)、横浜アリーナ・サウンドホールにて。共演は夜叉、そしてなんと、EARTHSHAKERである。
文●増田勇一
■オフィシャルページ
http://www.dustnbonez.jp/
アタマを3つ持った怪獣『キングギドラ』をイベント名に冠していることからもわかるように、彼らとMADBEAVERS、TRANSTIC NERVEによる三つ巴の激突をメインとしつつ、さらに2組のオープニング・アクトを据えた長丁場のライヴだったのだが、諸事情により途中から参戦。トリを務めたダスボンのみを観た。
まだこのバンドの素性についてご存じない読者も多いと思うので簡単に紹介しておくと、The DUST 'N' BONEZは2004年生まれのロックンロール・バンド。メンバーは森重樹一(vo)、坂下丈朋(g)、戸城憲夫(b)、満園英二(ds)の4人。森重は現在もZIGGYのフロントマンという肩書きを持ち、そのZIGGYの元メンバーである戸城は同バンドに多数の名曲を残してきた人物。そして“戸城が曲を書き、森重が歌う”という構図をさらに強力なものにしているのが元SADSの坂下と満園というわけだ。
この顔ぶれから予想されがちなのは、たとえばバッドボーイズ・ロックンロールと形容されるような音だったりするだろうし、彼ら自身もそうしたカテゴライズに否定的ではないはずだ。が、大事なのは、彼らがロックの不良少年的美学に甘えた雰囲気モノのバンドではなく、生半可なバンドには真似のできない説得力にあふれた演奏を聴かせてくれるツワモノたちだという事実。技術もセンスもバランス感覚も持ち合わせたうえで、カッコいいロックンロールを聴かせてくれるところが最大の魅力なのだ。
たとえば今の音楽シーンのなかで、彼らに近いことを成立させているバンドがいるとすれば、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーくらいしか僕には思いあたらない。さらに暴言を吐いてしまえば、彼らの楽曲がヴェルヴェット・リヴォルヴァーのそれに劣っているとは、僕には思えない。
この夜のライヴも強烈だった。説明が遅くなったが、これはMADBEAVERSとのカップリングで行なわれてきた全国ツアーの“番外編”的な公演でもあった。そしてツアー前に肩を骨折した坂下の負担を軽減すべく、彼らはツアーの全工程についてサポート・メンバーに石井ヒトシ(THE SLUT BANKS、BAD SiX BABiESでの戸城の盟友)を迎えての5人編成で臨んだのだが、この夜もそのプレミアムな編成での演奏となった。
演奏開始当初こそサウンド面での問題が若干あり、森重のヴォーカルが聴こえにくい部分があったが、音のバランスがどうのとか指摘する気が失せるほどに、音の洪水が心地好かった。整合感があるのに行儀良くまとまりすぎず、ものすごい音圧なのに切れ味が失われていない。めちゃくちゃアグレッシヴなのに、歌が、メロディがしっかりと届いてくる。しかもステージ上に居並ぶのは、ロック・バンドにとって本来欠かせない要素であるべき“見た目の説得力”をも持ち合わせたメンバーたち。そんな連中のライヴが良くないはずがない。結果、狭すぎるMARZのフロアで汗をかきまくった僕は、終演後にはエンドレスにビールを呑み続け、夜の街に相応しい酔っ払いの一人になっていた。
平均年齢はしっかり40歳を超えていたりもするダスボン。しかし彼らはロックンロールにしがみついているわけじゃなく、ロックする必然を持っているからこそ転がり続けているのである。是非一度、ライヴに足を運んでみることをお勧めしたい。敢えて言えば、いわゆる純粋な音楽ファンだけじゃなく、本物のロックを聴かせてくれるバンドを欲している関係者の皆様に対しても。
ちなみに次回のライヴは5月26日(土)、横浜アリーナ・サウンドホールにて。共演は夜叉、そしてなんと、EARTHSHAKERである。
文●増田勇一
■オフィシャルページ
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