| | | | | | FREENOTE are 秦千香子-CHIKAKO(Vo,G)、佐藤周作-SHUSAKU(B) 坂本昌也-MASAYA(G)、太田真豪-SHINGO(Dr) ――結成から今回のデビューまでを簡単に教えてくれる?
CHIKAKO:私とベースとドラムの3人が、同じ大学(関西大学)のサークルの新入生歓迎会でコピーバンドをやろうってことで仲良くなって。それから同じ大学の軽音サークルの交流会でギターの坂本君と出会ったんです。椎名林檎ちゃんのコピーとかをやって、上手いなってことで誘いました。真豪が就職活動で一度離れてたんだけど戻ってきて、今のFREENOTEになったのが'02年の4月です。
――FREENOTEという名前はいつから?
CHIKAKO:そうです。前のギターの子がBLUENOTEという名前を引っ張り出してきて、NOTEというコトバには“音”という意味があるらしいぞってことで、じゃあ自由な音でFREENOTEにしようって。
――FREENOTEといえば大阪駅前のストリートで一番客を集められるってことで有名になったけど。
MASAYA:このメンツになって'03年の6月ごろからです。屋上に大観覧車があるビルと隣のビルとの間の路上で、毎週日曜日にストリートライヴをやるっていうイベントがあって、そこに誘われて。そうすると、けっこう多くの人が足を止めてくれたんです。それに味をしめて、梅田の歩道橋に進出しました。違法です。
CHIKAKO:ライヴハウスだと観てくれる人が限られてるけど、ストリートだともっとたくさんの人に聴いてもらえるんじゃないかと。音楽を聴きに来た人じゃなくても、私たちの音楽が琴線に触れれば立ち止まってくれますから。もっともっと多くの人に聴いてもらいたくて。
――それで'03年末にインディーズから「終電マスター」を発売した。これと「キライチューン」では、気持ちの上でどういう違いがありましたか?
CHIKAKO:今までよりも多くの人の耳に触れることになるんだっていうことが大きかった。レコーディングの方法も、今までは一人ずつ録ってそれを重ねていたんですけど、今回は私以外の3人が一発録りしたオケに私の歌をかぶせるというのに変わりました。だから「終電マスター」のときよりも、バンドとして頑張ったっていうカンジがあったんです。
SHUSAKU:「終電マスター」は、言われるがままにどんどんコトが進んでいって、何も分からないうちに終わったような気がするんです。でも「キライチューン」では、音のチョイスなども自分たちでキッチリやって一発録りもして、自分たちの持っている空気感を出せたかなと。
――この3曲って、それぞれ違うタイプの曲で楽しめました。2曲目の「ボクラリズム」って普通のロックバンドがやらないタイプの不思議な曲ですね。
CHIKAKO:これは面白かった。最初はすごくロックな曲だったんですよ。
SHINGO:もっとギターも掻き鳴らすカンジだったんですが、リズム録りが終わってから、“さあどうしよう”ってことになって。このまま行くと重過ぎるから、色々参考になるものを聴いたりして、ギターを変えてシンセを入れたりして。
MASAYA:イントロで鳴ってるギターはもともとあったんですけど、それをミュート気味にやってみるとかバッキングのパターンを変えてみるとかオーバーダブしてみるとか、その場その場でいろいろやってみながら作っていきました。
SHUSAKU:ホンマに変わりましたよ。ギターが終わったてから聴きにいったら、“へぇ?”ってカンジで。
CHIKAKO:ヴォーカルも、最初はもっと力いっぱい歌ってたんですけど、仮歌で軽く歌ったら良いカンジになって、そういう軽いノリでいいんじゃないのってことで、力を抜いたカンジで録っていきました。
――FREENOTEの曲の作り方っていうのは、リハを重ねて作り上げていく感じなんですか? 作曲者がイニシアチブをとるっていうのじゃなくて。
CHIKAKO:とりあえず誰かが弾き語りで持ってくるんですよ。それからみんなで合わせながら変わっていったり、誰かがコダワリを持ってて言い合いになったりしながら、けっこう時間をかけて作っていくカンジですね。
SHUSAKU:最初のイメージっていうのは尊重したいんですけど。
――歌詞はCHIKAKOさんがほぼ作っているんですね。何を一番歌いたいですか?
CHIKAKO:私は歌詞を描くことで誰かとリンクしたいんだと思うんです。でもリンクしたいことってツライこととか悲しいこととか嬉しいこととか、気持ちが動いちゃうことですよね。ただの日常だけでなく、何かそこから突き抜けたいっていう思いを込めていつも歌詞を書いています。けっこうツライことを歌詞にすることが多いんですね。「キライチューン」もそうだし。
――「キライチューン」と「ボクラリズム」ではかなり書き方に違いがありますね。
CHIKAKO:「キライチューン」は迷っている自分から一歩踏み出すっていうコンセプトがあって、そこから歌詞を作っていったんですけど、「ボクラリズム」はリズムが気持ちいいから、語呂のよさとかを最大限に生かしてっていう言葉遊び的なものです。とにかく、曲を生かせて、なおかつ誰かとリンクできるってことを心がけています。
――具体的に目指すバンドの姿は?
SHINGO:誰もが聴きやすいポップロックを聴かせながらも、僕らの得意とするミドルテンポの曲とか、FREENOTEらしい曲をじっくり聞かせられるようなバンドになりたいです。具体的にどんなバンドって言われると困る。でもまずはプレイヤーとして腕を磨いて、良いバンドにならなきゃなと思います。
MASAYA:最近のインキュバスって、独自の音っていうかインキュバスならではの音階とかあって、どのパートを聴いてもおいしくってカッコいいんです。そういうバンドにはそういう瞬間があるんです。どこを見てもカッコいいっていうバンドになりたいです。熱いです。
CHIKAKO:「終電マスター」や「キライチューン」みたいに、いろいろな人が入って来やすいっていうのも自分たちの武器だし、得意なミドルやスローテンポの曲なんかも通して、もっと深いところを知ってほしい。どれを聴いてもらっても、どこかの部分で聴く人と私たちが繋がれるものを持っていたい。
SHUSAKU:ポップス史に名を残してる人たちって今でもいいと思えるような名曲を産んでいますよね。そういうスタンダード性を持ちながら、ウソや脚色なくやっていきたい。その場の気持ちを真空パックして届けます(笑)。
MASAYA:音であったり詞であったり、とにかく芯のようなものを作り上げていきたい。ぱっと聴いてもFREENOTEとわかるようなものを作っていきたいです。 | 取材・文●森本智 |
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