<FRF'05>再結成ダイナソーJr.にオルタナの真髄を観る!
現代のアメリカン・オルタナティヴ・シーンの礎を築いたグランジ・ムーブメント。もはや伝説となったニルヴァーナの大ブレイクをキッカケに、ソニック・ユースやパール・ジャムといった関連バンドが芋づる式に注目されていった。ダイナソーJr.も、そんなグランジ・ムーブメントの中で注目されたバンドのひとつで、カート・コバーンが影響されたバンドとして再評価されることとなった。その頃のバンド・メンバーは、フロントマンのJ.マスシスは健在であるものの、オリジナル・ベーシストのルー・バーロウはすでに脱退しておりセバドーのメンバーとして認知されていた。その後、オリジナル・ドラムスのマーフも脱退してしまったので、『GREEN MIND』や『Where You Been』から彼らを知ったグランジ以降のファンにすれば、オリジナル・ダイナソーというのはもはや伝説の領域。今回のオリジナル・メンバーでの来日は、ファンにとっては奇蹟といっても差し支えない出来事だったはずだ。
そんなダイナソーが出演したのは、注目アーティストが多いフジロックの中でも軒並みグッド・アーティストが揃った2日目。クラムボンの素晴らしすぎるライヴの余韻を引きずりながら(ライヴ・レポを後日アップ予定)、GREEN STAGEのBECKを横目に観つつWHITE STAGEへ移動することにした。2日目はライヴの始まる昼頃から豪雨が降りしきり、地面はもはや溶けたチョコレートのような状態。そんな悪環境のため、ステージ間の移動も一苦労だ。雨と泥の地面に体力を奪われつつ、ようやくWHITE STAGEへ到着する。ざっと辺りを見回すと、やはり若干年齢層は高めで、男子の姿が目立つ。やはりダイナソーは男受けするんだなぁと、妙に納得してしまった。
1stアルバムに収録された「GARGOYLE」からショウは始まった。長らく降り続いた雨で冷やされたオーディエンスたちの体も一気にヒート・アップした様子で、皆がこの再結成をいかに待ち望んでいたのかを物語る盛り上がり方だった。オリジナル・メンバーのダイナソーを観るのは筆者ももちろん初めてなのだが、これがもうとにかく理屈抜きでカッコいいのだ。J.は相変わらずクールで淡々と演奏し、それとは対照的なルーはアグリッシヴでハードなパフォーマンスを見せてくれる。しかし、両者はともに強烈に高いテンションを共有しており、それをドラムのマーフが受け止め、高次元のバンド・サウンドに昇華していた。ダイナソーといえばの、J.マスシスのダルなヴォーカルは相変わらずで、ノイジーかつメロディアスなギターも健在! 要するにダイナソーは、何年月日が経過しようともまったく変わらないのだ。ニルヴァーナやマイブラなど数多くの重要なバンドに多大すぎる影響を与えたこの3人は、常にワン・アンド・オンリー。彼らは演奏の上手い下手とか、曲のクオリティがどうこうということではなく、オリジナルだけが持つことのできる究極の存在感を持っていたのだ。ぼくはこのステージを観て彼らがアメリカン・オルタナティヴの源流の一端を担っていることを確信した。彼らがいなければ、前述のバンドたちがあのような音楽をプレイすることは決してなかったはずだ。
まぁ、偉そうに小難しく書いたが、要はとにかくカッコよかったということ。是非、このメンバーで新作を録音し、再びあの最高にヤバいライヴを披露して欲しい、そして、多くの人にあの強烈なエネルギーを感じて欲しい。そんな風に思った。
ライヴが終わった頃、雨は信じられない豪雨となっていた。しかし、ぼくは胸が異様に熱く高鳴っていたことをよく覚えている。
取材・文●宮崎敬太
Photo/Barks
Dinosaur Jr.
2005/7/30 WHITE STAGE
セットリスト
GARGOYLE(1stアルバム『Dinosaur』)
KRACKED(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
NO BONES(3rdアルバム『Bug』)
RAISANS(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
BULBS OF PASSION(1stアルバム『Dinosaur』)
FORGET THE SWAN(1stアルバム『Dinosaur』)
LITTLE FURY THINGS(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
BUDGE(1stアルバム『Dinosaur』)
TARPIT(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
THE LUNG(1stアルバム『Dinosaur』)
FREAK SCENE(3rdアルバム『Bug』)
JUST LIKE HEAVEN(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
SLUDGE(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
CHUNKS(1stアルバム『Dinosaur』)
BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000001735
そんなダイナソーが出演したのは、注目アーティストが多いフジロックの中でも軒並みグッド・アーティストが揃った2日目。クラムボンの素晴らしすぎるライヴの余韻を引きずりながら(ライヴ・レポを後日アップ予定)、GREEN STAGEのBECKを横目に観つつWHITE STAGEへ移動することにした。2日目はライヴの始まる昼頃から豪雨が降りしきり、地面はもはや溶けたチョコレートのような状態。そんな悪環境のため、ステージ間の移動も一苦労だ。雨と泥の地面に体力を奪われつつ、ようやくWHITE STAGEへ到着する。ざっと辺りを見回すと、やはり若干年齢層は高めで、男子の姿が目立つ。やはりダイナソーは男受けするんだなぁと、妙に納得してしまった。
1stアルバムに収録された「GARGOYLE」からショウは始まった。長らく降り続いた雨で冷やされたオーディエンスたちの体も一気にヒート・アップした様子で、皆がこの再結成をいかに待ち望んでいたのかを物語る盛り上がり方だった。オリジナル・メンバーのダイナソーを観るのは筆者ももちろん初めてなのだが、これがもうとにかく理屈抜きでカッコいいのだ。J.は相変わらずクールで淡々と演奏し、それとは対照的なルーはアグリッシヴでハードなパフォーマンスを見せてくれる。しかし、両者はともに強烈に高いテンションを共有しており、それをドラムのマーフが受け止め、高次元のバンド・サウンドに昇華していた。ダイナソーといえばの、J.マスシスのダルなヴォーカルは相変わらずで、ノイジーかつメロディアスなギターも健在! 要するにダイナソーは、何年月日が経過しようともまったく変わらないのだ。ニルヴァーナやマイブラなど数多くの重要なバンドに多大すぎる影響を与えたこの3人は、常にワン・アンド・オンリー。彼らは演奏の上手い下手とか、曲のクオリティがどうこうということではなく、オリジナルだけが持つことのできる究極の存在感を持っていたのだ。ぼくはこのステージを観て彼らがアメリカン・オルタナティヴの源流の一端を担っていることを確信した。彼らがいなければ、前述のバンドたちがあのような音楽をプレイすることは決してなかったはずだ。
まぁ、偉そうに小難しく書いたが、要はとにかくカッコよかったということ。是非、このメンバーで新作を録音し、再びあの最高にヤバいライヴを披露して欲しい、そして、多くの人にあの強烈なエネルギーを感じて欲しい。そんな風に思った。
ライヴが終わった頃、雨は信じられない豪雨となっていた。しかし、ぼくは胸が異様に熱く高鳴っていたことをよく覚えている。
取材・文●宮崎敬太
Photo/Barks
Dinosaur Jr.
2005/7/30 WHITE STAGE
セットリスト
GARGOYLE(1stアルバム『Dinosaur』)
KRACKED(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
NO BONES(3rdアルバム『Bug』)
RAISANS(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
BULBS OF PASSION(1stアルバム『Dinosaur』)
FORGET THE SWAN(1stアルバム『Dinosaur』)
LITTLE FURY THINGS(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
BUDGE(1stアルバム『Dinosaur』)
TARPIT(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
THE LUNG(1stアルバム『Dinosaur』)
FREAK SCENE(3rdアルバム『Bug』)
JUST LIKE HEAVEN(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
SLUDGE(2ndアルバム『You're Living All Over Me』)
CHUNKS(1stアルバム『Dinosaur』)
BARKS夏フェス特集2005
https://www.barks.jp/feature/?id=1000010016
FUJI ROCK FESTIVAL '05特集
https://www.barks.jp/feature/?id=1000001735
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