ニュース・最新情報

プロフィール・バイオグラフィ・リンク

ロックが何よりも希求する方程式のひとつ、ニッケルを美しき黄金へと変身させる術――を心得た、音楽の錬金術師集団。Sonic Youthの魔法とは、ギターのそれである。かき鳴らし、轟かせ、歪ませ、Jon Cageばりにチューニングをずらし、ヴァイオリンのボウを使い、ドラムのように叩き、スクリュードライヴァーまで使って奏でるギター。

加えて、バンドの持つ怖さ、穏やかさ、パンキッシュな意思の強さが積極的に絡み合ったところに、ギターロック最後の真の反逆児ぶりをうかがわせる。

ギタリストのThurston Moore、Lee Renaldo、そしてベーシストのKim Gordonは、'81年、ニューヨークでグループを結成(Steve Shelleyは'85年、短期採用のドラマーがひとしきり続いた後に加入)。Glenn Branca率いる“12本のギターによる新種の交響楽”に師事する下町の弟子たち、とでもいうべきSonic Youthは、エレクトリックギターにまつわる神聖なる概念を片っ端から引っくり返しにかかった。

実験の一環には、かなりのおふざけも含まれており、画期的なものと聴くに耐えないものとの境界線がはっきりしないこともあるものの、その力の抜け具合があってこそ、バンドはいつまでも楽器を手にはしゃぐ子供のように新鮮なエネルギーを保ち続け、中年にさしかかろうという今もなお、“youth”(若さ)を名前に掲げることを良しとしているのだ。

'80年代初頭の、SSTやHomesteadでの作品は、『Confusion Is Sex』('83年)の一部華のある箇所を除いては、音楽よりもコンセプト主体の構えだった。より自由に手綱を握ることを許されたギターと、無表情さが艶っぽいゴードンのヴォーカルには、他とは違う重みが感じられ、不協和音もハーモニーも、闘鶏に臨む鶏さながらのぶつかり合いを見せる。

『E.V.O.L.』('86年)、『Sister』('87年)、『Daydream Nation』('88年)という、目を見張るアルバムの3連発を経て、Sonic Youthはノイズ収集の内科医的存在から転じて、ロック界の妄想家へと変身していく。そして'90年のメジャーデビュー作『Goo』では、持ち前の中古ノイズに、もっとわかりやすい、それでいてどこか近寄りがたいメロディを取り込み始めた。とりとめのない大騒ぎが19分間も続く“The Diamond Sea”で山場を迎える『Washing Machine』('95年)は、ポップスにおけるノイズ革命が始まって15年を経てもなお、Sonic Youthが天才音楽家と初心者の幸運の境目で、今だ二股をかけ続けていることを示している。

ライブ・コンサート・チケット