【ライヴレポート】SADS、限定復活<1999-2003>初日公演「ロックに、音楽に、美学に年齢関係ありません。踊り狂ってください」

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2024年6月29日、東京・Zepp Hanedaにて、清春(Vo)率いる初期SADSが約20年ぶりにロックンロールの神髄を轟かせた。<SADS 1999-2003>の名のもとに集結したのは、SADS結成時からのメンバーである坂下丈朋(G)、結成1年目から加入の小林勝(B)、そして現在、小林と活動を共にする照井仁(Dr)という布陣だ。<SAD ASIAN DEAD STAR>と銘打たれたこの日の公演は、当然のように超満員。場内には、開演前から興奮と緊張の入り混じったような熱気が充満していた。

◆SADS 画像

今回のSADS再結成は計3日間の限定復活であり、2024年にデビュー30周年を迎えた清春のツアー<清春 debut 30th anniversary year TOUR 天使ノ詩 『NEVER END EXTRA』>の中に組み込まれた形だ。翌日6月30日は同会場で<SADS 1999-2003>がアルバム『THE ROSE GOD GAVE ME』(2001)、『“ ”(untitled)』(2002)、『13』(2003)からなる公演を披露する。さらに、SADSのデビュー記念日である翌週7月7日は、K-A-Z(G)、YUTARO(B)、GO(Dr)という顔ぶれの<SADS 2010-2018>が東京・GARDEN 新木場 FACTORYにて<GOTHIC CIRCUS>と題し、アルバム『THE 7 DEADLY SINS』(2010)、『Lesson 2』(2010)、『FALLING』(2018)から成る公演を開く。限定復活3日間のセットリストに被り曲がないことも重要な点だ。


迎えた初日6月29日は、アルバム『SAD BLOOD ROCK'N'ROLL』(1999)、『BABYLON』(2000)という初期傑作からセットリストが組まれることが予告されていた。特筆すべきは、ライヴの定番曲はもちろん、長らく封印状態にあった名曲の数々が惜しみなく披露されたことだ。しかも、このメンバーならではの強靭なグルーヴが味わえるという喜び。曲のイントロが鳴るたびに、オーディエンスがたとえようもない熱狂で応えていた様子が忘れられない。期待の遥か上を行く毒と華のロックンロールがそこにはあった。

定刻の午後6時半を少し回った頃、唐突客電が落ちた。SEが鳴り、メンバーが姿を現わすと、狂ったような歓声があちこちから飛ぶ。<SADS 1999-2003>が、この特別な夜の幕開けに選んだのは「TRIPPER」だ。華々しい爆音がフロアの隅々まで広がっていく。続く「LIAR」が炸裂すると、場内はさらに揉みくちゃになっていた。




この20年間、各ミュージシャンがそれぞれの場で培ってきた経験と技量がSADSの名曲群に説得力を持たせたうえ、現在の清春の圧倒的な存在感が加わるのだから、たまらない。本編中盤、坂下、小林、照井の各プレイヤーに設けられたソロタイムからも、確かな技量と大人の遊び心が感じられた。

「ストロベリー」で甘美な揺れ心地を味わった後は、清春がアコースティックギターをかき鳴らして歌う「忘却の空」だ。「日本の代表的なロックソング」と彼が紹介したこの名曲が、他でもない、このメンバーで奏でられることが感慨深い。


印象的な場面は山ほどあるが、「アジト」「LATE SHOW」「Feeling High & Satisfied」と続いたブロックなどは、豊潤なメロディと極上のグルーヴが溶け合い、大人の色気を存分に感じさせるひと時だった。

本編の最後を「Liberation」「STUCK LIFE」で畳みかけて絶頂に達すると、まだまだ飢えているオーディエンスから熱狂的な声が飛ぶ。この特別な宴がここで終わるはずもなく、アンコールへと突入。


まずは清春、坂下、小林の3人が趣深いアコースティックアレンジで聴かせる「憂鬱という名の夢」が観客の視線を釘付けにした。続いて、清春が弾き語り風に「TOKYO」を歌い出すと、悲鳴にも似た声がフロアのあちこちから聴こえてきた。久々に飛び出したSADSの1stシングルも、オーディエンスが感情を大きく揺さぶられた場面の一つだろう。ライヴのどこを切り取っても、この場に居合わせたことの幸運を感じざるを得ない選曲だった。

アンコールの最後、「突っ込め!突っ込め!」の清春の扇動を合図に、「CRACKER’S BABY」が炸裂。すべての演奏を終えた清春、坂下、小林、照井の4名が横一列に並び、満面の笑みで観客の声に応える頃、時計の針は午後9時45分を指していた。


初期SADSをリアルタイムで体感した者はもちろん、当時の姿を未体験だった者も新鮮な感動を覚えたことだろう。“遂にあの曲が生で聴けた!”という喜びは非常に大きかったはず。そして、SADSには、聴く者の感情を激しく揺さぶる名曲が無数にあることが、改めて証明されたと言い換えることもできる。

「時代に合わせることなく、関係なく、残りの人生を生きていこうと思います」
「15、16、17、18(歳)に聴いてヤバいと思ったものを大事にしてください」
──清春

今夜の清春の口からも数々の名言が飛び出したわけだが、彼が<SADS 1999-2003>を心の底から楽しんでいることがよく伝わってきた。

それにしても2024年に物凄いものを観た。世に数多あるリユニオンの中でも、特に印象深い事件のひとつと言える。デビュー30周年、清春を信じてきたファンに向けての忘れられない贈り物。<SADS 1999-2003>が生み出す極上のロックンロールに衝撃を受けた夜だった。

取材・文◎志村つくね
撮影◎森 好弘

■<SADS 1999-2003「SAD ASIAN DEAD STAR」>2024年6月29日(土)@東京・Zepp Haneda セットリスト

01. TRIPPER
02. LIAR
03. DISCOVER
04. HONEY HONEY
05. CRISIS
06. Smash It Up
07. Drum Solo
08. Bass Solo
09. Guitar Solo
10. ストロベリー
11. 忘却の空
12. アジト
13. LATE SHOW
14. Feeling High & Satisfied
15. DARLIN'
16. Liberation
17. STUCK LIFE
encore
18. 憂鬱という名の夢
19. TOKYO
20. Mr.『YA』
21. SANDY
22. HAPPY
23. CRACKER'S BABY

■清春デビュー30周年記念WOWOW特集

▼<SADS 1999-2003「SAD ASIAN DEAD STAR」>
10月放送/配信予定
※放送/配信終了後~ WOWOWオンデマンドでアーカイブ配信あり
※1999年に結成したSADSの6年ぶり限定復活公演3daysより、初期メンバーが約20年ぶり集結の2days
出演:SADS
清春(Vo)、坂下丈朋(G)、小林勝(B)、照井仁(Dr)
収録日:2024年6月29日、30日
収録場所:東京・Zepp Haneda

▼<SADS Music Video Collection>
11月放送/配信予定
※SADS限定復活による最新ライブ独占放送を記念して、ヒストリーをたどるMVを一挙放送

■<debut 30th anniversary year TOUR 天使ノ詩『NEVER END EXTRA』>


03月25日(月) 東京・代官山UNIT
04月11日(木) 東京・Shibuya Pleasure Pleasure
04月25日(木) 東京・Shibuya Pleasure Pleasure
04月28日(日) 神奈川・横浜BayHal
04月29日(月/祝) 大阪・SHANGRILA
05月04日(土/祝) 東京・Veats Shibuya
05月06日(月/祝) 神奈川・Billboard Live Yokohama
05月17日(金) 大阪・Billboard Live Osaka
05月24日(金) 東京・Billboard Live Tokyo
06月08日(土) 静岡・浜松Live House窓枠
06月09日(日) 岐阜・Club Roots
06月15日(土) 山梨・KAZOO HALL

▼<SADS 1999-2003>
06月29日(土) 東京・Zepp Haneda
06月30日(日) 東京・Zepp Haneda
▼<SADS 2010-2018>
07月07日(日) 東京・GARDEN新木場FACTORY

07月13日(土) 愛知・名古屋BOTTOM LINE
07月14日(日) 三重・M‘AXA
07月20日(土) 石川・金沢EIGHT HALL
07月27日(土) 茨城・水戸LIGHT HOUSE
08月03日(土) 宮城・仙台darwin
08月10日(土) 千葉・柏PALOOZA
08月11日(日) 千葉・柏PALOOZA
08月17日(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心
08月18日(日) 埼玉・HEAVEN’S ROCKさいたま新都心
08月24日(土) 北海道・札幌PENNY LANE24
08月31日(土) 長野・CLUB JUNK BOX
09月05日(木) 東京・新宿ReNY <ReNY 10th Anniversary>
09月08日(日) 栃木・HEAVEN‘S ROCK宇都宮VJ-2
09月14日(土) 岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
09月15日(日) 兵庫・KOBE太陽と虎
09月22日(日) 和歌山・CLUB GATE
09月23日(月/祝) 大阪・OSAKA ESAKA MUSE
09月28日(土) 青森・Quarter
09月29日(日) 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
10月05日(土) 大阪・難波Yogibo META VALLEY
10月06日(日) 静岡・LIVE ROXY SHIZUOKA
10月12日(土) 滋賀・U★STONE
10月13日(日) 京都・KYOTO MUSE
10月27日(日) 東京・恵比寿ザ・ガーデンホール <The Birthday>
10月30日(水) <FC INOS MEMBERS ONLY>
11月03日(日) 茨城・水戸LIGHTHOUSE
11月04日(月/祝) 茨城・水戸LIGHTHOUSE
11月08日(金) 愛知・名古屋MUSIC FARM
11月09日(土) 愛知・名古屋MUSIC FARM
11月10日(日) 愛知・名古屋MUSIC FARM
11月16日(土) 群馬・HEAVEN‘S ROCK熊谷
11月17日(日) 群馬・HEAVEN‘S ROCK熊谷
11月23日(土) 神奈川・横浜BayHall

▼<清春+Boris「Heavy Rock Breakfast Japan Tour 2024」>
11月30日(土) 神奈川・川崎SUPERNOVA
12月01日(日) 神奈川・川崎SUPERNOVA
12月04日(水) 大阪・Shangri-la

12月14日(土) 愛媛・松山WstudioRED
12月15日(日) 香川・高松MONSTER
12月21日(土) 福岡・BEAT STATION
12月22日(日) 鹿児島・CAPARVO HALL
12月29日(日) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
12月31日(火) 愛知・名古屋ダイアモンドホール
▼2025年
01月08日(水) 東京・新宿LOFT
01月12日(日) 大阪・GORILLA HALL

▼<黒夢>
02月09日(日) 東京ガーデンシアター

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