有望新人の台頭でこのところ再び活性化しているUKロック・シーンだが、数ある新人バンドの中でも、見逃せない重要な存在がレイザーライトだ。ザ・リバティーンズと共に、今イギリスでもっともヒップな地区、イースト・ロンドンを代表する4人組バンドの彼らは、昨年CDデビューしていないままサマーソニックのメイン・ステージにいきなり出演。この大抜擢が話題を呼んだが、今年は全英チャートで3位を飾るなど、堂々とイギリスを代表する人気バンドに成長して帰ってきた。そんな彼らにとって、今回のサマーソニックはまさに凱旋ライヴ。そのレイザーライトを直撃してみた。
──去年のサマーソニックでは、まだシングルさえ発表していない段階だったのにもかかわらず、いきなりスタジアムのオープニング・アクトという大抜擢でした。あの時はどんな心境だったんですか?
ジョニー・ボーレル(Vo&G):何が起こったんだ!ってビックリしたよ、ホント(笑)!

カール・ダレイモ(B):僕は野球場に行ったことがなかったから、それが新鮮だったね。
──今年は幕張メッセのインドアでの出演ですが、今年はどんなライヴをやりたいですか?
ジョニー:みんなで音を合わせるのが1週間ぶりだからね。どんな感じになるか自分でも分からないから楽しみだよ。あと、出演するステージだけど、人前で演るって意味ではどこでも一緒だからあまり気にしてないな。普段通りにやるだけさ。
──アンディ(・バロウズ、Dr)が入ってはじめての日本でのライヴになるけど、アンディ、日本に来てみてどうですか?
アンディ:空港に着いてみて、ジョニーが女のコに取り囲まれているのを見てすごく驚いたよ。だけど、気がついたら僕の方にも女のコがやって来てね。びっくりしたね。
──で、昨年のサマーソニックから1年。まだCDもリリースしてなかったあなたたちが今や全英で3位のバンドですよ。今の心境はいかがですか。
カール:もう2年ぐらい経った気がするなぁ。
ジョニー:これまで積んできた努力の結果が報われたってとこかな。レコーディングにライヴに、とにかくそういうことがしたくてガムシャラにやって来て、それを続けて来てるワケなんだけど、実感はまだ湧かないな。ただ、朝起きて「よし!アルバムがNo.1になった!」っていうんじゃなくて、「よし!
今日も音楽を作るぞ!」という姿勢でいたいよね。
──ここ2~3年、イギリスのロック・シーンはすさまじくバンドのデビュー・ラッシュが続いています。あなたたちはこのシーンを勝ち抜いて行きそうな気配です。今のUKにおける新人バンドの台頭という現象をどう思いますか?
ジョニー:程度の差はあるけど共感できるバンドは結構いるよ。フランツ・フェルディナンドはやっぱり素晴らしいバンドだと思うし。でもヤツら、“新人バンド”と言うわりに、実は俺たちより随分と世代が上だったりするんだけどな(笑)。あと、Special
Needs(レイザーライトのUKツアーでオープニング・アクトを飾ったバンド)とか、ほかにもまだ一般に知られていないバンドにも、良いと思うバンドはかなりいるよ。彼らとは話をしていても気が合うしね。
──レイザーライトはファッション・リーダーとしても人気のあるバンドですが、服を選ぶ基準はなんですか?
カール:僕たち、そんな風に思われてるのかい?
それは光栄だね!
ジョニー:服にはすごくこだわりがあって、いつも時間をかけて選ぶんだ。で、いろいろとうるさいんだけど、最近俺のマイブームは今着てるこのブルーのシャツ! あと靴は白いスニーカー、パンツは絶対タイトじゃないと。あと、俺たち17世紀の山賊みたいな格好してもイケると思うんだよね(笑)。
ビヨルン・アグレン(G):僕は21歳までファッションと縁遠い生活をしてたから、今から取り戻そうとしているところだよ(笑)。
──レイザーライトは大口を叩くバンドとしても有名ですが、将来の大きな目標を語ってください。
ジョニー:未来のことを語っちゃうと、それに縛られて生きるってことになりかねないだろ。だから具体的な予定なんか立てないで、俺たちはただ自分たちのやれること、良い音楽をひたすら作って行くだけだよ。あと、“ビッグ・マウス・バンド”って言われることについては、しょうがないと思ってる(笑)。俺は、このバンドのことを本当に世界で最高のバンドだと思っているから、そのままを言ってるに過ぎないんだよ。それって、そんなにおかしなことかなあ?
カール:1stアルバムだけで単純比較するなら、僕らの方がボブ・ディランよりも良いアルバムを作ってる自信はあるけどね。

ジョニー:そりゃ、そうだよ! あのアルバムでディランが書いた曲、何曲か知ってる? たった2曲だよ。それに対して僕らの1stは全部オリジナル。その時点で勝ってるようなものだね。
取材・文●沢田太陽
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